アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
洞爺湖のシンボル
2020年03月04日皆さまこんにちは。
洞爺湖管理官事務所の増田です。
洞爺湖管理官事務所では洞爺湖中島のエゾシカ対策を行っていますが、2月25日(火)に中島のエゾシカ追い出し調査を実施しましたので、その様子をお伝えしていきます。
さて、この洞爺湖の真ん中にある島(中島)どんな島に見えますか?
緑豊かな島?そんなに緑豊かじゃない?どんな生きものが住んでいる?
この島にはエゾシカが生息しています。
元々観賞用に飼育されていた3頭が逃げ出し、ピーク時には450頭前後のエゾシカが中島に生息していました。
それにより、たくさんの植物が生えていそうに見える中島ですが、エゾシカが食べない植物しか生えていません。また、シカが木の皮を剥いでしまうと木が枯れ、鳥が暮らしていけなくなります。
シカは植物に影響を及ぼすだけでなく、植物の変化を通して他の動物にも影響を及ぼします。
今回の調査の目的は、そんな洞爺湖中島のエゾシカの個体数変動を追跡し、シカと森林植生との相互関係を解明するための基礎データを得る!です。
まず追い出し調査の方法ですが、島を西山、北山・北東岬、東山・南陵の3つの区画に分けます。
各区画において、勢子(エゾシカを追い込む役割の人)が島の内陸側から尾根へ登り、尾根上に隊列を組んで湖岸にシカを追い出します。
勢子はその時に見たシカの頭数、群れの構成、発見時刻などを記録します。
同時に小型船舶を用い、湖上からも同様に記録していきます。
弁天島・観音島・饅頭島は湖上観察はせず、勢子が観察したシカを記録します。
今年はスノーシューを履くほどでもないけど、斜面によっては雪が多くて歩きにくかったり、雪が少なく泥だらけになっているチームもありました。
私のチームは無線が通じにくい場所だったため、お互いの位置を確認するのに苦労しました。
丸一日かけて洞爺湖中島のエゾシカの追い出し調査をした結果、速報値ではありますが、
合計86頭のエゾシカが生息していることが確認できました。
ピーク時に比べかなり数が減ったなと思いますが、まだまだ多いですね。
本来の自然豊かな中島に戻れるよう、これからもエゾシカ対策を続けていけたらと思います。
ちなみに...
シカの好みが変わったのか、シカが食べないと言われているフッキソウを食べた痕を見つけました。