大雪山国立公園 上川
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2021年09月08日紅葉マイカー規制
大雪山国立公園 忠鉢伸一
こんにちは。大雪山国立公園管理事務所の忠鉢です。
今年の北海道の夏は雨がほとんど降らず、暑さも北海道とは思えないほどでした。
季節の移ろいは早いもので、植物の葉は色付きはじめて、長い冬が近づいているのを日々感じます。
麓の上川町でも、太陽が出ている時間は暖かいのですが、朝晩は冷え込む日が増えてきたようです。季節は確実に進んでいきますね。
9/6 黒岳にて撮影
さて、紅葉時のマイカー規制が来月から始まり、銀泉台、高原温泉は一般車での出入りが規制されます。
銀泉台 9/18~9/26 (ゲート閉鎖 9/17 19:00~)
高原温泉 9/23~10/3
詳しい情報は上川町のホームページをご覧ください。
紅葉が綺麗になる条件としてはいくつかあります
・昼と夜の気温差
・直射日光がよくあたること
・適度に湿度があること
この三つが紅葉が綺麗に色づく条件のようです。
今年の現時点では紅葉の色づきが良く、素晴らしい紅葉が見られるのではないかと期待してしまいます。
日本一早いと言われる大雪山の紅葉ですが、今年はどんな彩りを見せてくれるのでしょう。
9/1 赤岳第1花園にて撮影
紅葉マイカー規制の時期、層雲峡紅葉谷ではの紅葉ライトアップイベント「奇跡のイルミネート」が開催されます。
山の上の紅葉が終わる頃、層雲峡は紅葉の見頃を迎えます。
秋の夜は層雲峡紅葉谷での散歩を楽しんでみてはいかがでしょうか。
2021年08月31日層雲峡命名100周年
大雪山国立公園 上川 忠鉢伸一
こんにちは
大雪山国立公園管理事務所の忠鉢です。
8月も最後の日を迎え、そろそろ次の季節が来そうですね。
今年は大雪山もとても暑い夏でしたが、山の上ではすでに紅葉が始まっています。
朝晩は気温もぐっと下がってきました。
今年は層雲峡命名100周年ということで少し層雲峡命名のお話をしようと思います。
層雲峡と名付けたのは、「大町桂月」という当時全国的に広く知られる文学者とされています。
大正10年(1921年)8月、大町桂月は層雲峡を初めて訪れた際に、当時「霊山碧水峡」と呼ばれていた石狩川上流の渓谷を、アイヌ語「ソウンペッ(滝のある川)」にちなむ双雲別川をヒントに「層雲峡」と命名しました。
この時、大町桂月は層雲峡から数日間がかりで大雪山系を縦走し、天人峡に下山しました。
桂月岳から見た夕暮れ(8月)
この当時は、国内では、すでにロープを使ったクライミングが始まっていたという記録もあり、日本人登山家がヨーロッパアルプスで最も困難なルートに初登攀するという時代でしたが、大町桂月はなんと袷衣姿に草鞋履きで沢筋を遡行して稜線へ登り、縦走を果たしたことになります。高性能な道具もない、整備された登山道も、ロープウェイもない時代です。無謀とも思える山行ですが、彼の冒険に対する情熱と、なにより8月の天気に恵まれたから成し遂げられた縦走だったのかもしれません。
縦走の途中、大雪山系黒岳の近くにあった無名の山に登頂しました。この大雪山縦走計画の企画者でもある塩谷忠の提案で、この無名の山がのちに桂月の名を冠した桂月岳(標高1938m)となったと言われています。
この大町桂月による縦走後、層雲峡や大雪山の名は全国に知れ渡っていくことになります。
大雪山が国立公園として指定されるのはそれからさらに13年後の1934年になります。
そのお話はまたいつか日記に書こうと思います。
層雲峡園地にある大町桂月の碑文
「人若し余に北海道の山水を問えば、第一に大雪山を挙ぐべし。次に層雲峡を挙ぐべし。大雪山は頂上広くして、お花畑の多き点に於いて、層雲峡は両崖の高く且つ奇なる点に於いて、いづれも天下無双」
と書かれています。
現代風に大まかに訳すと・・・
「誰かが北海道の素晴らしい景観はどこか?私に尋ねればこう答えます。最初に大雪山を推薦します。次が層雲峡です。大雪山は頂上部分が広く、お花畑が多いのが特徴です。層雲峡は崖がとても高く、その形はとても変わっています。両方とも他には、まず見ることができないほど素晴らしいものです」
大雪山と層雲峡は、これから100年後も碑文にあるような素晴らしい場所であり続けてほしいです。
大町桂月(1869~1925)高知県生まれ 詩人、歌人、随筆家、評論家
大正時代には登山家としても活動し、北海道各地を旅してその魅力を発信しました。
※大町桂月の文学碑は層雲峡以外にも北海道各地に点在しています。
参考文献「大町桂月の大雪山」
「大雪山のあゆみ」
「大雪物知り百科」
2021年08月30日大雪山国立公園携帯トイレ普及キャンペーンin黒岳石室
大雪山国立公園 入江瑞生
大雪山国立公園は、本州の山岳地と比べて避難小屋や常設トイレなどが極めて少なく常設トイレのない宿泊地を中心にし尿の問題が深刻となっています。登山者がし尿を排出するため登山道を外れて繰り返し歩き、高山植物が消失して裸地が拡大、土壌が流出するほか、排出されたし尿が放置されることによる景観の悪化、不快感の増加による利用上の支障、土壌の富栄養化など周辺植生への悪影響や水場や沢水等の汚染も懸念されています。そこでH30 年に大雪山国立公園に関わる山岳関係機関18団体が協力し「携帯トイレ普及宣言」を行い、山岳環境を維持するために携帯トイレの利用推進を行っています。大雪山国立公園連絡協議会では、8月7日に携帯トイレ普及キャンペーン活動の一つとして安く作れる携帯トイレの配布を行いました。今回のキャンペーンは携帯トイレブースがあり、携帯トイレをすぐ使える黒岳石室で行いました。天気が下り坂ということもあり利用者は少なめでしたが、石室を利用した約8割以上の方に携帯トイレの話や、配布を行うことができました。
<配布内容>
1セット:45Lの防臭ゴミ袋、防臭ビニール袋、凝固剤、防臭ジッパー袋を各一個づつ
山用品店でなくてもホームセンター等で安くそろえることができるもので作ってみました。「これでは不安だ」という方は、登山口近くのコンビニでも携帯トイレの販売を行っている箇所がありますので調べてみてください!
登山者の方と話をしていて驚いたのは、日帰りではトイレに行かないという方が多く、携帯トイレを持参されない方が多いということでした。一方で、今年は北海道でも猛暑が続き登山中に熱中症で下山できなくなったという人が多かったそうです。持って行く水の量が少なかったことが大きな原因ではあるようですが、トイレのことを気にして水を飲めず脱水症状になってしまったという方もいらっしゃるのではないかと心配になりました。
そんな時に有効なのが、携帯トイレです!!持っていればいつでも用を足すことができます。ポンチョ等も売られており、急を要しても隠れることができます。
大雪山国立公園では、常設のトイレブースや携帯トイレブースが設置されている場所もありますので事前に調べてみてください!
今年度大雪山国立公園管理事務所の何人かの職員で使い始めてたのがピーボトルです。
携帯トイレを初めて使用する時よりも抵抗感はありましたが、使っていると携帯トイレより良い場面もあるなと感じています。また洗って使い回しをできるのでお財布や環境にも優しいのではないかと期待しています。キャンペーン中に1組の登山者がピーボトル使ってますよという嬉しい話も聞きくことができました!!
ティッシュが風で舞い、野外し尿痕で汚れている山ではなく、雄大で綺麗な大雪山国立公園であり続けてほしいと改めて思いました。皆さんも登山の際にザックの中に携帯トイレ常備しておいてはいかがでしょうか?
2021年08月13日ヒグマ情報センター巡視員体験
大雪山国立公園 入江瑞生
大雪山国立公園には高原温泉ヒグマ情報センターがあり、そこから沼巡りができます。紅葉の時期は人が多く人気な場所なのですが、この時期の見どころは、雪渓の上でごろごろと涼んでいるヒグマの姿が見られることです!
登山者とヒグマの接触が起こらないように巡視員がおり、今回は巡視員の体験をしてきました。
朝センターの専門の巡視員と一緒に、痕跡を探しながら高原沼まで行きました。この時期の沼巡りコースにいるヒグマはミズバショウやフキを食べ、雪渓の近くではハクサンボウフウを食べているのではないかとセンターの方は話していました。
上の写真にヒグマがいるのですが、皆さんは見つけられますか??
雪渓の上の方にある黒い点がクマです!!今回は高原沼まで行くと、運よく雪渓の上でゴロゴロしているクマがいました。雪渓を出、食事を再開したと思うと雪渓に戻ってきて涼む姿は、とても愛らしかったです。高原沼でクマを観察している最中はとても暑く、雪渓で涼むことができるヒグマがうらやましかったです。現在残雪状況は下の写真の通りで、8月中旬までは雪渓が残るだろうといわれています。
沼巡りコースは名前の通り沼が多く、それぞれの沼で雰囲気が違うので、とてもワクワクしながら沼が見られるのではないかと思います。
紅葉時期もきれいですが、雪渓が残るこの時期の沼巡りコースもおすすめです!
コース内を歩いているとエゾシカもいました。こちらを確認してまた食事を再開。とてものんびりとしているシカでした。
清流やきれいな湖池にしか生息しないバイカモが見ごろでとてもきれいでした。
巡視員として周りを見ながら気を付けてゆっくり歩いてみると、今まで通り過ぎていた植物、昆虫たち、痕跡に出会えました。山頂目指して歩くのも良いですが、皆さんもぜひ周りをゆっくり見ながら歩いてみてはいかがでしょうか?
2021年08月12日2021年 白雲岳避難小屋の夏
大雪山国立公園 忠鉢伸一
こんにちは大雪山国立公園管理事務所の忠鉢です。
少し時間が経ってしまいましたが今回は7月23日~24日に、白雲岳避難小屋の連休中の利用状況を確認に行った時の様子を紹介したいと思います。
7/23撮影 白雲岳避難小屋
昨年の10月に完成した新しい白雲岳避難小屋は今年6月26日から運用が開始され、小屋の管理人も増えて新体制で始まりました。
そして今年から登山道維持の為の協力金を収受する取り組みが行われています。
協力金については利用される方が様々な媒体で情報を入手されて、沢山の人に協力していただいています。
このお金は白雲岳周辺の登山道整備に使われる事になります。
自分の好きな山を守るためなら、と協力してくれる人達をみるたびに
この山は山好き達に愛されているんだなと感じます。
7/23 白雲岳避難小屋 野営指定地 pm4:00頃
テント場はソロテントの利用者が多い様子でした。最近の傾向では3~4人でテントをシェアするスタイルがだいぶ減ったように思います。コロナ禍の影響なのでしょうか。
混雑時は管理人がテントを詰めて張るようにお願いしています。
この日は最終的にテントサイトの大部分が埋まる60以上のテントが幕営されました。我々はテントをもって上がってきましたが、テント場のほうが混雑していため、小屋泊となりました。
新しい白雲岳避難小屋はとても暖かかったです。
下界では見られないような星空を見上げたり、早朝に稜線まで歩いてご来光を見に行くのは山で泊まる楽しみの一つです。
高根が原が朝日でピンク色に染まっていく景色はいつ見ても素晴らしいとしか言いようがありません。
今年も沢山の山好き達が集う白雲岳避難小屋であって欲しいものです。
7/24 稜線上にて am4:10頃
8月に入りこれから白雲岳避難小屋は紅葉時期まで少しの間、静けさをとりもどします。
登山客が少なくなった今の時期は静かに過ごすには最適です。
準備を万全に整えたら天気と相談して、白雲避難小屋まで足を運んでみてはいかがでしょうか。
7/24撮影 白雲岳避難小屋
白雲避難小屋Facebook(避難小屋管理人の最新情報)
https://www.facebook.com/hakuundake.hinangoya/
白雲岳避難小屋(小屋の利用について)
7/24撮影 白雲岳避難小屋周辺
工事のために移植された周辺の植生も順調に回復しているようです
踏み荒らしたりせず、見守ってあげてくださいね!
2021年08月11日セイヨウオオマルハナバチの憂鬱
大雪山国立公園 忠鉢伸一
こんにちは
大雪山国立公園管理事務所の忠鉢です。
先日パークボランティアの皆さんと、赤岳と緑岳の花畑でセイヨウオオマルハナバチの防除活動を行いました。
在来種のマルハナバチ達が花から花へ蜜や花粉を集めて飛び回っていました。
今回はセイヨウオオマルハナバチは確認されませんでした。
しかしながら、今シーズンに大雪山の高山帯でセイヨウオオマルハナバチが発見された事例もあり引き続きモニタリングを行っていきます。
7/13 高根ヶ原で捕獲されたセイヨウオオマルハナバチ
人為的に本来の生息地から別の地域へ移入された生物を外来生物と言います(北海道では本州からの生物も外来生物にあたります)外来生物であって、生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼすもの、又は及ぼすおそれがあるものと指定されたものを特定外来生物といいます。
セイヨウオオマルハナバチはこの特定外来生物にあたります。
元はトマトなどの野菜の受粉をさせるのが目的でオランダやベルギーから輸入されたそうです。なぜそのセイヨウオオマルハナバチは特定外来生物に指定され、駆除対象となっているのか?
それにはこんな理由があります。
●盗蜜
在来マルハナバチに比べ中舌が短いセイヨウオオマルハナバチは
花の根元に穴を空けて蜜だけを盗む行為(盗蜜)を頻繁に行う。
花粉に触れることなく蜜だけを取られた花は受粉できず種を残せなくなります。
●在来マルハナバチへの影響
在来マルハナバチの女王を殺し、巣を乗っ取る事例が確認されています。セイヨウオオマルハナバチは増殖能力が高く、花蜜資源や営巣場所をめぐる競争力が強い為、野生化したセイヨウオオマルハナバチが在来種の生活環境を破壊するおそれがあります。
●在来種との交雑
在来マルハナバチの女王とセイヨウマルハナバチの雄と交尾することは確認されていますが、雑種が生まれることはありません。本来であれば産まれてくるはずだった在来マルハナバチは子孫を残せなくなります。
●病気の蔓延
輸入されたセイヨウオオマルハナバチから内部寄生性の「マルハナバチポリプダニ」という寄生虫が発見されたと報告があり、これらが在来種に感染していくおそれがあります。
セイヨウオオマルハナバチは増殖能力が高く、野生化することによって在来マルハナバチや、植物の種子繁殖へ悪影響を及ぼすことが懸念されています。
毎年パークボランティアと連携して、花の時期に在来マルハナバチのモニタリングをしつつ、セイヨウオオマルハナバチが高山帯に入り込まないよう監視活動をしています。
外来生物を持ち込むのは人間であり、外来生物自身には何の罪もありません。
人間の都合で勝手に連れてこられたのに、駆除されるのだから、セイヨウオオマルハナバチもたまったものではないでしょう。
しかし、在来の生態系を外来生物から守るためには、外来生物に対して正しい知識を持って人間が責任をもって外来生物を管理していかなければなりません。
セイヨウオオマルハナバチの見分け方を知りたい、防除活動に参加したいという方は下記のホームページを参照してください。
2021年07月12日一番遅い桜
大雪山国立公園 入江瑞生
今年は5月10日に日本全国を北上してきた桜前線も終わりましたが、大雪ではまだそこから様々な桜を見ることができました!!私の今年の桜は5月中旬の大雪の麓の上川公園から始まりました。公園からはエゾヤマザクラとともにまだ真っ白な表大雪の山々が一望することができました。
大雪の山々にも春の訪れを告げるかのようにチシマザクラが咲き始めました。
この写真は6月9日に黒岳ロープウェイを降り散策路で撮ったものです。
マルハナバチたちも忙しそうに花を巡っていました。
体が花に比べて大きいマルハナバチが蜜を求めて花に停まると、花が垂れ下がりブラブラと揺れ、それでもしがみついている様子は見ていて飽きることのない時間でした。
7月9日には松仙園の登山道でも終わりかけのチシマザクラが見られました。連日の雨により花はだいぶ落ちていましたが、この時期でも見られることに驚きました。
エゾヤマザクラの開花は5月ですが、チシマザクラは5月から7月と開花時期が長く、サクラの種類によっても開花の時期が異なります。またサクラの開花には開花前の気温に大きく影響すると言われており、今回見たチシマザクラは標高が高く雪解けが遅い大雪山国立公園の中でも遅い場所だったのではないかと考えられます。
7月上旬まで大雪山の中では見られると言われるサクラを今年初めて見ることができました。来年も楽しみです。
2021年04月05日大雪山国立公園管理事務所に着任しました!
大雪山国立公園 上川 入江瑞生
はじめまして!
4月1日より大雪山国立公園管理事務所にアクティブレンジャー(以下AR)として着任した入江瑞生です。私は大学から北海道に住み始めて、北海道の自然が大好きになりました。大学を卒業する前にもっとこの自然を知りたいと思い、ARになりました。
出勤二日目の今日は上川の事務所から大雪山の山々がくっきりと見えたすがすがしい朝でした。私は気分が上がった一日でしたが、皆さんはどうでしたか?
表大雪をバックに私の紹介写真を撮っていただきました。とても綺麗ですよね!!
紹介写真用に事務所の前でも撮ってもらいました。
これから、上川を始め大雪山の自然の情報や各イベント情報など定期的に皆様にお伝えできればと思っています。
大学を休学してARに着任したので右も左もわからない状態ですが、精一杯頑張ります。温かい目で見守っていただけると幸いです。よろしくお願いします。
2021年03月11日ニセイノシキオマップの氷瀑
大雪山国立公園 忠鉢伸一
3月7日に層雲峡で行われた自然観察講座の様子を紹介します。
上川町公民館主催、大雪山国立公園共催で上川町在住の方々を対象に行っているイベントです。
今回は層雲峡の沢山ある氷瀑の一つ、ニセイノシキオマップ滝を観察に行きました。
層雲峡には、源流であるニセイカウシュッペ山(1883m)から流れる「ニセイ」の名前のつく川が3つあり、それぞれが石狩川に流れ込んでいます。
「ニセイ・ノシキ・オマ・プ」とはアイヌ語で「渓谷の中央にあるもの」という意味。アイヌはこの3つの川を人体に形容して、中流に流れ込むこの川を胴体と表していたと考えられています。
(参照 山田秀三『北海道の地名』 知里真志保『地名アイヌ語小辞典』)
上川山岳会8名が講師となり、総勢28名での観察会となりました。
暖冬だった昨年の冬とは違って、ここには雪が沢山あります。先頭はラッセルしながら林道の中を進んでいきます。
晴れた日であればニセイカウシュッペ山の稜線が見えるようですが、この日はあいにくの曇空だったため山肌が見える程度でした・・・
野生動物の痕跡を探したり、溶け始めた川を眺めながら川沿いを進んでいくと、
氷結した滝が姿を現しました。とても綺麗な氷瀑です。
ニセイノシキオマップ滝は別名「ブルーウルフ」とも呼ばれています。
氷が青く見えるのがブルーウルフと呼ばれる由来なのでしょうか。
水が澄んでいるから氷も綺麗になるのでしょう。
アイスクライマー達にも人気の場所のようですが、氷の壁を登らない人であってもこの氷瀑を見たら感動すると思います。
層雲峡には一般的にあまり知られていないスポットがまだまだ沢山あるような気がします。
積もったばかりの新雪も味わえましたが、沢部分は大きく踏み抜く場所もあり、確実に春は近づいているなあと感じられました。厳しかった冬ももうすぐ終わりです。
自然観察講座に参加の皆さん、そして上川山岳会の皆さんお疲れさまでした!
大雪山国立公園では少しずつ紅葉が進み、短いグリーンシーズンの終わりを迎えようとしています。
さて、今シーズン見た面白い生き物たちを皆さんに紹介したいと思います。
ナガバノモウセンゴケは食虫植物の一種で貧栄養の湿地に生育します。葉の表に紅色を帯びた長い腺毛が多数あり、粘る液で小虫を捕らえ消化液で溶かして栄養としているそうです。下の写真は何が起こっているか皆さんわかりますでしょうか?
モウセンゴケに2匹のトンボが捕まっています。
粘液には2匹も捕まえることができる力があったのかと驚かされました!!
今までは、下の写真のように
小バエが捕まっているところは見たことがありましたが、このサイズの小虫ぐらいまででした。
一度気になって湿原を歩くたびにモウセンゴケの観察を始めると、他の場所でもトンボが捕まっていました。朝露のように小さな滴の粘液でどのくらいのサイズの虫を捕まえることができるのか気になりますね!
どこかのアニメで出てきそうな感じでかわいいですよね!頭部のオレンジに愛らしい目!!
見た瞬間かわいすぎて思わず写真を撮ってしまいました。
ハチ目ハバチ亜目という種類の幼虫ではないかと思います。日本に生息するハチの種類は4,000種以上とも言われておりこれ以上同定することはできませんでした。ハバチの仲間は他の動物や人を攻撃するための毒はもっておらず、群れも作らないそうです。そのため初めてこの幼虫を見たときハチの仲間だったとは気づきませんでした...
私は木です。
登山道を歩いていると、あたかも木に同化していると思っているようなエゾライチョウに会いました。登山道に沿って少しづつ近づいても変わらずこのポーズ。
微動だにせずじっとこちらの様子をうかがっていたので、エゾライチョウが逃げるまで待つのではなく、私たちが先に去ることにしました。
エゾトラマルハナバチが夢中になってサワアザミの蜜・花粉を集めていました。サワアザミには蜜が多いのか長いことどの個体も花にしがみついていました。アザミが下向きに咲くのでマルハナバチの調査をしていなければ気づきませんでした。好きな花があるのか、多くのマルハナバチはアオノツガザクラから蜜を集めていましたが、エゾノコザクラやチングルマからしか蜜を集めないというマニアな個体もいるようでした。
マルハナバチの働き蜂は、一日に2匹のハチを育てるだけの花粉を集めると言われており、大忙しに蜜を探して飛び回っています。どのような世界が彼らにあるのか少し覗けたような気がしました。