アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
トムラウシ山短縮登山口からの日帰り登山者
2020年03月17日十勝西部森林管理署東大雪支署がトムラウシ山短縮登山口に設置した入林簿の一部データを拝借して集計し、短縮登山口から日帰りでトムラウシ山を目指す登山者の行動を調査しました。
5月30日から10月12日までの記録のうち、1,247人の方が入山、下山の時刻まで記入してくださいました。単独の登山者が439人、2人パーティが346人(173組)、3人以上のパーティが462人(89組)。下山時刻から入山時刻を引き登山時間の平均を求めると、単独が9時間34分、2人パーティが10時間38分、3人以上のパーティが11時間44分でした。パーティの人数が多いほど登山時間が長いという傾向が窺えます。パーティ登山では体力などの最も弱いメンバーに合わせて速度や休憩を設定します。パーティの人数が多いほど登山時間が長くなるというのは十分考えられることです。
日帰り登山者の入山時刻と下山時刻の散布図をパーティ人数別に描いてみました。
入山時刻が4時から6時に集中しています。3人以上のパーティではもう少し狭く4時から5時に集中しています。登山時間が長くなるので入山時刻を早めているのでしょう。集中している部分に注目すると(それぞれ楕円で囲んだ部分)2人パーティの下山時刻は単独より約1時間、3人以上では更に遅いことが見て取れます。
単独の登山者では、入山時刻も下山時刻も幅広い時間帯に分布しています。まだ暗い未明の出発も、もう暗い日没後の下山も、気兼ねの要らぬ単独行の気安さでしょうか。6時間未満の登山時間(右下のグラデーションをかけた三角形部分)に単独の登山者が多く見られます。並外れた健脚であるのか、慎重に早めの撤退を決心したのか、入林簿からは読み切れません。
一方で遅い下山は、2人、3人以上のパーティが多く見られます。力を合わせ、あるいは励まし合いながら必ずや登り切ることを目指すのでしょうか。
以前に、パーティの人数と単独登山者の割合を紹介しましたが、トムラウシ山の短縮登山口と温泉登山口の集計も揃いましたので改めて紹介します。
1人 | 2人 | 3人 | 4人 | 5人 | 6人 | 7人 | 8人 | 9人 | 10人以上 | 最多人数 | 単独率 | |
白雲山士幌側 | 278 | 163 | 29 | 15 | 16 | 5 | 0 | 5 | 2 | 5 | 13 | 28.5 |
白雲山鹿追側 | 563 | 462 | 118 | 61 | 19 | 11 | 3 | 4 | 3 | 15 | 100 | 21.3 |
東ヌプカウシヌプリ | 486 | 312 | 70 | 30 | 15 | 3 | 2 | 0 | 1 | 5 | 23 | 29.5 |
南ペトウトル山 | 66 | 37 | 8 | 6 | 3 | 3 | 1 | 0 | 0 | 3 | 60 | 19.6 |
ニペソツ山 | 214 | 41 | 12 | 4 | 3 | 2 | 2 | 1 | 1 | 2 | 16 | 49.1 |
ユニ石狩岳 | 52 | 27 | 5 | 6 | 2 | 1 | 1 | 2 | 0 | 2 | 16 | 24.2 |
十勝岳新得側 | 16 | 9 | 2 | 1 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 12 | 23.2 |
トムラウシ山短縮口 | 594 | 270 | 65 | 30 | 11 | 13 | 8 | 3 | 3 | 11 | 23 | 31.6 |
トムラウシ山温泉口 | 58 | 9 | 1 | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 6 | 62.4 |
入林簿記入者のうち単独登山者の割合が最も高いのはトムラウシ山温泉登山口の62.4%でした。
また、登山者の多いトムラウシ山短縮登山口も、温泉登山口とニペソツ山に次いで高い31.6%となりました。この短縮登山口の単独率を月別に算出すると、7月から8月に低く、その前後で高いことが見られました。7月から8月はお盆休みや夏休みがあるなど友人や家族を誘いやすいのでしょうか。山開きや紅葉の頃も大雪山は美しい季節です。どうぞ幅広くお楽しみください。
月 | 率 |
5月 | 100.0% |
6月 | 33.3% |
7月 | 26.7% |
8月 | 28.4% |
9月 | 41.9% |
10月 | 63.6% |
平均 | 31.6% |