ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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大雪山国立公園 上川

159件の記事があります。

2008年09月26日紅葉と雪のコラボレーション

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

25日に黒岳やお鉢平展望台、北海沢まで巡視をしてきました。

23日の夕方から雪が降った黒岳。2,3日前まで日差しが痛いなぁって思っていたのに、一変して山は雪化粧をまといました。

久しぶりの足下がさくさくする雪の感触を楽しみながら、白いベールに包まれた、赤や黄色や緑の葉が際だって色鮮やかな、紅葉と雪のコラボレーションの美しさを堪能できました。
そういった景色が見られるのも、大雪山の魅力です。


展望台周辺から黒岳方面の様子。
白い線が登山道です。ほとんどの道はすっぽり雪に覆われてます。
ナナカマドの実は氷に包まれて、おいしそうでした。


しかし、景色にばかりうっとりしているわけにはいきません。

黒岳の登山道の雪は、登山者により踏み固められて、ツルツルになっている所もあるので、要注意です。また巡視したこの日は風も強く、登りでうっすらかいた汗が、あっという間に体温を奪っていき危険です。

これからは、しっかりとした冬山の装備が必要です。


滑ります、下りは特に慎重に!!
帰りは景色を楽しむ余裕はないほど、ツアーの皆さん真剣に下りています。
一息つくときに、黒岳の紅葉の斜面と正面ニセウカウシュッペ山の紅葉してる斜面をゆっくり見てください。


雲の平では、こんな氷のオブジェもみられました。
ロープ柵の鉄杭型の氷。見事です。
木柵には、「小さなエビのしっぽ」氷できてます。

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2008年09月16日レクチャーしてます

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

日本一早く紅葉する、大雪山。今年は、8月に早く色づいたものの、9月の気温が暖かいので、色づきの進み具合が読めない日々が続いています。

そんな中、銀泉台では、マイカー規制が始まり、紅葉を楽しみにしてくる登山者でにぎわい始めました。


9月16日の第一花園下の斜面の紅葉具合。

今年度は、初めての試みで、私やPVさんが、赤岳登山口でレクチャーをしています。連休中やその前後に活動していきます。

自然を楽しむ一人一人が、少しでも登山道や登山道周辺のインパクトを減らせられるように、少しのマナーをお願いしています。
これから、銀泉台ルートを利用される方、ご協力お願いします。


みなさん、真剣に聞いてくれて、嬉しいです。
また、帰ってきたときの笑顔や、「ありがとう」や「がんばって」の声かけが、励みになりました。


9月16日の赤岳の奥ノ平では、チングルマの葉の紅色が輝いていました。

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2008年08月29日にぎやかな秋

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

日常生活でも、空が高くなったと感じたり、鰯雲を見たり、空気が冷たくなったきたりと、身近に秋を感じてきました。

山の上も、もう秋です。

赤岳第3雪渓(8/28)

植物の色彩が豊かになり、動物たちの食べることに夢中の姿をよく見かけるようになって、夏山シーズン終盤の賑やかな山になってきました。

シマリスはハイマツの実に夢中。

その年の天気や気温に左右される紅葉。今年はどんな彩りを見せてくれるでしょか?楽しみです。

今年も銀泉台線、高原温泉線の道路のマイカー規制を行います。
ご協力をお願いします。
詳しくは、下記URLをご参照下さい。


ホシガラスがハイマツに夢中の所におじゃましたら・・・、驚いたかな?

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2008年07月18日雪田植物

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

登山道整備や調査で長い縦走路を歩いていると、チングルマがちょうど見頃なところ、花びらが散り始めているところ、もう花が終わって綿毛になっているところなど、歩きながらチングルマの一生の流れをみることができました。
それを見て、雪と植物の関係や、雪と共に生きている植物たちのたくましさに気がつきました。




チングルマは、夏期の遅くまで雪が残る「雪田植生」といわれる場所に広域にわたりお花畑を作ります。雪が無い状態の期間が短いので、雪が溶けたところから、花を咲かせて種を結ばなければなりません。こういった植物を「雪田植物」と呼んでいます。

残っている雪も重要な役割をもっていて、高山植物に水を供給して、お花畑を養う貴重な存在でもあります。

雪田植物は雪と上手につきあって未来へと子孫を残していきます。


エゾノツガザクラも雪田植物です。

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2008年07月03日”ミステリー”サークル

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

大雪の山々も、稜線上や雪が溶けたところは、花が美しさを競って賑やかになってきました。

チョウノスケソウも咲き始めました♪
緑岳~小泉岳の間(7/2撮影)


巡視中におもしろい物を見つけました。
いくつもある、ミステリーサークル。
いやいや、ミステリーではなく、この緑色の丸い形を作っている群落は、ミヤマバイケイソウです。
このような形になるのは、これは地下にある根茎から同心円状に芽が出るからだそうです。
綺麗な円になっている株から、円になりきれていない株もあり、それを見ているだけでも楽しいです。

このミヤマバイケイソウの緑サークルの群落は、黒岳から北海岳に行く途中の赤石沢付近にあります。

音が聞こえそうほど楽しげな、ミヤマバイケイソウの芽

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2008年05月29日沼の平

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

 5月29日、愛山渓-沼の平の登山道を巡視してきました。
 今の登山道の状況は・・・、

 登山道に入ってすぐに、道の脇には春の花、エゾノリュウキンカが咲き、私を迎えてくれました。黄色い花を横目に、意気揚揚と足が前に出ます。



 沼の平まではだいぶ雪も解けていましたが、まだ残雪もあります。雪はだいぶ薄くなっているので、踏み抜かないよう恐る恐る慎重に踏み出して進みましたが、踏み抜く度にビックリします。また、この時期はものすごい勢いで雪が解けているので、登山道は川のようになっています。ぬれたり、汚れたりする覚悟が必要で、今日の私は長靴で行きました。



 目的地の沼の平は、やっと水芭蕉が咲き始めた所で、春はこれからという感じでした。




 今年もこの美しい景色に出会えたことに感謝して、山に向かって「今年度もよろしく」と挨拶して降りてきました。

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2008年04月21日春山

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

 4月15日、春スキー利用者が行く、北鎮岳まで巡視に行ってきました。

 春とは思えない強い日差しや、強烈に跳ね返る雪の反射光を浴びて、ザクザクの春の雪を踏みながら、スキーを担いで、スノーシューで上がりました。
久しぶりの重荷で根をあげそうになりましたが、北鎮岳山頂に着いてから見た景色は、疲れを吹き飛ばし、自然と笑みが出るほど美しかったです。

 帰りの黒岳の斜面は、行きのザクザクとした雪質とは違い、パリパリと表面が凍っていました。少し前の3月下旬の休日に北鎮まで行った時には、黒岳の斜面はツルツルに凍っていて、上がるのにも滑るので、大変でした。

 日々、雪質が変わりやすい時期です。
十分気をつけて春山を楽しんでください。


黒岳斜面。
足跡やスキー跡などなど、いろいろな跡がたくさんで賑やか。


北鎮山頂から。
広さを誇る大雪山らしく、トムラウシや十勝岳連邦の方まで見えて、最高の展望でした。


北鎮岳。
風の模様(風紋)をまとっていました。

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2008年04月11日渡りの途中

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

 道内の各地で春の使者が訪れています。
愛山渓の田んぼにも、珍しい来客者がやってきました。



 ハクチョウです。
 私が見たとき(4/10.pm)で、およそ150羽。愛山渓の谷間にハクチョウの鳴き声が響き渡っていました。

 ハクチョウたちは、シベリアへ渡る中継地点として、一時の休憩をしているのでしょう。渡りの体力を蓄積するために栄養補給に夢中でした。
田んぼのそばに住む方によると、「愛山渓で、白鳥が休みに来たのを見たのは、50年住んでいるけど初めてのことだ」そうです。

 謎の多い渡り鳥。事情が変わってここまで来たのでしょう。ハクチョウと話ができれば、どんな事情や環境変化があったのか、聞きたいところですが、話ができないから、余計興味がわきます。





大雪山の麓の層雲峡や愛山渓地区では、水芭蕉も咲き始めました。

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2008年03月14日すり鉢山山麓を歩く

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

3月9日(日)に自然観察講座で、すり鉢山山麓を歩きました。
上川町内にあるすり鉢山山麓は、夏場は牧草地なので、この時期は一面が雪原です。

正面がすり鉢山。
すり鉢をひっくり返した形に似ていることから名付けられたとか。

この日は快晴でしたので、周りの山々が美しく見えました。
表大雪山、北大雪山も日の光を浴びて、ぴかぴかと輝いています。
あそこを歩いたねと、夏の登山を思い出しながら、景色を眺め、楽しみました。

左端の黒岳から右端の当麻乗越までの表大雪山が一望できました。

そして、今回見つけた、気になる物がこれ↓


吹きだまりの下にあけられた穴。
直径10㎝ほどの穴をのぞけば、中は縦も横も広く、雪もきちんとならされてあります。
入り口には消えかけの足跡と、強烈な獣臭。
「誰のもの?」
「中に何かある?」
「どんな利用をしているのだろう?」
という幾つかの疑問。
こういった、興味・関心が、自然を観察する、はじめの一歩だと思います。

実は私は、その後もこの穴が気になっているので、調べています。

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2008年03月06日今の黒岳

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

3月5日、黒岳を巡視してきました。

リフトを降りて山頂を見上げれば、斜面に何本もシュプールが描かれていました。この日も山頂で2組のスノーボーダーに会いました。
長い冬の後半に入った今の黒岳は、雪遊びができ、綺麗な結晶の雪が降ります。


(3/5黒岳山頂にて)

山頂付近では数羽のホシガラスがあちこちでウロウロしていました。
よく見ると、地面を掘っています。雪を飛ばし、土も飛ばしています。




そうです、秋に地表に貯食した物(主に実や種)を探して、掘り当てているようです。
しばらく見てると、数羽いたので、掘り当てた物を奪い合うことも、しばしばありました。彼らにとっては死活問題なので、真剣です。


(手前の雪をほじって、少し移動してまたほじっていました。)

貯食の為に、地面に埋められた種や実は、ほとんどが探し当てられて食べられますが、不思議な自然の法則により、もれなくいくつかは、そのまま忘れられ、春になると芽吹きます。
ホシガラスの好物のハイマツも、そのいくつかのわずかな可能性にかけています。


(2007年6月下旬。ハイマツの実生。)

まだまだ冬です。
ほとんどの物が、雪の下で春を待っています。


(黒岳石室とトイレ(3/5)
 屋根が雪から完全に出ています。雪が少ないようです。)

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