アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、利尻礼文サロベツ、知床、阿寒摩周、釧路湿原、大雪山、支笏洞爺国立公園があります。
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12月に入り雪が平地にも積もり始めました。
北海道を越冬地としている渡り鳥達も、冬の訪れと共に海を越えて北海道へやってきています。
12月10日道北地域で傷病鳥獣ありとの報告があり、収容に行ってきた時の様子をお伝えしようと思います。
大雪山国立公園管理事務所に連絡が入ったのは、午前11時頃でした。
事務所がある上川町から約100km程離れた線路付近で、怪我をした猛禽類が見つかったということでした。
事故現場付近までは車や徒歩では行けないので、JRの職員さんの協力を得て最寄り駅からは線路保守用の軌道自転車を使って現場まで移動します。
列車の通る前に個体を回収し、安全な場所まで待避しなければいけません。
事故報告があってからすでに数時間が経過していて、安否が心配されます。
現場から10mほど離れた場所まで、辺りに点々と血の跡がついていた先に、ワシと思われる塊を見つけましたが、見たところ動かないので、もしや・・・と思いましたが、近づくと頭をこちらに向けて威嚇してきました。まだ息があったことに胸をなでおろしました。
怪我をしたのはオオワシの幼鳥で、初めて北海道へ渡ってきたと思われる個体でした。
線路の近くで鹿の死肉を夢中で食べていたところ、電車の接近に気づくのが遅れて接触してしまったようです。
保護した後は獣医さんに診察をしてもらい、応急処置を受けました。
猛禽類医学研究所(Institute for Raptor Biomedicine Japan)のドクター齋藤さんが診てくれています。はるばる釧路からドクターカーに乗って駆けつけてくれました。
見たところ左の翼が折れているようです。
炎症を抑える薬や血止めの薬を投与され、折れた翼は包帯を巻いて固定します。
一見たいした怪我ではなく、元気そうに見えても、頭を強く打っていたり内蔵に深刻なダメージがあった場合、様態が急変して助からないことがあるとのことでした。
応急処置を施した後、人間の赤ちゃんが使う保育器で酸素を吸入しながら釧路湿原野生生物保護センターに輸送され、内臓や脳など見えない場所に怪我がないか、さらに詳しい検査を受けます。
これからこの幼鳥は野性に帰るための訓練を受けることになるのでしょう。
また海を渡って北へ帰れる日は来るのでしょうか。
齋藤先生によると、このような列車への接触事故は年に50回ほど起きているとのことでした。また、道北地区では鹿の死体があると、猛禽類もいる可能性が高いので列車にも徐行運転をお願いしているとのことです。
折れた翼が回復して無事にまた空を飛べるようになることを祈るばかりです。
ドクター齋藤さんとオオワシ
猛禽類医学研究所(IRBJ)
希少猛禽類の保護、治療、リハビリテーションを行っている機関です。
今、猛禽類に起きている現状を知ることが出来ます。
オオワシ
国の天然記念物に指定される日本最大級のワシで、アイヌ語では「カパッチリカムイ(ワシの神)」といいます。
カムチャッカ半島、アムール川下流域、サハリン北部で繁殖し、冬の渡り鳥として主に北海道東部、知床半島や根室半島にやってきます。
世界的に見ても希少な鳥ですが、交通事故による近年猟銃の鉛弾を要因とした鉛中毒、風力発電施設へのバードストライクによって個体数を減らしています。