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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

十勝晴れ

2022年03月08日
大雪山国立公園 上村 哲也

強く冷たい風が吹き下ろす赤城おろし、六甲おろし、遠州からっ風や東北に冷害をもたらす「やませ」など、地域特有の名前がついた気象は人間に厳しいものが多いようです。釧路・根室地方では肌や服が濡れそぼつような濃い海霧を「じり」と呼んでいます。十勝にも「十勝風」があって、初春に北西の強い風が吹くと畑から乾いた土が舞い上がり、植え付けたばかりの苗を傷めたり、視界がさえぎられて交通に影響が及んだりします。

しかし、十勝には好ましい特有の気象もあって、それが「十勝晴れ」です。特に冬に気持ちよく晴れることが多いと言います。そこのところを気象庁のアメダスのデータから確かめてみました。十勝地方からは大雪山国立公園の中にあるぬかびら源泉郷、上川地方からは公園に近い上川町を選び、毎月の日照時間と降雪の深さの平年値を比べてみました。

ぬかびら源泉郷と上川町の毎月の日照時間と降雪の深さの平年値
  日照時間[時間] 降雪の深さ[センチ]
  ぬかびら源泉郷 上川町 ぬかびら源泉郷 上川町
1月 120.5 61.7 103 178
2月 125.3 73.2 83 150
3月 164 106.9 100 137
4月 181 140.5 57 40
5月 195.7 181.1 3 0
6月 163.9 171.8 0 0
7月 155.7 167.2 0 0
8月 141.2 158 0 0
9月 139 147.2 0 0
10月 161.7 116.8 2 4
11月 119.1 52.6 45 104
12月 109 40.4 104 203
1776 1417.4 494 816

上川町では11月から2月までが毎月約40から70時間余りであるのに対し、ぬかびら源泉郷では年間を通して100時間を超えています。それを裏返したように降雪の深さでは冬のほとんどの月で上川町がぬかびら源泉郷を上回っています。上川地方に降る雪が大雪山や十勝岳連峰に食い止められ、十勝晴れを生んでいるのでしょう。

ぬかびら源泉郷スキー場、糠平湖でのワカサギ釣りやタウシュベツ川橋梁見物、しかりべつ湖コタンなど、冬期間もアウトドアの活動が並ぶ大雪山国立公園の東大雪地域です。恵まれた晴天を有意義に楽しみたいものです。

チカベツから望むトムラウシ山
チカベツから望むトムラウシ山