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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

アメリカオニアザミ大群落

2021年09月27日
釧路湿原国立公園 佐野 綾音

 皆さまこんにちは。

 各地の国立公園では外来生物(動植物)の動向を注視しています。

 外来種は、元々はその場所に生息(生育)していなかった動植物ですが、食用や園芸用など人為的に取り入れられたり、人や動物、自然界の営みにより運ばれたりと、様々な理由を経て、今ではその地に生息(生育)しています。

 外来種の一種であるアメリカオニアザミは、かつて北アメリカから輸入された牧草や穀物に混じって北海道に入り、そののち広く分布するようになった外来植物ですが(ちなみに、アメリカ・・・と名前はついていますがヨーロッパ原産のようです)、釧路湿原国立公園内でも局所的に生育しており、景観や植生保護の観点から特定の場所では積極的な防除活動を行っています。最近釧路湿原でも増えているエゾシカは葉のトゲを嫌って食べないため、この植物は残ってしまうのです・・・。食べてくれればいいのに・・・。

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【アメリカオニアザミの生育状況を確認】 【開花し始めのアメリカオニアザミ】

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写真左【抜き取りの様子(鋭いトゲ対策として革手袋を着用しています)】

写真右【根の抜き取りの様子】

 毎年防除活動を行っている場所では、感覚的(視覚)にも、実数的(防除数)にも減少しており、局所的な地における防除活動は、一定の効果があるのではないかと関係者間で実感していました。

 そんな矢先、国立公園内の巡視をしていた際、これまで気づいていなかった場所でアメリカオニアザミの大群落を発見しました。

 衝撃的な情景にアクティブレンジャー2人で目が点になってしまいました...。

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【アメリカオニアザミ大群落(多くのものはすでに綿毛(黄白色)となり種子分散中でした...)】

 その場所は、エゾシカが休んだ跡など痕跡も多い所で、エゾシカにより運ばれてその地に根ざし、生育数を増やしたのだろうなと想像しました。

 外来種云々はさておき、植物の生命力を感じつつ...今後どうしていくかを考えなければと思いました。