アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
春、マガンが集まる季節
2020年05月16日こんにちは。野生生物課の大久保です。
新型コロナ・ウイルスの爆発的な感染拡大によって、世界中の人々が活動の停止を余儀なくされ、出口の見えない落ち着かない日々が続いています。一日も早く終息して、平和な日常が戻ることを願うばかりです。
そんな人間界の大騒ぎを知ってか知らずか、渡り鳥たちの生活はこれまでと変わりなく、宮島沼周辺の上空は例年通り、キャハハン、キャハハンと賑やかです。
マガンが繁殖地のロシアへ向かう途中で宮島沼に集まる季節になったのです。
季節ごとに生活する場所を移動する鳥を渡り鳥といいますが、その渡り鳥であるマガンは、移動ためのエネルギー補給と安全な休息の場として、春と秋に宮島沼に立ち寄ります。
宮島沼に立ち寄るマガンの1年の暮らしをご紹介します。
春の移動では、宮島沼には4月頃、不思議なことに沼の氷が融ける(沼開け)と同時にやってきます。
今年は、3月26日の沼開けのその日に25,000羽が集まってきたそうです。沼の氷が融ける数日前から、沼に入れるかどうかを偵察に来ているとか来ていないとかで、前日の25日は600羽だったそうなので、宮島沼周辺にいるマガンの間ではそういった情報交換が行われているのかもしれません。
宮島沼にたどり着いてからは、昼間は周辺農地で主に落ち穂を食べて、休憩をしています。
夢中で採餌
口元にはたくさんお弁当つけて
夜は敵に襲われないように沼の中央に集まって(ねぐら入り)休み、
夜が明けるころ、餌を食べる場所へ移動するために一斉に飛び立ちます(ねぐらだち)。
たまに夕方早めにねぐら入りしたみんなで、ガァガァクワクワおしゃべりしてるところに、猛禽類が近づくと驚いて一斉に飛び立ったりすることもあります。
飛び立つときの地響きのような羽音と空を埋め尽くす様子は迫力があります。
そうやって約40日ほど、宮島沼及び周辺でエネルギー補給と休息を繰り返し過ごしたあと、繁殖地であるロシアに旅立っていきます。
私は、毎年、マガンが集まるこの時期を楽しみにしています。
今は、ぜひ宮島沼に来てほしいとは言えない状況ですが、秋になったら、子供を連れたマガンが集まってきた様子を見に来てもらえるようにお知らせができるようになっていればいいなと思うばかりです。
※現在、宮島沼水鳥・湿地センターは新型コロナウィルス感染拡大防止のため休館しています。