ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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大雪山国立公園 上川

159件の記事があります。

2008年01月21日小鳥たち

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

 日中の最高気温でもマイナス10℃前後と、身も凍る寒さが続いている上川です。
 
 そんな中でも、一時の晴れ間の森の中は、小鳥たちで賑やか。
コゲラにゴジュウカラ、シジュウカラ、アカゲラなど、夢中で虫を探して飛び回っています。
 
 小さい体で、寒い冬を乗り越えようとする姿を見て、元気をもらいました。

元気印は羽毛100% 【コゲラ】

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2007年12月14日雪が語る

大雪山国立公園 上川 大久保 智子



12月中旬黒岳。
色とりどりの植物で装い、多くの利用者で賑わいをみせる夏山の黒岳も、白銀一色となった冬のこの時期は、簡単に人を近づけさせない貫禄を放っています。

130㎝から170㎝積もった雪を踏みしめて山頂にたてば、積雪量の違いによる雪の白さの濃淡で、立体的に浮き上がっている山並みが連なっていて、白銀の世界が果てしなく広がっていました。

くぼみの深く積もっている雪を見れば、この雪が高山植物の貴重な水資源になっているのだろうと思い、雪がほとんど積もっていないところを見れば、厳しい強風や低温で、厳しい環境のなかでも植物は耐えているんだなとか思う。

また、雪の柔らかさは、多様な痕跡を残し、事実を語ってくれます。その代表的なものは動物たちの足跡で、山頂でも、あちこちに、キタキツネやユキウサギの足跡を見つけたり、ホシガラスがこちらを気にしながらも一生懸命に雪をほじくっていたりと、動物たちの息吹も感じます。もしかしたら、雪のある季節は入山者が少ないので、冬眠しない生き物たちにとっては、大雪山を自由に動き回れる、もってこいの季節なのかもしれません。

人にとって大雪山は冬季入山が困難な場所ですが、こういった環境が、高山植物の宝庫となったり、多くの動物たちが生息していたりと、奥深い大雪山の魅力を作り上げています。


ぽん黒岳より、凌雲岳、北鎮岳を望む。真ん中より少し左下に、雪の中から、黒岳石室の屋根とバイオトイレの屋根がのぞいています。


西からの風を浴びているのがわかる、雪のシマシマ。
石の西側には雪がついていないが、反対の東側には石の高さに積もっている。


高山風衝地に咲くウラシマツツジは、厳しい強風や寒さに耐えることができる植物です。


山頂付近に落ちていたユキウサギの糞。
白い雪の上に転がる茶色のこの物体は、とても目立っていました。


空はこれから天気が崩れると語っています。
今は厳冬期の時期です。特に天気や気温、雪の状態には十分注意して、無理のない行動をしてください。

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2007年09月26日2007年度初雪

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

昨日、初雪が降り白いベールに包まれた大雪山です。
早速本日、黒岳周辺に巡視に行きました。

ガスがかかり、不安定な天気でしたが、それでも時々、赤や黄色に染まった葉の上に、雪がのったり、氷に包まれたりする、美しい光景を見ることができました。

しかし、今日の山の上は氷が溶けることが無いほど、気温が低く、風も強いので、体感温度はもっと寒く感じました。
山頂付近から先の登山道は、積もった雪が踏圧によってアイスバーンになっていたり、氷になっていたりと非常に滑りやすくなっています。登りは高いモチベーションで上れても、疲れ気味の下りのアイスバーンは非常に危険です。
滑りにくい靴、防寒着は必需で、お越し下さい。


リフト乗り場からは雪があまり見えませんが・・・

黒岳山頂から烏帽子岳方面を望む。
雪や氷に覆われています。

氷に包まれたナナカマドの実

ウラシマツツジの深紅の葉も雪に埋もれて。

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2007年09月06日高い意識

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

9月1・2日、天気・快晴。




 急坂をあがれば湿原植物が美しく黄金色に輝き、高い空にはタカが気流に乗って旋回している沼ノ原。時の流れをゆったりとさせてくれる秋模様の湿原。
 大雪山国立公園パークボランティア5名の皆さんと一緒に、登山道及び野生指定地の整備を行いに、秋色の沼ノ原を通り、忠別岳避難小屋に行ってきました。

 今回の活動内容は、登山道上にある読めなくなった道標ペンキ塗り、近道ができている道の踏圧による浸食を防ぐためのロープ張り、そして忠別岳避難小屋にたまっているゴミの回収です。


【五色岳の道標ペンキ塗り作業】

 7月にもゴミの回収をしましたが、ゴミが多すぎて運びきれないものが残っていました。今回も、小屋の死角になっているところに、ゴミが沢山置かれていました。目につきにくいところにゴミを捨てると言うことは、少しは後ろめたさがあるのでしょうか。良くない行為とわかっているのであれば、どうして持ち帰ろう思わなかったのでしょうか。


【集めたゴミをザックに詰めてます。
入りきる・持ちきるぎりぎりまで詰めて…】

 忠別岳は日帰りでは行けないところですから、自分たちの泊まりの装備を背負って長距離を歩きます。その上で、山の上の誰がいつ捨てたか分からないゴミまで背負って下ろすには、十分な体力と気力が必要です。

 皆さんは、環境を良くするために、他人が捨てたゴミを拾う、ゴミを背負うという行動できますか?こういう活動に参加するパークボランティアの皆さんの、山の環境を自分たちで守らなければという意識の高さには敬服します。

私も、ボランティアの皆さん同様、高い意識を持ち続けて活動していきたいです。


【天気に恵まれた活動2日間。ゴミを背負って帰ります。】


【持ち帰ったゴミの量:全部で26.7kg】

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2007年08月29日日本一早い紅葉時のマイカー規制のお知らせ

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

リレーのバトンをつなぐように、雪解け後から咲き競ってきた高山の花たちも終盤を迎え、あちこちで実を見るようになり、ちらほら秋の気配を感じることが増えた大雪山です。
気温が低くなり、これから日本一早い紅葉を迎えます。
気象や気温の変化によって、毎年、紅葉の染まり具合も違います。
今年はどんな彩りを見せてくれるのでしょうか?
楽しみですね。

今年も高原温泉線、銀泉台線の林道の紅葉時のマイカー規制を行います。
ご協力をおねがいします。
詳しくはこちらをご覧下さい。

赤岳山頂から五色平を望む
(2005年度の紅葉の様子)

赤岳第一花園の紅葉
(2005年度の紅葉の様子)

高原沼巡りコースの滝見沼の紅葉。
(2006年度の紅葉の様子)

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2007年08月09日近自然工法整備のその後

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

昨年愛山渓で研修を受けた、近自然工法による登山道整備をした箇所のその後の経過です。(昨年の近自然工法研修の様子はAR日記「道のセンス」に載せています。)

7月下旬に大雨が降ったのですが、登山道は水の流れによる新しい浸食と見られる物は無く、組んだ石も崩れているところも無くがっしりと固定されています。水の流れを止める役目のプールにきちんと水が溜まっており、歩く道もきちんと確保しているものも健在しています。1年たち、組んだ石組の間には、土砂が溜まり始め、さらに安定し、周りの自然になじんで来ていました。

愛山渓周辺では、いままで試験施工を含め、数年かけて、近自然工法による登山道整備を行ってきています。古いもので5、6年たっています。ここまで年月がたつと、組んだ石の上に苔も生え、周りにも植物が生えてきていて、もちろん登山道は歩きやすくなりました。

石組み工事をしたばかりは、目立ちますが、年月をかけて、登山道をより自然の状態になじませるようにしてあげる、未来の環境まで想定した工事は、今年も大雪山では少しずつ、着工していきます。


◆近自然工法とは?◆

雪解け水や雨水による浸食、また人による踏みつけによる登山道の浸食によって、破壊された生態系が、元の成熟した状態に回復するまでには、自然の遷移のみに委ねた場合、多くの年月を要する。これを人間の手によって、ある程度まで回復させるのが近自然工法の役割である。それは、自然の発展を阻害する傷害を取り除き。自然自らが発展できる領域をできる限り広げ、その成長を助ける手段を講じることである。

参考:西日本科学技術研究所HPより


◆近自然工法の石組による保全修復のポイント◆

・自然に同化する登山道の整備を進める上では、自然石を用いた修復保全を図ることが景観的にも望ましく、浸食を防止する効果が高い。
・使用する自然石については、浮石等周辺で確保できる場合は植生等に影響のない範囲に限定して用いることとし、必要な場合には類似の自然石を搬入す る。
・なお石組の多様は逆に硬い道となるため段差のある箇所、浸食の激しい箇所等に限定することに留意する。

参考:大雪山国立公園における登山道整備技術指針より


昨年、石組工事完成間近の様子。
組んだ石がはっきりしていて、工事したのが目立ちます。


上の写真付近の石組工事現場の1年後の今年。
組んだ石に砂利がたまり、さらに固定されました。
きちんと水もたまり、水の勢いを止める役割も果たしています。


工事から4,5年たった石組工事現場。
周りの景観になじんできていて、生態系も回復しつつあります。
かつて浸食されていたであろう登山道脇の周りに、植物が生えだしています。

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2007年08月02日防寒着をお持ち下さい

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

8月に入り、大雪山の夏山シーズンも、中盤にさしかかってきて、こちらでは、早くも、ちらほら秋の気配を感じることもでてきました。

ここ数日、晴れていても、山の稜線は、気温が低く、風も強いので、防寒着が無ければ凍えるほど寒いです。

山に入る皆様も、山の上に行く際には、フリースや雨合羽、手袋などの防寒着をお持ち下さい。


黒岳までの登山道上では、秋の花のダイセツトリカブトが咲き始めました。


冷え込んだ日があったようで、ウラシマツツジの葉も所々で色づいているものもあります。


イワウメの葉も綺麗なコントラストを見せています。

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2007年07月12日登山道整備及び野営場指定地整備の報告

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

大雪山国立公園パークボランティアで、登山道整備及び野営場指定地整備をしに、7月6日?8日ひさご沼避難小屋・及び周辺、7月10?11日忠別岳避難小屋・及び周辺に行ってきました。
活動の内容は雪解け後の登山道のロープ張り、鉄杭打ち直し、木道かけ直し、掃除、ゴミ拾いの仕事をしてきました。

今回特に驚いたのは、ゴミの量です。今回収集したゴミの量は、ひさご沼周辺で22kg、忠別岳避難小屋周辺で15kgでした。

毎年、利用者のみなさんに心地よく過ごしてもらうために、整備や掃除をしに行っていますが、大量のゴミを収集してくるのは悲しくて残念な仕事でもあります。

ひと昔前のゴミを捨てる、埋める時代から比べると、利用者のみなさんのルールやマナーが向上していますが、比較的新しいのでは?というようなゴミもまだまだ落ちています。

昔のゴミと思われる代表ゴミは、
・お酒瓶、
・缶詰の缶類、
・ビニール袋。
これらは、埋めても、時がたっても、土に戻ることはできません。

比較的新しいゴミと思われる代表ゴミは、休憩場所に適したところに非常に多く、内容は…
・ティッシュペーパー(こちら拾う時に緊張が伴います)、
・梅干しの種(プッと飛ばしても梅の木は生えません)、
・輪ゴム(お弁当を食べる気持ちが逸るのでしょうか…)。

登山道上では飴の袋がダントツです。

綺麗なお花畑、広大な景色を誇る大雪山を、ゴミの山大雪山にしないように、皆様のちょっとした配慮のご協力が必要ですので、よろしくお願いします。


ひさご沼避難小屋周辺整備?
小屋前の木道を覆う笹を刈りました。

ひさご沼避難小屋周辺整備?
登山道のロープ張り直し、鉄杭打ち直しました。

ひさご沼避難小屋周辺整備?
ここでは、全部で22kgのゴミを拾いました。


忠別岳避難小屋周辺整備?
周辺のゴミを拾い、掃除をしてきました。

忠別岳避難小屋周辺整備?
昔のゴミの埋まっている瓶もありました。
ここでは、全部で15kgのゴミを拾いました。

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2007年07月04日氷河期の落とし子(ウスバキチョウ)

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

羽の色が黄色っぽい半透明で、後ろ羽には黒で縁取られた3個の赤い紋が、美しく、日の光を浴びると鮮やかなあまり、足を止め舞う姿を目で追ってしまう、高山蝶のウスバキチョウ。

今から約1万年前の最終氷河期には、当時陸続きだった大陸から多くの生物が日本にやってきたと考えられています。氷河期が終わり、温暖化が進むにつれ、冷涼な気候を好む高山蝶は、寒冷地を求めて高山に登っていきました。比較的標高が高くて、広大な高山帯を有する大雪山は高山蝶の格好の避難場所として残されました。

今、こうして残された氷河期の落とし子たちは、絶滅が危惧されています。この貴重な高山蝶は、温暖化という自然現象だけではなく、容姿の美しさから、コレクション等をする人たちに追い求められ、人の手によって絶滅させられそうです。

何万年の歴史を伝えてくれ、今なお舞い続ける、氷河期の落とし子たちを、今この時代で終わらせるのは、なんとも悲しいことです。環境省やパークボランティア活動では、その姿を長く見続けられるよう、環境を守り、パトロールをしていきます。


羽の模様が美しい、ウスバキチョウ。

ウスバキチョウの交尾。
いつまでも大雪山で舞っている姿を見ていたいですね。

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2007年06月22日雪道を越えると

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

今週末に安全祈願祭、山開き登山会が行われる、上川管内の大雪山情報です。
今年は、積雪量が少なかった割には、4,5月と気温が低かったために、雪解けが遅れていたのですが、6月に入り気温がぐんぐん上がり、どんどん解けている現在。それでも夏道が見えていないところがたくさんあります。

大雪山の雪解けの状況は、山の上は、風が強くて冬の間も雪が少ないので(雪が飛ばされるため)、解けるのも早いです。そして麓も気温が高いので、こちらも大夫雪が解けています。しかし、その間の雪は、なかなか解けるのに時間がかかります。

雪の急斜面を登り切った稜線上には、大雪山固有種を含めた、高山植物の花たちが咲き始めています。
しかし、花を愛でるためには、まだまだ雪や氷の斜面が、7,8合目付近には広く残っていますので、雪道を上がれて下れる、しっかりとした装備で、お越し下さい。


緑岳第二花園周辺の6/21の状況。
黒岳では、7?9合目付近、赤岳では、第3、第4雪渓、緑岳は、第一花園からガレ場まで、雪道が続きますので、ご注意下さい。


稜線上では、大雪山固有種のホソバウルップソウも咲き始めました。
まだ、1、2株の開花。蕾のものが多いです。(6/21)

イワウメが咲き誇っています。
黒岳山頂から、雪の残る凌雲岳、北鎮岳をバックに。(6/20)

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