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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

ダメ!絶対!トイレそのまま野外放出

2019年09月13日
東川 渡邉 あゆみ

 最近の大雪山の流行、知っていますか?

 「タピオカ」?「おっさんず・ラブ」?

 いいえ、携帯トイレです。

 大雪山国立公園では、山岳団体と共同で平成30年7月10日に「大雪山国立公園携帯トイレ普及宣言」を行い、様々なアプローチで携帯トイレの普及に努めています。

 紅葉ハイシーズンの期間中、赤岳(9月14日(土)~23日(月))・高原温泉(9月20日(金)~29日(日))には仮設で携帯トイレブースを設置します!

 また、この夏からはセイコーマート層雲峡上川店、東川店、うえだ上士幌店、屈足店、セブンイレブン新得町南店で大雪山オリジナル携帯トイレが販売されています!

 そしてこの度、美瑛富士避難小屋の横に、悲願の携帯トイレ常設ブースが完成しました!

 

 美瑛富士には、避難小屋や野営指定地があるにも関わらずトイレ設備がなく、トイレの時は暗黙の了解のように小屋の裏や茂みに隠れ、用を足していました。

 ただ用を足すだけならまだしも、お尻を拭いたティッシュは残置され、ティッシュは溶けないままあちこちに点在し、非常に不愉快な光景が広がっていました。

 また、踏み跡はお花畑を踏みつけ、四方八方にトイレ道が続いていました。

 

【美瑛富士のトイレ道】

 そこで、山のトイレを考える会が2004年頃から美瑛富士でし尿・ティッシュの清掃をはじめ、それ以降も地道な活動を続け、2015年には北海道内の山岳関係9団体による「美瑛富士トイレ管理連絡会」を設立。2016年から環境省が試行的にテント式の携帯トイレブースを設置、6月末~9月末までトイレ管理連絡会が交代で保守点検・パトロールを行っていました。

 その間、環境省では美瑛富士に常設の携帯トイレブースを設置した場合、トイレブースが有効に活用されるかアンケート調査を4年間実施。その結果、美瑛富士での携帯トイレの認知度や持参率は年々上がり、常設携帯トイレブースを設置した場合の使用の意思も高いことがわかったため、この度立派な常設携帯トイレブースの完成にいたりました。

 私も以前は、大雪山では携帯トイレは流行らないと思っていました。

 何故なら、広大な大雪山ではテントなどの宿泊装備を担いでの縦走がメインとなり、ただでさえ重いのに、何泊も使用済みのトイレを持ち歩くことは、邪魔だし、臭いし、値段も高いし・・・「私にとっての正当な理由」がありました。

 ですが、頑張って辿り着いたピークで思いっきり深呼吸をしたいのにアンモニア臭がキツく、思わず顔をしかめたり、茂みの奥に行けば見苦しい人糞や何故こんな物も持ち帰らないのかと憤慨したくなる使用済みティッシュが残置され・・・山に行くたびに、そのような残念な光景に直面していると、大雪山で携帯トイレを使用しないことに正当な理由はなく、ただの言い訳に過ぎないと遅まきながら気付き始めました。

 

 携帯トイレを使わずに野外に排泄したり、ティッシュを残置することは、山を汚すことと同じではないでしょうか。

 美しい大雪山を愛している登山者の皆さん。一人一人の行動が未来の大雪山の姿につながります。

 私達は雑食で、私達のし尿は、野生動物のし尿と違い、臭いです。ティッシュは非水溶性なものが多いので溶けません。

 

 総合サービスの携帯トイレは1つのシートに、3回分くらいのオシッコを吸収してくれるので、縦走の時に持って行きます。モンベル社のはコンパクトになるので、日帰り用です。

 山によって使い分けをしたり、ペット用のおしっこシートを使って節約してみたり、尿瓶に挑戦してみたり・・・色々方法を試して、お財布や自然にも優しく、あとから来た人も気持ち良く、携帯トイレを使うのが当たり前になる大雪山になるために、携帯トイレの普及を進め、女性でもストレスない山のトイレライフを研究していきます。