アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
森へ戻る
2021年04月07日
苫小牧
こんにちは、野生生物課の大久保です。
雪がとけたと思ったら、すぐにフクジュソウやエゾエンゴサクが顔を出してきて、植物の生命力を見て気持ちが高まりました。今年度も宜しくお願いします。
まだ少し肌寒い3月13日。とある山間の町の道路脇に羽を広げてうずくまっているオジロワシがいるとの通報があり、保護しました。
保護された時の様子(リハビリテータ-協会提供)
治療のため釧路湿原野生生物保護センターに収容し、猛禽類医学研究所の獣医師に様子を見てもらっていたところ、外傷はないけれど、衰弱しているとのことでした。
1週間後の経過は順調で、個体が妙齢なためもしかしたら繁殖を控えていたかもしれないとのことでした。そのため早く元にいた地域に戻した方がいい、という判断により、保護してから2週間足らずの3月26日に放鳥しました。
毎年、多くの猛禽類を保護しますが、再び野外へ戻すことができる個体は多くはありません。元気になって良かったと喜ぶ一方で、収容中はボーッとしている事が多いと獣医さんから聞いていたので、無事に飛び立ってくれるのか心配していました。
放鳥前のケージにいるオジロワシ
ですが、そんな心配をよそにケージを開けてみると、すぐに顔を出し、飛び去って行きました。
ドラマチックな放鳥シーンを想像していましたが、振り返ることも、頭上を旋回することもなく、なんともあっさりあっけなく、森に消えていきました。
でも、それが野生動物の本来の姿。躊躇することなく野外に飛び出し、たくましい後ろ姿、力強い羽ばたきをみせてくれました。
どうか、これからも元気に生き延びて家族を増やしてほしいものです。
この春、いい旅立ちに立ち会えて幸せでした。