アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
雪原を歩く虫
2022年04月21日こんにちは。知床国立公園ウトロ自然保護官事務所の小泉です。
知床はまだ雪が残りますが、徐々に春めいてきました。
さて今回は、少しマニアックかもしれませんが、先日の巡視中に国立公園内を流れる川近くで雪原を歩き回る虫を見つけましたので、ご紹介します。
みなさん、この虫は何かわかりますか?
正解は、"セッケイカワゲラ"という水生昆虫の成虫になります。
※水生昆虫とは、成長の過程で水中や水面で生活する時間がある昆虫のことで、例えば、ゲンゴロウやトンボ、ホタルなどがいます。川で生活するものは、川虫などともよばれます。
セッケイカワゲラは、体長1cmくらいで、夏は幼虫の状態で川の中で過ごし、雪が残る春の時期に成虫になり、川の上流を目指して産卵をします。
他の虫が寒くて越冬している中、雪の上で生きていけるって、なんだかかっこいいですね。
カワゲラはとても繊細な生き物でもあって、実はきれいな川でしか生きることができません。
ということはつまり、カワゲラが生息する川は「きれいな川」と判断することができますね。
(このように限られた環境でしか生きられない生き物を「指標生物」ともいいます。)
また、幼虫の時に川で過ごすカワゲラは、川魚の大好物で、川の生き物たちを支えています。(釣りの疑似餌のモデルに使われることもあります。)
今回セッケイカワゲラをたくさん見つけられたということは、ここ知床の川は、生き物たちにとって過ごしやすい豊かな環境が維持されているといえるかもしれませんね!
(岩尾別川と知床連山_4月4日撮影)
(知床五湖高架木道からの知床連山_4月21日撮影)
今年も4月20日から知床五湖が開園となりました。
これから気温もぐんぐん上昇して、雪解けも加速し、知床も春へまっしぐらです。山肌も見えてきています。
知床の春が始まり、これから生き物たちも活発に動き出してくることを想像してわくわくする小泉でした。