アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
アメリカオニアザミ駆除作業を行いました
2019年09月13日こんにちは。秋の匂いがし始めると同時にサケマスが美味しい時期になったウトロです。
さて、今回はちょっと(いやかなり)遅いアメリカオニアザミの駆除作業報告です。
場所はフレペの滝遊歩道。夏の巡視の時は「今年はほとんどないなぁ、よかったよかった」なんて呑気なことを考えていましたが、8月末日、キオンやハンゴンソウに隠れるようにスッと立つ背丈ほどのオニアザミを発見。
油断しました。
急遽、行政機関や関係者の皆さんに声をかけ遅めの駆除作業に入りました。
本来は花を咲かせる前の6月に行うのがベストなのですが、今は9月。綿毛になってしまっているものもあります。
綿毛が飛んでしまうと種を拡散させてしまうため、先に綿毛部分を切り落とし、飛び散らないよう回収してから茎・根の駆除を行います。こういった手間・リスクがあるのでまだ花を付けない6月に行うのが良いのです。
そもそもアメリカオニアザミとは。
キク科アザミ属の道端や田んぼの周辺でよく見られる花です。
原産地はヨーロッパで、トゲトゲしい見た目が特徴の外来植物。
環境省・農林水産省による「生態系被害防止外来種リスト2018」に掲載されていて、国内の様々なところで駆除の取り組みが行われています。
北海道では1960年代に確認され、北アメリカからの輸入穀物や牧草に混じり入ってきたと考えられています。
2年目に花を咲かせタンポポのように綿毛に乗せて種子を飛ばす2年草という分類になり、生えたての頃はロゼット葉(※)です。
※「ロゼット葉」・・・地表に葉を平らにならべた植物の状態を表す言葉。
大きな特徴である鋭いトゲ、一見あまり痛くなさそうに見えますが薄い皮手袋ぐらいならいとも簡単に突き破ってきます。今回はゴム手袋in皮手袋で勝負です。
道端沿いには数本しかありませんでしたが、普段足を踏み入れない草原部にはこんもりありました。
駆除した背丈ほどあるアメリカオニアザミ。綿毛が怖いので先に花の部分を切り落とします。
今回特に多かったのはウトロ灯台へ続く道です。この道も普段は誰も歩かない場所。咲いているかもなと思いながら立ち入ると山ほどのロゼット葉が!!
山ほどのロゼット葉 鍬やツルハシを駆使して根を残さないよう慎重に駆除します。
ロゼット葉だけでもかなりの量に。
花をつける前に多く駆除出来てホッとしました。
今回は土嚢袋20袋分のアメリカオニアザミを駆除できました。皆さまありがとうございました!
ここからは余談ですが・・・
スコットランドの国花は「アザミ」。敵から国を守ったとされ、王家の紋章にもなっています。
一説によりますが、夜闇に紛れて攻撃しようと裸足で身を潜めていた敵国兵士がアザミのトゲを踏み、その痛さから思わず声をあげたことによって、スコットランドの人々が攻撃を察知できたのだとか。
その言い伝えからスコットランドでは国の守護者としてアザミを称えています。
世界にアザミ属は250種類以上。どのアザミがスコットランドを守ったのかは誰もわかりませんが、アメリカオニアザミもそうかもしれないと考えるとただ嫌ってしまうのももったいないなと思うのでした。