ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

RSS

大雪山国立公園

146件の記事があります。

2019年02月14日尊さで胸いっぱい

大雪山国立公園 東川 渡邉 あゆみ

 こんにちは、東川 渡邉です。

 2月初旬、日高町国立青少年交流の家にて、パークボランティア冬期研修会を開催しました。

 今回は、今春に完成したパークボランティア自然解説マニュアルを活用し、11月に加わった新規会員と共に

パークボランティア活動に特に必要な内容について知識を深めることを目的に、二日間の室内研修を行い、延べ76名の参加がありました。

 研修では大雪山で見られる高山蝶や昆虫、高山植物について各種の生態や特徴、分布などの詳しい講義を、外来生物の講義では外来種対策や、実際にパークボランティアで駆除活動のある特定外来生物セイヨウオオマルハナバチとウチダザリガニの取り込まれた経緯から現状、防除の仕方について、それぞれパークボランティア、外部の専門家、職員が講師となり講義を行いました。

 外来種ははじめて見聞きする新規会員の方もいらっしゃったようで、同じ日本でも道外から入ってきたものは外来種と呼ぶことや、生態系を守ることの重要性を知って頂けたと思います。

 

 ここでは特別に、研修に来られなかった方のために、私が特に印象に残っている、「大雪山の高山植物」の1コマ「植生分布による分類」について紹介します。

 「冬季には世界一の強風が吹くとされる大雪山。また北は東シベリア・サハリンから、北東はカムチャッカ・千島列島から、南は本州から渡ってきた花々の交差点となり、大雪山は日本の何処の山域よりもお花の種類が多いとされています。

 植生分布は高山風衝地、積雪地、湿原などにあり、その中でも特に過酷な高山風衝地には強風が吹きさらすため積雪もなく、植物の生育には大変厳しい環境となりますが、そこに耐えることができる高山植物があり、それらは3分類にされます。

 ①風衝地の中でも比較的安定した立地で生息しカーペット状に拡がる「高山ヒース」(ミネズオウ、イワウメ等)、②風衝作用が厳しく砂礫が移動する不安定な場所に拡がる「高山風衝草原」(エゾオヤマノエンドウ、キバナシオガマ、ホソバウルップソウ等)、③風衝作用・砂礫の移動が最も厳しく日射による乾燥の激しい場所にある「高山荒原植生」(コマクサ、タカネスミレ等)。

 一口に風衝地といえども、3分類されること、知ってましたか?また、それらは大雪山の何処にあたるか思い当たったでしょうか?

 きっと講義中も、今もなお、逞しく生きている高山植物を想像し胸がキュンとした方は多数いるでしょう!また、「日本一お花の種類が多い山岳地」と聞き、まるで自分自身のことのように誇らしい気持ちにもなったでしょう?尊いです、大雪山・・・。

 研修の最後は、日高町消防署の方に来て頂き、一般救命講習を受講しました。ここでも、救急救命士の方へ登山時に起こりえる怪我の対処の仕方など質問が飛び交い、有意義な講義となりました。

 6月からは本格的に山での活動がはじまります。今回の研修会で習得した知識を活かし、大雪山保全のために活発に活動に参加されてください!一緒に尊い気持ちを共有しましょう。

 皆さんと活動出来る日を楽しみにしています。

ページ先頭へ↑

2019年02月06日タンチョウ総数調査

大雪山国立公園 上士幌 上村 哲也

 

 タンチョウは、日本で繁殖する唯一の野生ツルで、全長140cm、翼開長240cmに達し日本最大級の鳥類です。夏期は湿原に分散して営巣・育雛を行い、冬は里近くへ移動し群れで生活をします。特別天然記念物であり、絶滅危惧Ⅱ類(VU)(環境省レッドリスト2019)でもあります。

 かつて、一時は絶滅したのではないかとまで考えられました。大正時代に十数羽が再発見され、地域住民が主体となって給餌が試みられました。1952年に釧路管内旧阿寒町と鶴居村で給餌に成功し、一斉調査で33羽が確認されたといいます。1984年には当時の環境庁が給餌など保護事業を始めました。NPO法人タンチョウ保護研究グループによると2017年度には1,600羽に増加、絶滅の危機から脱する目安の1,000羽を超えたとしています。

 しかし、現在のタンチョウは、かつての数羽のオスの血を受け継ぐもので、遺伝的多様性が失われている可能性があり、それが故に鳥インフルエンザなど何かの感染症がまん延したときに、また絶滅の危機を招くのではないかと危惧されています。そこで、生息域の分散を促し感染症のまん延を回避するため、給餌量の削減を段階的に進めています。

 さて、生息域の分散を確かめるにも、生息数の増減を知るにも、調査は欠かせないということで、NPO法人タンチョウ保護研究グループが行っているタンチョウ総数調査に参加してきました。長い間の調査の積み重ねにより、いくつもの生息地が把握されてきました。この日、タンチョウが集まる川べりで双眼鏡を片手に広く囲み、二人が川岸を歩き追い立て、無線で連絡を取りながら、飛び去った方角や数を共有し、カウントの重複を取り除きながら生息数を調査しました。こちらの気配を感じるとすぐに飛び去ってしまう個体もいますが、遠くまで行くことなく畑など見通しのよいところに降りてくれれば、成鳥、幼鳥を判別し、足輪がついていないか観察します。足輪があればより倍率の大きい望遠鏡を取り出して刻印された数字などを読み取ります。これはある年の春、まだ飛べない幼鳥を捕まえて雌雄や体重を観察、血液を採取し、足輪を取り付け、その後の生長や行動を見守っています。

 本グループの丹念な調査によって、最近になって、ひとつの細い支流が凍らずにタンチョウの餌場となっていることが分かりました。この日もとある場所で二家族、7羽を確認しました。地域の周辺をくまなく巡り、別の場所に飛来していた4羽を見つけましたが、元の場所へ戻ってみると二家族の姿がありません。二家族のうち一家族が移動していたのでしょう。このようにきめ細かく観察しカウントの重複を除きながら調査しました。

畑地の堆肥に集まるタンチョウ
 こちらは別の場所の調査時の風景です。成鳥となったタンチョウは、真っ白と真っ黒に塗り分けられ、その名の由来通り、頂を丹色(にいろ)に染めています。立ち姿、飛ぶ姿は優雅であり、鳴き声は高らかで、夫婦の息の合った舞いも見事です。そして、タンチョウそのものの美しさに加えて、彼らが集う汚染されていない川や湿原にはカエルや魚が棲み、それらの清らかな環境が美しい景観を織りなしています。本州に比べれば豊かな自然が広がっているイメージのある北海道ですら、このような環境は意外と少ないものです(本来、タンチョウは冬でも川が凍らず魚などの餌を得られる場所に生息するのですが、家畜用の飼料などを得られる農家や牛舎の周辺に生息する個体もいます)。彼らが自然な状態で生息できる環境を守り、次世代につないでいきたいではありませんか。

雪原にたたずむタンチョウのペア

ページ先頭へ↑

2019年01月25日層雲峡温泉氷瀑まつりが始まりました

大雪山国立公園 岩城大洋

皆様、こんにちは、年末年始休暇ですっかり体重オーバー気味となってしまった

上川自然保護官事務所の岩城です。

運動不足をなんとかしなければと、冬道をセッセッと歩いてシェイプアップに励んでいますが、

一回増えてしまった体重を減らすのは大変ですね。トホホ。。。

 

さて、今月に入り、冬型の気圧配置が強まった影響で、

上川地方では氷点下20度の冷え込みを連日で記録しました。

きっと寒いのは苦手な人が大半だと思いますが、(自分もそうですが)

北海道の冬は寒さも魅力のひとつです。

そんな寒さが作り出した巨大な美しい氷の造形物(氷瀑)がこのほど層雲峡に姿を現しました。

 

今年で44回目を迎えた層雲峡氷瀑まつりが、

本日開幕しました。

例年11月から氷瀑の制作は始まり、完成には約3ヶ月の時間を要します。

制作過程でもっともの重要なのは寒さです。

木で製作した骨組みが完成し、日中でも氷点下になると、

24時間体制で石狩川の水を骨組みに向けて吹きつけます。氷は徐々に氷瀑へと成長していきます。

もし、暖かい日が続くと、氷瀑の成長はおろか、溶けてしまう可能性もあります。

北海道らしい冬の冷え込みがあるからこそ美しい氷瀑ができるのです。

今年のメイン氷像は大雪山をイメージ。


開催期間中は花火も上がります。

詳しい氷瀑まつりの情報は下記の層雲峡観光協会の特設ホームページをご覧下さい。

http://www.sounkyo.net/hyoubaku/

石狩川の水で造った美しい氷瀑の世界とほっぺたが赤くなるほどの澄んだ寒さを

体験してみてはいかがでしょうか。

層雲峡温泉へお越しになる際は、防寒対策を忘れずに!

今回のAR日記はここまで。また次回をお楽しみに。

ページ先頭へ↑

2019年01月17日10時だよ!アクティブレンジャー全員集合!写真展inチカホ♪

大雪山国立公園 渡邉 あゆみ

 ラッセルが生きがい 東川の渡邉です。本年もどうぞよろしくお願いします。

 昨年6月からはじまったアクティブレンジャー写真展2018~北の自然の舞台裏~。

 これまで道内12会場で開催しました。足を運んでいただいた皆様、ありがとうございます。今年度は、昨年度、第一回目として開催した写真展のアンケート結果を活かし、展示について様々な改善をしました。その点も、ご好評を頂いているようで、ホッとしているAR一同です。

 さて、近日開催!スペシャルなイベントのお知らせです。

 通称 札幌「チカホ」にてAR全員集合!1日限りで写真展を開催します!

日時:平成31年1月23日(水) 10:00~18:00

場所:札幌市地下歩行空間チカホ7番出口横

 北海道地方環境事務所のアクティブレンジャー、希少種保護増殖等専門員12名が集結し、写真の解説の他、野鳥の剥製や模型を用いて、その種の生態や保護活動などについて解説します。他にもはがき作成の体験コーナーや携帯トイレの展示、アンケートに回答してくださった方にはしおりプレゼントなどいろいろご用意しています。

 

 【↑昨年の様子】

 札幌近郊にお住まいの皆さん、黄色い制服の私たちが目印(寒かったら緑のジャケットを着ているかも)。7番出口横!是非、お越しください♪AR一同でお待ちしています。

 厳冬期、山の稜線で受ける風は大変厳しいものです。ブリザード、低温、重荷、ラッセル。この場に至るまでの厳しさを知り得て、新しい自分に出会えることができます。自分を信じ、よりよく生きるために冬山に登るのです。

ページ先頭へ↑

2019年01月17日新たな管理運営体制で世界に誇れる山岳国立公園を目指す

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

こんにちは、上川自然保護官事務所の大久保です。

2019年も始まりました。

冷え込みの厳しい朝、見上げた大雪山がダイヤモンドダストにまとわれ輝いていました。

今年もたくさんの大雪山の輝きを見ることができますように。今年もどうぞよろしくお願いします。

原生的な風景が広がる山岳国立公園、大雪山。

野生動物に会いに思いをはせる人もいるでしょう、咲き乱れる高山植物を楽しみにしている人もいるでしょう、長い稜線がつながる峰々の中を風景の一部となってただただ歩き回りたいという人もいるでしょう。

近年、大雪山に夢中な私でも、大雪山を取り巻く状況が刻々と変化していることに気がつかされることが多くなりました。

気候変動による影響、利用状況による変化、トイレや避難小屋などの老朽化、課題は細々したものから、大きなものまで様々あります。

いつまでも地域の宝であって欲しい大雪山。

状況が変わりつつある今だからこそ、今後の大雪山の管理のあり方をみんなで考えないといけない時です。

そこで、

日本一愛される国立公園にむけた取り組みをしている妙高戸隠国立公園や、新・尾瀬ビジョンを作り奮闘している尾瀬国立公園からゲストを招き、大雪山国立公園の協働型管理運営体制について考えるフォーラムを開催します。

 

新しい仕組み作りの第一歩を考える講演を聞きに来ませんか?

↓こちらでも詳しい案内をしています。

フォーラム案内

ページ先頭へ↑

2018年12月28日~紹介できなかった業務から~

大雪山国立公園 岩城大洋

 みなさま、こんにちは。上川自然保護官事務所の岩城です。

師走も佳境に入り2018年も残り僅かとなりました。1年を締めくくる今の時期は、去る年と新たに来る年を思い浮かべながら、年賀状へとそれらの言葉を添えられるあたたかい時期だと思います。

毎年ぎりぎりになっていた年賀状を今年はなんとか書き上げることができました。

皆様はすでに投函されましたでしょうか。

まだでしたらお早めに。

さて、今回のAR日記は、2018年の業務に関して少しではありますが振り返りたいと思います。

今年も様々な業務がありました。計画していたもの、突発的なものなど。

その中で印象深かった業務をふたつ紹介したいと思います。

<大雪山国立公園編>

大雪山国立公園では登山者の入り込み数を把握するため、主要な登山口に登山者カウンターを設置しています。

上川管内では、黒岳・赤岳・緑岳・愛山渓温泉の4箇所に設置しています。

 

          黒岳7合目付近に設置した登山者カウンター

 

 今年度、私は黒岳及び赤岳を担当しました。業務はカウンターを設置・回収し、その後カウンターに蓄積されたデータの数値をまとめ上げることです。

カウンターの仕組みは登山者がカウンターを横切る際に、その登山者が発している熱を感知しカウントする仕組みとなっています。正式には熱感知式カウンターといい、

設置の際は必ずといっていいほど、登山者の方に質問攻めにされます。

「こんなたいそうな物は、何に使うんだい」「これはカメラなのかい」などみなさんカウンターに興味津々です。

私の返答を聞くとみなさん「大変だね。ご苦労様」と笑顔を返してくれました。

私が設置した地区の登山者カウンターのカウント値の結果は下記のとおりです。

 

黒岳での数値(6月29日~10月12日まで設置)

年間およそ29,000

赤岳では(6月28日~10月4日まで設置)

年間およそ10,000

※およそと記す理由は、熱感知式センターでは多少の誤差が生じるケースがあるためです。

大雪山国立公園では、登山者カウンターを設置するようになってから5年が経ちました。(データの公表は3年目)

今後10年、20年とデータを蓄積していくことは、大雪山国立公園の管理運営にとって貴重なデータとなります。

例えば、入山者が増えすぎてしまった状況があった場合には、登山道に負担が掛かりすぎます。データがあればその対策に素早く取りかかる事が可能となるのです。

 

 来年度も引き続き登山者カウンターを設置し皆様に結果をお伝えできればと思っています。

2018年度登山者データの詳細は下記の環境省のサイトからご覧になれます。

<大雪山国立公園登山者利用者数調査結果>

https://www.env.go.jp/park/daisetsu/data/tozandoriyosya2016.html

 

大雪山国立公園編はここまで。

 

<上川町編>

 アクティブレンジャーの仕事は公園内だけとは限りません。公園外で国立公園や自然環境のことを理解してもらうため様々な業務を行っています。

その中でも今年思い出に残った業務は、上川町内の子ども支援センターで行った親子講座での授業でした。

受講に来てくれたのは上川町の小さなお子さんがいるお母さんたち10名。 授業の内容は「小さな子どもたちが食べてはいけない・触ってはいけない植物など」をテーマとして実施しました。

 

○身近に生育しているオンコの実(イチイの実)の種部分には有毒成分が含まれているので、種までを食べてしまうと中毒症状を発症する可能性があること

ヤマウルシが茂っている場所では、直接ウルシに触らなくてもかぶれてしまう事象があること(湿度が70パーセント以上ある午前10時前後はウルシオールが揮発しやすく近くを通っただけでかぶれてしまう事もあります)

蚊に刺されている最中に蚊を退治するとはかゆさが増大してしまうのでやめた方が良いことなど

※蚊が吸引している途中で蚊を叩いてしまうと、蚊の唾液成分(かゆみ成分)が人の体内に残ってしまうため。蚊が自然に吸引を終えるときは、唾液成分(かゆみ成分)も回収してくれるため、かゆみは少なく済む。

 

蚊を叩かないでジーッと吸引しているところを見守ることには皆さん「できないよね」と困惑していました。

 

                   授業の様子 

  

 授業の最後には必要以上に植物や自然を怖がったり、警戒したりはしない様に次の言葉で締めくくりました。

「豊かな自然があってこそ虫や昆虫は生息し、様々な植物は生育することができます。それぞれの動植物には生態系の中で重要な役割を担っている大切な生き物なので大切にして下さい。」

自分の胸にも言い聞かせながらとてもいい時間を過ごせました。

今年のAR日記はここまでです。

皆さんにとって来年も良い一年となりますように願っています。

良いお年を。。

ページ先頭へ↑

2018年11月28日パークボランティア第8期生、誕生しました。

大雪山国立公園 渡邉 あゆみ

 こんにちは、東川の渡邉です。

 待ちに待った季節がやってきたと喜んだ束の間、町中の雪は溶けてしまいました。

 真っ白い稜線と出迎えてくれるような強風、数日分の衣食住が入った重たいザック、目もくらむラッセル、その先に見える巨大なピーク。そこに至るまでの苦行を何よりのご褒美として享受したいと切望する毎日ですが、もう少し時間がかかりそうです。早く雪がしっかり積もり、春まで長~く雪山を楽しませてもらいたいですね。

 さて、大雪山国立公園では5年ぶりにパークボランティア(以下:PV)を募集し、今回なんと60名を越える応募がありました!たくさんのご応募を頂き、ありがとうございました。

 私たちも想定外の人数で、募集定員の関係上、役員の皆さんと書類選考会議を行い、厳正なる審査の結果、36名を新たなに8期生としてお迎えすることになり、1117()に養成研修会を行いました。

 研修会では、「大雪山国立公園の概要」、「PV制度の概要」、「大雪山の成り立ち」、「一般利用者対応」について学び、皆さんやる気に満ちた様子で熱心に受講されていました。

 「一般利用者対応」では、NPO法人大雪山自然学校 小沼秀樹講師をお招きし、登山道外に出ている人を見かけたら?外国人への対応は?話しかけ方のコツなど、PVとして腕章をつけて山に行ったときに想定しうる具体例について実体験を交えてお話していただき、参考になりました。

 現地では知識・経験豊かな先輩PVが優しく教えてくれるので、新規会員の皆さん、徐々に活動に慣れていってくださいね。

 ↑「一般利用者対応」のワークショップにて。和気あいあいとたくさんの意見が出ました。

 

 また、2月2・3日の冬期研修会では、「PVのための自然解説マニュアル」を掘り下げて、今回できなかった大雪山の植物や外来種についての研修も行いますので、是非参加をお願いします。

 グリーンシーズン―。尾根の途中で立ち止まると、心地よい風が火照った体を冷まし、すぐ近くの樹林の中から野鳥のさえずりが聞こえます。あぁ~なんて良い声だ・・・今年もあの景色を見に行きたい、お花たちに会いに行きたい・・・さぁもう一息がんばろう―。そういう場面や、行くたびに励まされる場所が皆さんにもあるでしょうし、それらを守りたい、守るために何かしたい、と新しくPVになられた36名の皆さん。

 100年後、その先もずっと美しい大雪山であるために、楽しみながらPV活動を続けてくださいね。(私も志しは同じです!)

大雪山のパークボランティアは124名となりました。パワーアップした皆様のご活躍を期待しております!

ページ先頭へ↑

2018年11月08日今年の巡視を振り返って 沼ノ原編

大雪山国立公園 岩城大洋

皆様、こんにちは、上川自然保護官事務所の岩城です。

今年は、11月に入っても暖かい日が続き、北海道での初雪は30年ぶりに遅れています。

このまま11月10日までに道内で初雪が観測されなければ、1886年以来132年ぶりの遅さとなるそうです。

冬の準備がまだの方は、もうしばらく余裕があるかもしれませんね。

さて、今回のAR日記は、9月10~12日の行程で巡視に行ってきました沼ノ原の現状を皆様にお伝えします。

沼ノ原へ行くには、クチャンベツ沼ノ原登山口から入山するのが一般的です。

しかし、平成28年7月の大雨で登山口に通ずる林道が崩壊し通行止めとなったため、現在沼ノ原までは別ルートを使って行くしかありません。

そこで今回の巡視時は、高原温泉から緑岳へ行き、高根ヶ原を直進し、

忠別岳避難小屋で1泊し、翌日、五色岳へ登り、沼ノ原へ下りていく行程としました。

通常クチャンベツ沼ノ原登山口から登れば、2時間~2時間半かかるところ、

高原温泉から入山すると沼ノ原までは約13時間を要します。

巡視初日、天気は曇り空。気温は平年値より高めで巡視にはちょうど良い天候での出発となりました。

緑岳山頂直下のガレ場ではナキウサギに出逢え、高根ヶ原からは沼めぐりコースの沼も見ることができました。しかし、秋の天候は変わりやすく、最初穏やかだった高根ヶ原も中間地点まで進むと、時折強い風が突き抜けるようになり、途中からは弱いながら雨も降り出してきました。

防寒着とカッパを着込み、初日の宿泊地となっている忠別岳避難小屋へ足を急がせます。

通り道の忠別岳山頂からはうっすらとトムラウシ山の上部を見ることができました。

一瞬見えたその姿は神秘的で荒々しく不思議な光景でした。

9時に高原温泉を出て、忠別岳避難小屋へ到着したのは16時30分。

長時間の行程で疲れ切っていたので、初日は夕食を取った後、すぐに就寝。

翌朝は寒さで目が覚めるまでは熟睡できました。

2日目、外に出ると雲一つ無い晴天。

最高の巡視日和です。朝6時に避難小屋を出発し、五色岳へ、そこから徐々に標高を落としながら

沼ノ原へ向かいます。

五色岳へ伸びる登山道の脇では放射冷却によってウラシマツツジなどに霜がおりていました。

また、途中にはヒグマの痕跡が。。。

五色岳山頂まで来ると正面には昨日の姿とはまったく違ったトムラウシ山がありました。

右手トムラウシ山を見ながら沼ノ原へと進みます。ここから先の登山道は木道で整備されている部分が多く歩きやすい歩道です。五色の水場付近では登山道の荒廃や洗掘が進んでいる箇所もありましたが、登山道の状態は比較的良好な印象を受けました。

反面、歩道上を行き交う登山者が大幅に減少した影響で登山道脇の蟻の巣をヒグマが掘り返した形跡や、ササの成長が著しい箇所などがありましたが特に問題になるレベルではありませんでした。

山頂から約3時間で久しぶりの沼ノ原へ到着。

沼ノ原まで来ると前方には石狩岳連峰がどっしりと構え、右手には満水状態の大沼がありました。晴天にもかかわらずここまでの道のりで他の登山者と遭遇することはなく、

沼ノ原は静かな楽園のように静寂の中に。そこはとても贅沢な空間となっていました。

今回の巡視の終点地点はクチャンベツ側の沼ノ原入口までです。終点地点まで登山道などを確認し巡視は無事に終えることができましたが、業務はまだ終わっていません。

ここから来た道をまた1日半掛けて戻らないと終わらないのでした。

沼ノ原を視で巡った記録はここまで。

次回のAR日記もお楽しみに。

ページ先頭へ↑

2018年09月03日大雪山のパークボランティアを募集します。

大雪山国立公園 東川 渡邉 あゆみ

 寒かった夏が終わり、あっという間に9月。山も秋付いてきました。

 薄い色の青空とひんやりした空気、黄金色の穂、色づく実や葉。秋の山が大好きな私は、四季の中でも秋が一番空を見上げることが多くなります。

 あぁ今年も冬がやってくる、夏を楽しませてくれてありがとう、来年もお世話になります、と哀愁漂う山に挨拶するのが秋山登山の習慣です。

  不安定な今年の夏山シーズン、皆さんの記憶にとどまる大雪山はどんなものですか?

 

 わたしのベスト・オブ・大雪山inサマー2018は7月後半の猛暑の中、ポン化雲で見た満開のチングルマ。ここまで大きな群落を見れたのははじめてかもしれません。地上に星屑が散りばめられているようでした。

 さて、お知らせです。

 5年ぶりに!!大雪山国立公園のパークボランティア(以下:PV)を募集します。

 

 PVは、北海道地方環境事務所の登録を受け、5月~10月の期間中は登山道整備・外来種駆除・モニタリング・清掃活動・パトロール・自然解説など活動は多岐に渡ります。年間40~50回の活動があり、そのうち3回以上の活動に参加して頂くことが翌年の継続条件になります。

 現在、活躍してくれているPVは88名。旭川、札幌、帯広、網走など、道内各地から参加してくれています。

 わからないことは先輩PVが教えてくれるので、大雪山愛があれば特別な知識は必要ありません。

 また、今年の春に完成した自然解説マニュアルを見ながら少しずつ覚えていきましょう。

 

詳細な募集要項などは下記をURLをご覧ください。

http://hokkaido.env.go.jp/pre_2018/post_83.html

この機会を逃さず、ご応募お待ちしております。

ページ先頭へ↑

2018年05月24日大雪山パークボランティアは創立30周年を迎えました

大雪山国立公園 東川 渡邉 あゆみ

大雪山国立公園のパークボランティアは今年度、創立30周年を迎えました。

今年度の大雪山のパークボランティアは88名、そのうち初代から活躍されている方は現在も11名おられます。

創立30周年を記念し、512()十勝岳温泉凌雲閣にて、登山家 久末眞紀子さんをお迎えし「いまを、生きる」というタイトルで、これまでの登山や歩んでこられた半生についてご講演いただきました。

久末さんは40代のときに大雪山の白雲岳に登ったのがきっかけで登山にハマり、50代でデナリ、エベレスト、南極ビンソンマシフと登られ、日本人女性として3人目の7大陸最高峰登頂者となりました。

その後、老後はお金のかからないアジア圏で生活をしよう!と思いつき、50代半ばから大学へ入学し、日本語教師の資格を取得後、平成28年までタイで日本語教師として働き、今春からは美術大学へ通われています。


いち主婦が山にハマり、子育て、仕事とトレーニングとの両立、高額な海外登山の資金貯蓄と日々の生活、生死をかけた登山、還暦前に大学へ入学・・・リラックスした雰囲気で、赤裸々にお話をして頂き、興味深く聞き入りました。

久末さんは冒頭に『「年だから・・・お金がないから・・・」の逆接の接続詞ばかり繋げると自分の限界を自分で決めることになるので、「行くために何をすれば良いか」を考えて一つ一つクリアしていった』と仰っていました。

有言実行で着実に夢を叶えていく姿は、とても潔く、なのに肩の力が抜けていて、久末さんの楽観的な発想や考え方は参考にしたい部分がたくさんありました。

また、私たちの身近な大雪山のお話もして頂き、健気に咲く高山植物を愛おしむ気持ちや、山や自然には敵わないといった謙虚な気持ちは共感することばかりで、嬉しくもなりました。

講演会のあとはパークボランティアの総会を行い、13()は雨の中、久末さんにも御同行頂き、春山研修へ出発しました。

★お知らせ★

30周年記念として、パークボランティアは9月に新規会員を30名募集する予定です。

パークボランティア活動に興味がある方、詳細が決まり次第、情報をここや大雪山パークボランティアのFacebookにアップしていきますので、是非チェックしてください!

ページ先頭へ↑

ページ先頭へ