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アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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大雪山国立公園 東川

170件の記事があります。

2020年07月07日大雪山のパークボランティア、すごい!

大雪山国立公園 渡邉 あゆみ

 こんにちは、東川管理官事務所の渡邉です。

 ご報告が遅くなりましたが、今年も6月の山開き前の十勝岳と旭岳でパークボランティアの皆さんと登山道整備を行いました。

 ステイホーム期間明け、ということもあったのでしょうか。例年より多く、二日間でのべ36名もの方に参加していただきました(昨年は28名)。

 今年は密を避けるため、5隊に分けての整備です。

【6月14日(日) 十勝岳周辺登山道整備】

 6月の整備は毎年のことながら計画から実施まで考えることが山盛りで、足りないことはないだろうか、無事に整備ができるだろうか、とドキドキしながら当日を迎えます。ですが、案ずるより産むが易しで、現地に行けばパークボランティアの皆さんに引っ張っていただき、チームワーク良く作業を進め、気付けば全ての作業を終えて安堵感と疲労感に包まれて下山先に向かっています。

【6月20日(土) 旭岳周辺登山道整備】

 たくさんの方が集まってくださったおかげで、いつもはできないきめ細やかな作業もでき、雨に降られ寒い日もありましたが、山開きの準備は万端で作業を終えることができました。

 大変な整備のさなかでもビューポイントでは絶景が見れたことを喜び合い、作業のサポートをし合い、お互いの労をねぎらい合う大雪山のパークボランティア。昨年度から整備に参加していただいている新人さんも既にベテランのように心強い一員になっていることにも感動し、皆さんの一生懸命な様子は、自分への激励にもなっています。私もパークボランティアに入りたい!

  【背負子に積まれた鉄ピン。一人20kg近い廃材の荷下げをしていただきました。】

【重たい荷物を背負いながらも、ノリノリな人たち。最高!】

 整備のときはイワウメやミネズオウなどの鮮やかなお花はまだ咲いていませんでしたが、周囲を見渡すと下の写真のような地味なお花たちが満開でした。普段は主役にならないこういったお花たちも大雪の多様性を支える縁の下の力持ちのようで、ひっそりと咲いている姿を見かけるたびに、尊さで胸がキュンとなります。

 

 整備に参加された皆様、お疲れさまでした。

 心が落ち着かない日々が続いていますが、山で深呼吸をして、野生動物やお花から癒やされる人が一人でも増えるといいなと思っています。自然からもらうパワーは他では得られません(^^)

 良い夏山シーズンをお過ごしください。

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2020年05月22日私の大好きな大雪山

大雪山国立公園 渡邉 あゆみ

 こんにちは、東川管理官事務所の渡邉です。

 新型コロナウィルス感染症による緊急事態宣言が発令されてから、登山を自粛し、山を見上げる生活が一ヶ月を過ぎました。

 麓から見上げる山は、日に日に雪解けが進み、沢筋の残雪と、黒い尾根のコントラストは例年通りです。

 

 夏の大雪山に思いを馳せます。

 もう数え切れないほど登って、何度も同じ景色を見ているのに飽きることがなく、「この時期なら、あの辺のお花畑が見頃」、「そろそろ、あそこからの景色が見たくなってきた」と自分にとってベストな大雪山を巡る季節が体に染み込んでいて、大雪山がない人生は考えられないほど、大雪山は私の心の中心にどっかり腰を下ろしています。

 そこで、私の担当する大雪山の管内【旭岳~十勝岳連峰 大好きな景色ベスト3】を紹介します♪

 大雪山国立公園は陸上面積では国内最大で、なんと10市町にまたがっています。本当に広いんです。

【ベスト1 三川台~ユウトムラウシカール】

 ここは大雪山の中でも山深い場所で、人気(ひとけ)はなく、カールの中には池塘が点在し、音はカールに飲み込まれるように「しーん」と静まりかえっています。

 火山によってできた地形が多い大雪山の中で、氷河によってできたカール地形は珍しく、大雪山の中でもここは少し異質な雰囲気が漂っています。このカールの中は人間の手が及ぶことがなく、時間の概念がないような、ずぅっと昔から自然界だけの同じ営みが繰り返されているんだろうな、と悠久を感じられる原始性が高い場所です。

【ベスト2 オプタテシケ山から見た景色】

 オプタテシケ山は十勝岳連峰のほぼ中心部に位置し、360℃の大展望が広がり、大雪山のケタ違いの広さを実感できる極上のビュー・スポットです。山々に目をこらすと延々と登山道が続いているのが見え、初めてこの景色を見たとき「いつかこの一本道を歩き通したい」と心が揺さぶられたのを覚えています。

 山に行っていない晴れの日は「今日はオプタテシケ山に行きたかったな~」とよく思っています。

【ベスト3 からは選べない!!】

 十勝岳から見える火星っぽいダイナミックな景色、富良野岳から見る美しいとんがりが連なる十勝岳連峰、旭岳から見る残雪の十勝岳連峰、などなど。

 大雪山の広さ、延々と続くゆるやかな山の繋がり、底地に拡がる生物の多様性。今まで大雪山が見せてくれた景色は色褪せることなく心の支えとなり、山を思い返す度に、胸の中に山の良い風が通り抜け、心をフッと軽くさせてくれる気がします。

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2020年04月28日カミナリシギのおでまし

大雪山国立公園 渡邉 あゆみ

 こんにちは、東川管理官事務所の渡邉です。

 数日前から東川町に夏鳥の【オオジシギ】がやって来ました。

【環境省レッドリスト 準絶滅危惧(NT)】

 オオジシギは日中は草原や田んぼにいて、見つけるのは難しいですが、夕方~夜になるとディスプレイフライト(求愛や威嚇)を行うため急降下し、その羽音が派手でとても大きいので見つけやすくなります。

 はじめて、オオジシギのディスプレイフライトを聞いたとき、あまりに特徴的だったので、鳥の羽音とは思わず誰かがブーメランを投げる練習をしているのだと思っていました。

 オオジシギは、その大きくて特徴的な羽音から別名【雷(カミナリ)シギ】とも呼ばれています。

 私の家の裏は広い空き地(草原)なので、もしかするとオオジシギの繁殖地になっているのかもしれません。これからの季節はオオジシギのディスプレイフライトの音や鳴き声を子守歌に眠りにつく日が続きます。人間界の混乱を自然界は知るよしもなく、いつも通りオオジシギがやってきてくれたことにとても安心しました。

 オオジシギは日本では主に北海道で繁殖し、秋になると10,000km以上も旅をして、オーストラリアで越冬します。

 自然が多い地域に住んでいる皆さんの周りでも、夜になると「ブーメランを投げる音」聞こえてきませんか?もしかすると、それはオオジシギかもしれません。

 これから待ちに待った大型連休ゴールデンウィークがはじまります。

 ここ数年、ゴールデンウィーク休暇は欠かさずに縦走に出かけていました。

 

【パークボランティアの皆さんとの春山研修】

 春山は雪がしまり、稜線はまるで廊下を歩いているかのように快適で(ラッセルがない、ぬからない、ヤブは雪の下)、夏の登山道を歩くよりも速く歩けることもあります。

 ところが、今年はそうもいかなくなりました。政府から緊急事態宣言を受け、三密を避け、不要不急の外出を避けなければなりません。

 今まで当たり前にしてきたことができなくなる歯がゆさ。

 私はテントを担いで縦走することが、人生で最も好きなことです。食・住を背負い、自分の足で山の上を歩くことは、何物にも代えがたい自由があります。

【テントや小屋での語らいの時間】

 この状況が収まったら、山での三密を飽きるほど体感したいと切望する日々です。

 STAY HEALTHY★BE POSITIVE★

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2020年04月01日春っていいよな~

大雪山国立公園 渡邉 あゆみ

 こんにちは、東川管理官事務所の渡邉です。

 事務所で仕事をしていると、上空を渡っていくハクチョウの鳴き声が聞こえてくる季節になりました。「オーイ、こっちだぞ~」と仲間を呼んでいるのでしょうか。

 事務所の庭には早くもフクジュソウが咲きました。

 落ち着かない日々が続いていますが、そんな中でも身近な自然の季節のうつろいを感じると、和やかな気持ちになります。早く、そしていつまでも平穏な日常が続きますように。

 さて、旭岳ビジターセンターに新しい展示が増えましたので、お知らせします。

 【① 高山植物と高山性昆虫のアクリル標本】

 なかなかじっくり見られない昆虫や、高山植物の種や断面など、アクリル標本を手に持って観察することができます。お花も昆虫も、厳しい山岳地に生息しているとは思えないほど、華奢な姿です。

 【② アクティブレンジャーが作成したクイズの冊子やコースの紹介など】

 「あなたに合ったオススメの登山ルート(入門編と宿泊編)」、「高山植物クイズ」、「アニマルトラックのクイズ」など、現行の展示は平面のものが多いので、めくったり、開いたりしたくなるよう工夫しました。

 ご来館いただいた方に、楽しんでもらえる特別なビジターセンターになるよう、これからも色々な展示や体験が増えていく予定です。お楽しみに。

 状況が落ち着いたら、新しい展示が増えたビジターセンターにお越し下さい。

 それまでは、ガーデニングや家庭菜園もはじめられる時期になりますし、読み溜めていた読書などご自宅で過ごす楽しみを見つけてみてはいかがでしょうか?ランニング、お散歩も良い時期になりますよ。

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2019年12月05日愛おしき北の生きものたち

大雪山国立公園 東川 渡邉 あゆみ

 こんにちは、東川自然保護官事務所の渡邉です。

 12月に入り、東川町にもいよいよ本格的な冬がやってきました。

 空にはオジロワシが飛び、キタキツネが獲物を捕るために雪の中へ頭からダイブ!早くも野生動物から冬の風物詩を届けてもらいました。極寒をもろともせず、フワフワの毛皮をまとい、強い生命力で逞しく生きる姿は、夏よりも気高さが増し、神々しく見えます。これからはアニマル・トラッキングが楽しい時期になりますね。

 さて、今年6月から道内各所を巡回をした「アクティブレンジャー写真展2019~愛おしき北の生きものたち~」も残すところ東川町と札幌チカホ展(2020年1月22日(水)開催決定!)のみとなりました。

 東川町モンベル大雪ひがしかわ店2階では12月3日(火)~12月25日(水)まで開催中です。

 昨年度までは一人1枚ずつの展示でしたが、今年は一人2枚に展示数が増えました!アクティブレンジャーならではの、皆さんに紹介したい愛おしい北の生きものたち。是非、見に来てください。

 アンケートにお答えいただいた方には東川会場オリジナルの「愛おしき北の生きものたち」シオリをプレゼントしております。(特にナキウサギ・ファンの方は必見です☆)

 是非、アンケートのご協力もお願いいたします。

 

本編に併せて、サテライト展として、旭岳ビジターセンターでも昨年度の作品を展示しています。こちらは6枚ずつ、2回に分けての展示となります。

 第一弾 12月 3日(火)~12月13日(金)

 第二弾 12月13日(金)~12月25日(水)

 

もうすぐ旭岳スキーコースがオープンします。旭岳へいらした際は、ぜひお立ち寄りください。

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2019年10月31日原始ヶ原とヒグマ

大雪山国立公園 渡邉 あゆみ

 こんにちは。あと一ヶ月後には一面雪景色と想像すると、歓喜のあまり胸がドキドキしてくる東川自然保護官事務所の渡邉です。

 大雪山国立公園では夏山シーズンがはじまる6月から、登山道利用者を把握するため各登山口に登山者カウンターやトレイルカメラを設置し、登山者数をカウントしています。(昨年度までの登山者数はこちらをご覧ください。)

 カウンターは人体から放射された赤外線(熱)を検知し、通行者数を自動でカウントしたり、トレイルカメラは人体や動物の放射する遠赤外線を読み取り、自動的にシャッターを切って写真撮影を行なうもので、各所に設置したカウンター・カメラは夏山シーズンが終わった10月中旬に撤去し、登山者数の集計作業をします。

 原始ヶ原登山口に設置したトレイルカメラのデータを集計中、つい手が止まってしまった画像が記録されていたので紹介します。

ヒグマです。

 見てください。この太くて短い足、地面につきそうなお腹、むっちりボディー。10月に撮影された写真↑で、冬眠の準備は万端という雰囲気でしょうか。貫禄があるので"横綱"と命名します。

 ヒグマは時速50kmほどで走れると言われていますが、この体付きでそんなに早いスピードが出るとは想像しにくいですね。

 

 この写真↑の注目ポイントは、尋常じゃなく発達している肩の筋肉。腕力の強さが見て取れます。張り手をしたら凄そう、と言うことで"張り手"と命名します。この腕を使い、木登りや急斜面の山越えもラクにするのでしょう。長い爪もあるので、穴掘りも得意です。

 "横綱"と"張り手"が同一個体かはわかりませんが、原始ヶ原で記録されるヒグマのほとんどが23時台に撮影されています。まれに、夜中の1時や2時にも記録されていましたが、昼間には一枚も記録されていませんでした。 暗闇でも行動できるのは嗅覚が優れている証拠ですね。

 原始ヶ原のヒグマは、昼間は一体どこで寝ているのでしょうか。

 

 8月、原始ヶ原滝コース巡視中、非常に珍しいヒグマの死骸を見つけました。骨と毛が散乱し、既に臓器等はありませんでした。肋骨らしき骨は細かったので、まだ子グマだったのでしょうか。

 どうしてこんなところで亡くなってしまったかはわかりませんが、山の神(アイヌ語でヒグマは、キムンカムイと呼ばれ、山の神を意味します。)は小動物の養分になり、山に還ったのでしょう。もしこのヒグマが転生するとしたら、次は何に生まれ変わるのでしょうか。

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2019年09月13日ダメ!絶対!トイレそのまま野外放出

大雪山国立公園 渡邉 あゆみ

 最近の大雪山の流行、知っていますか?

 「タピオカ」?「おっさんず・ラブ」?

 いいえ、携帯トイレです。

 大雪山国立公園では、山岳団体と共同で平成30年7月10日に「大雪山国立公園携帯トイレ普及宣言」を行い、様々なアプローチで携帯トイレの普及に努めています。

 紅葉ハイシーズンの期間中、赤岳(9月14日(土)~23日(月))・高原温泉(9月20日(金)~29日(日))には仮設で携帯トイレブースを設置します!

 また、この夏からはセイコーマート層雲峡上川店、東川店、うえだ上士幌店、屈足店、セブンイレブン新得町南店で大雪山オリジナル携帯トイレが販売されています!

 そしてこの度、美瑛富士避難小屋の横に、悲願の携帯トイレ常設ブースが完成しました!

 

 美瑛富士には、避難小屋や野営指定地があるにも関わらずトイレ設備がなく、トイレの時は暗黙の了解のように小屋の裏や茂みに隠れ、用を足していました。

 ただ用を足すだけならまだしも、お尻を拭いたティッシュは残置され、ティッシュは溶けないままあちこちに点在し、非常に不愉快な光景が広がっていました。

 また、踏み跡はお花畑を踏みつけ、四方八方にトイレ道が続いていました。

 

【美瑛富士のトイレ道】

 そこで、山のトイレを考える会が2004年頃から美瑛富士でし尿・ティッシュの清掃をはじめ、それ以降も地道な活動を続け、2015年には北海道内の山岳関係9団体による「美瑛富士トイレ管理連絡会」を設立。2016年から環境省が試行的にテント式の携帯トイレブースを設置、6月末~9月末までトイレ管理連絡会が交代で保守点検・パトロールを行っていました。

 その間、環境省では美瑛富士に常設の携帯トイレブースを設置した場合、トイレブースが有効に活用されるかアンケート調査を4年間実施。その結果、美瑛富士での携帯トイレの認知度や持参率は年々上がり、常設携帯トイレブースを設置した場合の使用の意思も高いことがわかったため、この度立派な常設携帯トイレブースの完成にいたりました。

 私も以前は、大雪山では携帯トイレは流行らないと思っていました。

 何故なら、広大な大雪山ではテントなどの宿泊装備を担いでの縦走がメインとなり、ただでさえ重いのに、何泊も使用済みのトイレを持ち歩くことは、邪魔だし、臭いし、値段も高いし・・・「私にとっての正当な理由」がありました。

 ですが、頑張って辿り着いたピークで思いっきり深呼吸をしたいのにアンモニア臭がキツく、思わず顔をしかめたり、茂みの奥に行けば見苦しい人糞や何故こんな物も持ち帰らないのかと憤慨したくなる使用済みティッシュが残置され・・・山に行くたびに、そのような残念な光景に直面していると、大雪山で携帯トイレを使用しないことに正当な理由はなく、ただの言い訳に過ぎないと遅まきながら気付き始めました。

 

 携帯トイレを使わずに野外に排泄したり、ティッシュを残置することは、山を汚すことと同じではないでしょうか。

 美しい大雪山を愛している登山者の皆さん。一人一人の行動が未来の大雪山の姿につながります。

 私達は雑食で、私達のし尿は、野生動物のし尿と違い、臭いです。ティッシュは非水溶性なものが多いので溶けません。

 

 総合サービスの携帯トイレは1つのシートに、3回分くらいのオシッコを吸収してくれるので、縦走の時に持って行きます。モンベル社のはコンパクトになるので、日帰り用です。

 山によって使い分けをしたり、ペット用のおしっこシートを使って節約してみたり、尿瓶に挑戦してみたり・・・色々方法を試して、お財布や自然にも優しく、あとから来た人も気持ち良く、携帯トイレを使うのが当たり前になる大雪山になるために、携帯トイレの普及を進め、女性でもストレスない山のトイレライフを研究していきます。

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2019年09月04日お連れします、大雪山の紅葉へ

大雪山国立公園 渡邉 あゆみ

 水田農業が盛んな東川町では、早くも稲刈りがはじまりました。お米が大好きで、おかずなしでご飯だけでイケる派、東川の渡邉です。ツヤツヤ・ピカピカの新米をいただけるのが今から楽しみです♪

 9月10日(火)~9月29日(日)まで、旭岳ビジターセンターで「大雪山国立公園パークボランティアが撮影した大雪山の紅葉」をテーマに写真展を開催します。

 

 大雪山を深く愛し、日頃からご活躍いただいているパークボランティアの皆さんが、それぞれの視点から写した美しい紅葉の写真です。

 第一段が9月10日(火)~9月20日(金)、第二段が9月20日(金)~9月29日(日)。スペースの都合上、5枚ずつの展示ですが、写真を入れ替えるので、二回楽しんでいただくことが出来ます。※会場では、チラシに掲載していない写真を展示します。

 写真の他に、パークボランティア活動を紹介したパネルも展示します♪

 

 パークボランティアの皆さんは、写真がとってもお上手。

 準備をしながら、美しい紅葉写真に見入り、胸がいっぱいになってしまいました。何度も見慣れている景色なのに、どうしてこんなにも心を揺さぶられるのでしょうか。

 雪が降るまでのほんの一時、終焉前に山肌を燃やすかのように赤や黄色の豪華絢爛の景色を見せてくれる大雪山の紅葉。お花畑だけじゃない、紅葉も凄すぎる。どんなポテンシャル持ってんだい大雪山・・・と思わずつっこんでしまいました。素晴らしい写真なので、たくさんの人に見ていただきたいです。

 今回、写真をご提供していただいたパークボランティアの皆様、ありがとうございました。

【※この写真↑は、渡邉撮影のピントがずれた写真です・・・】

 ツンと冷えた空気や淡い色の青空、全体が茶色っぽくなり、ゆらゆらと黄金色の穂やチングルマの綿毛が揺れる、哀愁漂うひっそりとした秋の山。そういえば私は秋が大好だったんだと思い出し、またあの乾いた涼やかな風に包まれると思うと、これから始まる季節に楽しみで胸がドキドキしてきました。

 見た人を、大雪山の一番いいところへ、連れて行ってくれるような、紅葉写真展へ是非ご来場ください。

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2019年08月29日マルハナバチ・ファンクラブ

大雪山国立公園 渡邉 あゆみ

 こんにちは、東川自然保護官事務所の渡邉です。

 9月も間近に迫った山は、紅葉が色づくまでのわずかな時間、登山者も少なく静かな山歩きをすることが出来ます。早くも今シーズンを振り返り、残す紅葉を楽しみに、でも淋しい気持ちにも浸りながら、今年の夏も大雪山を歩けたことに感謝の気持ちが湧いてきます。

 

 山になりたい、ヒグマになりたい、と常々願っている私ですが、8月になるとマルハナバチになりたい願望が芽生えてきます。

 毎年8月は3~4回、姿見の池周辺でパークボランティアの皆さんと特定外来生物セイヨウオオマルハナバチ(以下:セイヨウ)防除活動を行うのですが、同時に在来マルハナバチのモニタリングもしています。

 ※セイヨウについての詳細はこちらの日記をご覧ください。

 

 マルハナバチは体毛がモコモコなのがトレードマーク。模様は各種で違いますが、頭・お尻・体付き全体が丸っこくて、愛らしさ満点です。

 モニタリング中に見られる、在来マルハナバチの健気さと言ったら。

 蜜を吸いに花びらに潜り込んだり、花粉団子を付けすぎて重たそうだったり・・・花粉をたっぷり付けて花びらから出てくる姿を見ていると、お花とハチが共存している様子に改めて感動し、健気に蜜を運ぶマルハナバチが尊い存在に思えてきます。

 私も大雪山のお花の蜜を吸って、それをエネルギー源に生きていきたい。花粉団子を集めてみたい。エゾオヤマノリンドウに潜り込んでみたい。大雪山のお花を咲かせる一因になりたい。

 

 そんなマニアックな想いを秘めていますが、慌ただしい日常を離れ、ハチをじっくり観察し、感想を言い合い、尊さを共感し合えるパークボランティアの皆さんとの時間も私にとっては癒やしタイムです。毎回楽しく活動させていただき、ありがとうございました。

 

 残念ながら、今回のモニタリングで7年ぶりにセイヨウが姿見の池で発見されてしまいました。この日は風が強かったので、上昇気流に乗って上がってきてしまったのでしょう。しっかり捕獲しましたが、そもそも、セイヨウも人間が持ち込んだ生物。罪のないセイヨウを悪者のように扱い駆除するのはとても心苦しいですが、今ある希少な大雪山の自然を壊さず、次の世代に引き継ぐためには必要な活動です。

 大雪山にお尻の白いモコモコのマルハナバチがいたら、教えてください。

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2019年08月21日大雪山の動物たち

大雪山国立公園 渡邉 あゆみ

 大雪山の魅力は、山だけでなく、山で暮らす野生動物たちの存在もかかせません。

 今年の夏は、いつもの年よりも多くの野生動物に出会いました。

 特に、子育て真っ盛りの7月は山に行くたびに動物の親子に出会うことができ、手に汗握って応援したり、癒やされたり、今日も何かの親子に出会えるかな?と、ワクワクしながら登山口へ向かっていました。

 そんな7月に出会った野生動物の親子を紹介します。

【姿見の池の近く エゾシマリスの親子】

 登山道を歩いていると、はじめに母シマリスが目の前の岩の上に現れました。ジッとしていると、そのうち子供2匹も登場。

 見晴らしがいい登山道では、外敵のカラスやキタキツネに見つかる危険があります。母リスは、外敵がいないのを確認し、「こっちだよ!」と子供を誘導。岩から岩へちょこまかと、少しずつ、少しずつ進んで、ササの中に消えていきました。

 人間にとっては一歩の距離も、シマリスにとっては緊張の大移動になるのでしょう。3匹とも元気かな?

【原始ヶ原林間コース エゾライチョウの親子】

 樹林帯の登山道を歩いていると、まず大きな母ライチョウがバサバサと羽音を立て目の前を横切りました。ここでもジッとしていると、続いてまだフワフワの毛の幼鳥2羽が枝から枝に危なっかしく飛び移っているのが見えます。静かに見守っていると、ガサガサと音が聞こえ、数m先の登山道をダーッと全速力で走っていく最後の1羽。3羽も幼鳥がいました!

 最後の1羽は飛び立ちたくても、私達がいることで、飛び立てず慌てて走って行ったように見えました。驚かせてごめんね。

 キリリとした母ライチョウと、まだ頼りなげでボサっとした感じの幼鳥3羽は、秋までは"家族群れ"で樹上で暮らし、秋以降は独り立ちするようです。

【つりがね山にエゾヒグマの親子】

 美瑛富士登山口から入山し、双子池で一泊。トムラウシ山へ行くため、十勝岳連峰の核心部でもあり、大雪山最奥地とも言えるコスマヌプリからつりがね山へ向かっている途中、ガス(濃霧)が切れた100mほど先の雪渓にいる母グマと2頭の子グマが見えました。

 観察していると、2頭の子グマはダッシュして急登を駆け上がり、下の雪渓に一気にスライディング!ズルズルと滑り落ち、子グマがはしゃいでいるのが見て取れます。無邪気に遊ぶ子グマを近くで見守る母グマ。ここはめったに人が通らないので、ヒグマの親子も警戒心を解き、自然体で過ごしているのでしょう。

 それにしても、山にいるヒグマはなんと品格があるのでしょう。私も3頭目の子グマになり、強くて優しい母に守られながら大雪山を自由に駆け回りたい!!と切望してしまいます。

 他にも、大雪山にはたくさんの野生動物が暮らしています。

 山の恵みを食べ、子を育て、長い冬を越えて、春の芽吹きと共に目覚める。

 寒い冬に耐えることができる毛皮、しなやかな軽い体や器用な指先、美しい鳴き声。全てが魅力的で、彼らと出会うたびに、心がほぐれ、憧憬の念は増し、この自然を守っていきたいと思わずにはいられません。

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