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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

サロベツの秋は、みんなでササ刈り!

2020年10月29日
稚内 青山留美子

ストーブをつけることなく10月を終える事ができそうで、少しホッとしているサロベツ担当の青山です。

夏鳥も見られなくなり、ぼちぼち冬鳥たちが姿を見せ始める10月のサロベツ。

駆け抜けたお花たちのリレーがゴールを向かえ、ひっそりとしているこの季節を待って行うのが、「ササ刈り」です。

湿原に降りて行う事から、極力植物たちにダメージを与えない様に、この季節に行っています。

湿原の乾燥化に伴うササの拡大が問題になっているサロベツで、湿原本来の植生を木道脇で見られる様にと、パークボランティア(以下PV)が手刈りを続けて、今年で15年目です。

今年は、"晴れの特異日"の通り快晴となった、1010日に行いました。

根っこごと除去している訳ではないため完全になくなることはないのですが、周囲のササよりも小さくなっているため、刈り続けている効果は一目瞭然です。

1時間半刈り続け、こんもりあったササ群落が姿を消し、ミズゴケやガンコウラン、ツルコケモモなどが姿を現しました。

PVが行なったその続きを、1018日に子どもパークレンジャーの活動として、小学生のみんなにも刈ってもらいました。

子どもたちには飽きてしまいがちな活動なため、チーム対抗で時間を区切り3回戦行うと、驚くほど真剣にササを刈ってくれました。袋がパンパンになるほどで、両チームとも3kg分を刈り取ってくれました。

普段は降りられない湿原の中に入り、ミズゴケや種になった植物を発見する子もいました。

地道な作業をしながらも、冬眠前のエゾアカガエルを見つけたり、頭上をオオヒシクイなどが飛んでいったりと、ひっそりしていると思っていた秋の湿原も、なかなか賑やかな事に気づかされました。

秋の湿原を楽しむ事ができる活動とも言えます。

幌延町にある幌延ビジターセンターへお越しの際は、是非、ササ刈りを行った一角をご覧下さい。

地元の皆さんの手でササが刈り取られた場所と、周囲のササだらけの場所とを比較して見て欲しいです。

お花の時期には、湿原本来の植物たちが刈られた後に咲いていると思いますので、是非楽しんで下さい!