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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

今シーズン見た面白い生き物たち

2021年09月17日
上川 入江瑞生

大雪山国立公園では少しずつ紅葉が進み、短いグリーンシーズンの終わりを迎えようとしています。

さて、今シーズン見た面白い生き物たちを皆さんに紹介したいと思います。

ナガバノモウセンゴケは食虫植物の一種で貧栄養の湿地に生育します。葉の表に紅色を帯びた長い腺毛が多数あり、粘る液で小虫を捕らえ消化液で溶かして栄養としているそうです。下の写真は何が起こっているか皆さんわかりますでしょうか?

モウセンゴケに2匹のトンボが捕まっています。

粘液には2匹も捕まえることができる力があったのかと驚かされました!!

今までは、下の写真のように

小バエが捕まっているところは見たことがありましたが、このサイズの小虫ぐらいまででした。

一度気になって湿原を歩くたびにモウセンゴケの観察を始めると、他の場所でもトンボが捕まっていました。朝露のように小さな滴の粘液でどのくらいのサイズの虫を捕まえることができるのか気になりますね!

どこかのアニメで出てきそうな感じでかわいいですよね!頭部のオレンジに愛らしい目!!

見た瞬間かわいすぎて思わず写真を撮ってしまいました。

ハチ目ハバチ亜目という種類の幼虫ではないかと思います。日本に生息するハチの種類は4,000種以上とも言われておりこれ以上同定することはできませんでした。ハバチの仲間は他の動物や人を攻撃するための毒はもっておらず、群れも作らないそうです。そのため初めてこの幼虫を見たときハチの仲間だったとは気づきませんでした...


私は木です。

登山道を歩いていると、あたかも木に同化していると思っているようなエゾライチョウに会いました。登山道に沿って少しづつ近づいても変わらずこのポーズ。

微動だにせずじっとこちらの様子をうかがっていたので、エゾライチョウが逃げるまで待つのではなく、私たちが先に去ることにしました。

エゾトラマルハナバチが夢中になってサワアザミの蜜・花粉を集めていました。サワアザミには蜜が多いのか長いことどの個体も花にしがみついていました。アザミが下向きに咲くのでマルハナバチの調査をしていなければ気づきませんでした。好きな花があるのか、多くのマルハナバチはアオノツガザクラから蜜を集めていましたが、エゾノコザクラやチングルマからしか蜜を集めないというマニアな個体もいるようでした。

マルハナバチの働き蜂は、一日に2匹のハチを育てるだけの花粉を集めると言われており、大忙しに蜜を探して飛び回っています。どのような世界が彼らにあるのか少し覗けたような気がしました。