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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

オオワシの剥製

2021年12月27日
苫小牧 大久保 智子

こんにちは、野生生物課の大久保です。

各地で雪の便りが届いていますが、札幌も一面銀世界となり、景色が変わりました。

冬の楽しみの一つは冬鳥に会えること。

楽しみにしている冬鳥の1種、オオワシは、極東沿岸、カムチャッカ半島、サハリン北部で繁殖し、北海道で越冬します。種としての総個体数は約4,6005,100羽と推定され、国内では道東を中心に8001,500羽が初冬を迎える頃に飛来してきます。

総個体数は減少傾向にあり、餌資源の減少、ねぐらの減少、鉛中毒、衝突死などが生息を脅かす原因とされています。

環境省では平成17年に保護増殖事業計画を策定し、越冬調査や餌資源調査などを実施しているほか、日ロ渡り鳥条約に基づくオオワシ協同調査を実施しています。また傷病個体の保護、死体の回収をして、剖検データを積み重ねること原因究明を行い、将来的な事故対策等に活用しています。

魚を主食としているので海やサケの遡上する河川などでみることができ、私もたまにウトナイ湖上空を飛んでいる姿を目にします。ただ、とても空の高いところを飛んでいるので、じっくり観察することは非常に難しいです。

そんなオオワシの剥製を環境省に寄付していただけるという話が、舞い込みました。なんとも躍動感のあふれる立派な剥製です。


昭和43年に厚岸の海で拾ったオオワシの死体を剥製にしたものとのこと。保管状態もよいので、すぐにウトナイ湖野生鳥獣保護センターで展示する方向で必要な法的手続きを終えたところ、たまたま釧路方面に出張することになっていたので、搬送の命をうけました。

剥製のサイズは、剥製が高さ93cm×両翼端長141cm×頭尾長105cm、土台が高さ130cm×110cm×奥行76cmと大きく、とてもデリケートなため、羽根や嘴を傷つけないよう慎重に荷台に詰め込み、バランスを崩さないよう安全運転を心がけました。

 

翼と嘴が傷つかないように固定。流木も動かないよう固定。

運転席から振り返って見る後部座席がシュール。

そして4時間にも及ぶオオワシとのドライブを無事に終え、ウトナイ湖野生鳥獣保護センターへ搬入することができました。

 

【仮設置】剥製と土台をセットすると人の背を超える大きさです。センター職員と安全確認中。

生きている個体を近くで見ることはなかなかできませんが、剥製だとじっくり観察することができます。大きい体、太い嘴、鋭い爪、深みのある羽、長い足など、色々と気が付くことが多いです。

年明けに正式にウトナイ湖で展示しますので、見に来てください。

12月21日のウトナイ湖の様子。

湖が凍り始め、凍っていない部分でハクチョウが寛いでいました。

遠くにいるオジロワシも見つけました。肉眼サイズだと豆粒のようですが大きさでワシ類だと気が付きます。

ウトナイ湖へお越しの際には双眼鏡を持っていると、より楽しめます。

年の瀬も迫って参りました。

今年もお世話になりました。良いお年をお迎え下さい。