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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

国立公園の看板裏にて

2020年03月26日
利尻礼文サロベツ国立公園 青山留美子

稚内から日本海を南下していく道道106号線。

稚内から行くと、右手には日本海とその向こうに利尻島・礼文島を望み、左手には砂丘林が延々と続きます。

夏には道路横の草原にエゾカンゾウがびっしり咲くのが見られ、冬は、オオワシやオジロワシなどの猛禽類が砂丘の頂きに止まっている姿などを見ることができる、とてもステキな道です。

そしてこの道の左右は、利尻礼文サロベツ国立公園に指定されています。

稚内から南下して程なくすると、国立公園の看板が現れます。

ここから国立公園の始まりです。

この始まりの看板裏で、不法投棄がされていました。

初めて見つけたのは20163月で、ブラウン管テレビなど数台の家電製品でした。

上から転がして落としたことを物語るように、点在していました。

それから積もりに積もった、20194月の状態がこちらです↓

土地所有者の方に連絡がとれず、関係機関が方々にわたることから対処が進まずにいた間に、

国立公園の看板裏が、ゴミ捨て場と化してしまいました。

しかし、2019年になり、各関係機関それぞれの対応が本格始動しました。

海へ続く道への侵入禁止柵設置や、不法投棄禁止の看板設置などです。

環境省では、防犯カメラを設置し、写真を警察へ提供もしました。

それらの効果で、6月以降は新たな不法投棄は見られなくなり、

そしてこれ以上、ゴミがゴミを呼ばないよう、不法投棄の全撤去を10月に行いました。

関係機関併せて13名で、道路への搬出だけで約3時間かかりました。

撤去跡は、久しく太陽を浴びていない色をしているため一目瞭然です。

不毛の大地が出現するほど、この一帯はゴミに覆われていたのです。

不法投棄が増えていく様子を見続けていたため、感慨無量でした。

作業後の青空と相まって、とてもすっきりした気持ちになりました。

すっきりした気持ちのまま、全体の様子を撮ろうと反対車線へ行きました。

するとそこには、ポイっと捨てられたであろうゴミがありました。

すっきりした気持ちは吹き飛び、まったく終わっていない様に感じました。

家電製品を不法に捨てるのと、空き缶などをポイっと捨てる行為に違いはありません。

環境や生き物への影響だけではなく、道路のゴミは事故のきっかけになるかもしれません。

ステキな道を、ステキな気分で誰もが通るためには、そこを使う人全員に責任がある事だと思います。

これから雪が溶けると、隠されていたものが明らかになるように、ゴミが目立ってきます。

大きさに関係なく、ポイッと捨ててしまう気持ちが芽生えない事を願ってやみません。

国立公園の看板裏で、久しぶりの芽生えの季節を待っている、不法投棄撤去場所を眺めながら思いました。