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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

PV活動再開!浜勇知園地にて外来種除去

2020年08月03日
稚内 青山留美子

今年も、最北での日差しを浴びて、顔と手だけが黒々してきたサロベツ担当の青山です。

利尻礼文サロベツ国立公園パークボランティア(以下PV)の活動も、4月中旬から全て中止になっていましたが、7月より活動を再開しました!

715日(水)、稚内市内の高校で理科の授業の一環で行われている外来種除去活動に、PVさん10名と一緒にお手伝いしてきました。

稚内市内にある国立公園内の浜勇知園地にて、生徒さん70名を迎えました。

国立公園保護管理企画官より、外来種についての説明後、4班に分かれてそれぞれ作業しました。

駐車場周りや木道沿いにも様々な種類の外来種がありますが、生徒さんたちにご協力頂いて除去したのは、砂浜に広がっている"オニハマダイコン"です。

昔からこの場所を知っているPVさんによると、"オニハマダイコン"が増えてきたのは13年前くらいからとの事でした。

町中で見かける外来種とは違うため、こちらが差し示さないと見逃していたり、小さかったり大きかったりすると違う植物に見えたり、葉の形が同じような"シロヨモギ"と悩んだり、最初はわかりづらいようでした。

それでも、"オニハマダイコン"しかないような場所も多く、すぐに慣れてどんどん抜いてくれます。

抜くのも、道具を使わず指だけでできるため、とても楽です。

力加減を間違えなければスーッと根っこまできれいに抜くことができます。

量にうんざりするのと、たまに大根のようなにおいがきつく感じる以外は、とてもやりやすい外来種除去です。

もう一つ難点と言えるのが、砂浜で直射日光を浴びての作業なため、とても暑く過酷な点です。今年は更にマスク着用が加わり、とても大変でした。

それでも、1時間ほどの活動で、熱中症などになる方もおらず、無事に150kg分の"オニハマダイコン"を除去することができました。

暑い中、地道な作業を行ってくれた生徒さんたち、ありがとうございました!

ところが、

"オニハマダイコン"を除去している最中、PVさんが違う外来種が花を咲かせているのを見つけました。

それが、"アメリカオニアザミ"です。

数年前からこの場所で確認されており、PVで除去していました。

多い年では300株以上を除去した年もあったようです。

が、最近は姿を見なくなったと思っていたのですが......「やっぱりまだあったか~」と、根絶は簡単ではない事を思い知らされます。

ちらほら花を咲かせている10株ほどを確認し、見つけたPVさん4名と、日を改めて駆除することにしました。

花が咲いた状態では既に背が高く、スコップが不可欠です。また、茎や葉にはするどいトゲが多く、軍手は意味をなしません。厚手の手袋をも突き抜けてくるため、とてもやりにくい外来種除去といえます。

10株かと思いきや、ここにもあそこにもと発見し、最終的には31株を数えました。5名で奮闘すること一時間、株数と作業量を軽く見ていたことを反省するほど、汗だくになりました。

用意していた袋に入れるのも大変だったため、数日乾燥させて小さく切ってから、ゴミ袋につめました。最後までトゲはするどく、たった31株の植物とは思えない大変さでした。

数が多くて大変だったり、1株抜くのが大変だったりと、タイプの違う2種類の外来種を抜きながら、様々な事を考えさせられました。

根っこが複雑だったり茎がすぐ折れたり、刺があったりなどを目の当たりにし、植物の戦略に脱帽したり、

外国からたどりついた異国の地で一所懸命生きている植物のたくましさに思いを馳せたり、植物そのものに罪はないことはわかっていながらも、どうせ抜くのなら、おいしく食べられる方法はないのかと考えてみたりしました。

実際に外来種に向き合いながら様々な事を考える一時は、とても貴重な時間だと感じました。

そう感じられるのも、一緒に活動して下さる学生さんやPVさんなど、とても心強い存在がいるからこそでもあります。

一度広がってしまった外来種を根絶するのはたやすくありませんが、これからも地道な活動へのご協力、お願いいたします!