アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
憧れのトムラウシ山で3密回避
2020年06月25日トムラウシ山の登山において、新型コロナウィルス感染防止のため3密を避けるには、どのような対策が考えられるでしょう。感染拡大当初、3つの密が重なる状況を避けるようにとされていましたが、現在ではゼロ密を目指すよう求められているようです。
密閉は、登山は屋外の活動であることから自然と避けることができそうです。ただし、山中泊では、避難小屋泊を避け、野営地を利用する場合も各自1人用テントを用いることが求められるかもしれません。
密集は、カムイ天上や前トム平、山頂など代表的な休憩場所で人が集まりやすいといえます。ほかの登山者と距離をとり、大勢が集まる前に滞在時間を短くすることも考える必要がありそうです。
しかし、密接はどうでしょう。狭い登山道でのすれ違いでは密接が避けられそうにありません。マスクの着用を心がけます(熱中症には要注意)。バンダナや日除けを兼ねたフェイスマスクも有用でしょう。そうして、トムラウシ山の日帰り登山で、すれ違いの回数を減らす工夫を思いつきました。
森林管理署がトムラウシ山短縮コース登山口に設置した入林届によれば、昨年の8月7日に昨シーズン最多の利用者数が記録されました。日帰りでトムラウシ山頂を往復した登山者のほか、前日までに南沼泊やほかの登山口から縦走後に下山、この日に短縮コース登山口から入山し南沼泊あるいはほかの登山口まで縦走した登山者を含め76人の利用が記録されました。
単純な考察で推測も多く含まれますが、入山と下山時刻の記入から図の青線ような行動の分布が見られます。線が交差するところが登山道上ですれ違ったことを表しています。やや太い線で描いたのは18人と21人のパーティでした。単純に山頂を往復すると、先に登頂を果たし下山してくる登山者、下山中に後から登ってくる登山者、ほぼほぼ76人とすれ違うこととなります。また、追い越したり追い越されたりがあればその登山者とは2回接近することになるでしょう。これを減らすことはできないものでしょうか。
そこで行動分布図と地形図とで赤線のような行動を考えてみました。
まずは入山時刻をできる限り早めに設定することで、山頂を目指す間に先に登頂して下山してくる登山者とのすれ違いを減らすことができます。
それから、やや行動時間は増えますが、ただ来た道を下山するのではなく北沼へ立ち寄り山頂西側の登山道を巻いて南沼に戻ります。ただ遠回りになるだけではありません。様々な花やエゾナキウサギ、エゾサンショウウオなどを観察することができます。運がよければ...。
赤色の点線で示した間に、後から山頂を目指してきた登山者とすれ違うことなくやり過ごすことができます。
以上、トムラウシ山の日帰り登山で3密回避を考えてみました。