ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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大雪山国立公園

146件の記事があります。

2020年03月31日「歴史ありけり、そして未来がある」

大雪山国立公園 岩城大洋

 みなさん、こんにちは。上川自然保護官事務所の岩城です。

新型コロナウィルスの影響は日々深刻な度を増していますね。。。

いつまで続くか分からない現状が、気持ちをナイーブにしてしまいますが、

終息後は「何をしよう」、「どこに旅行へ行こう」など遊ぶ計画を立てながら週末を過ごし気を紛らわせているこの頃です。

いつ終息するかは分かりませんが、みなさんもまずは遊びに行く計画を立ててみてはいかがでしょうか。

そこで今回は、今後の旅行の計画の参考にしていただくため、層雲峡の歴史から温泉が開拓された当時のお湯の成分までをご紹介したいと思います。

 

         上川町から層雲峡方面 ※層雲峡は見えませんが真ん中奥が層雲峡方面

さて、上川町史を調べると層雲峡で温泉が発見されたのは安政4年(1854年)。石狩在勤の足軽松田市太郎によって「大川端に温泉数カ所有之」と記述されています。

その後、約半世紀の間、層雲峡の記述はほとんど無く再び上川町史に登場するのは、明治30年代に入ってから。もちろんその頃はまだ層雲峡とは命名されていません。

明治33年(1900年)には温泉開発が始まり、大正4年(1915年)頃には層雲峡温泉は様々な温泉名でと呼ばれるようになりました。

有名なところでは塩谷温泉、国沢温泉など、ほとんどは事業者の名字を取った温泉名だったようです。

また、興味深いことに明治33年当時の温泉(現層雲峡温泉)の温泉成分が上川町史には記載されていましたので紹介します。

鉱泉証明書には

・有機物 少量

・安母尼亜(アンモニア)痕跡

・亜硝酸 無シ

・格魯兒 (塩素) 少量

・炭酸 多量

・硫酸  少量

・硫化水素 無シ

・石灰 少量

・苦土(マグネシウム) 無シ

・加留謨(カリウム) 痕跡

・那篤倫(ナトリウム)痕跡

・亜酸化鉄 痕跡

いまから120年前の温泉成分。和名からも歴史を感じさせますね。

明治44年(1911年)頃には愛別村長太田龍太郎氏が塩谷温泉を訪れ「霊山碧水」と命名。

大正10年(1921年)には、大町桂月が黒岳から大雪山を縦走する際に霊山碧水を訪れ、そのときに「層雲峡」と命名。

大雪山を縦走したときの紀行文「層雲峡より大雪山」にはかの有名な「富士山に登って山岳の高さを語れ、大雪山に登って、山岳の大さ(おおい)を語れ。」との名文があります。紀行文は雑誌「中央公論」に掲載され、層雲峡は景勝地として全国的に有名になりました。

昭和に入ってからは、黒岳ロープウェイが開業し夏は登山、冬はスキーを楽しめる山岳観光の拠点となり、平成には「上川・層雲峡圏プラン65基本構想」により、建物の色彩、デザインの統一などを生かした街並みが整備されました。

長い時間をかけて層雲峡はいまの姿、形へと進化してきました。

 

             現在の層雲峡温泉  (右奥に見えるのは黒岳)

層雲峡と命名されてから今年で99年。来年には命名100周年を迎えます。

いまは、新型コロナウィルスの影響で国内の観光地は非常に厳しい状況となっています。

ウイルスが終息するまでは、前には進めませんが、準備をすることはできます。

2021年は層雲峡に取って大切な年。

大雪山国立公園のためにも層雲峡地区の活性は重要だと思っています。

今後、復活の日に向けて様々なアイディアを絞り出し多くの観光客が戻っている層雲峡に少しでも協力できればと思っています。

99年前の層雲峡。そしていまの層雲峡。そして未来の層雲峡のために。

今回の日記はここまで。

また次回をお楽しみに。。。

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2020年03月31日大雪山国立公園管理事務所へ変わります

大雪山国立公園 忠鉢伸一

上川アクティブレンジャー忠鉢です。

春分の日が過ぎ、ようやく冬の終わりがきたようです。

今シーズンは雪が少なかった為か、上川町はほとんど道路の雪も消えて春らしくなってきました。

(上川町から見える大雪山)

卒業、旅立ちのシーズンですが、今回はご報告があります。

4月から上川自然保護官事務所は大雪山国立公園管理事務所へと名称が変わり、

人員も今までの3人体制から5人体制になります。

新年度からは自然保護に加えて、大雪山国立公園をよりよく利用するためにはどうするべきか、そのために何ができるかということにも力を入れて活動していくことになります。

特に層雲峡地域の活性化や大雪山の情報発信に力を注げるようになっていくと思います。

今までやりたくても手が足りなくてできなかったこと等試していけたらいいなと思っています。

(上川自然保護官事務所の看板も見納めです)

名前も体制も変わり、4月付で配属される新しいメンバーと共に新年度を迎えます。

今後ともよろしくお願い致します。

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2020年03月27日クロスカントリースキーの働き

大雪山国立公園 上村 哲也

 東大雪地域の登山口の多くは数キロから十数キロメートルの林道を経由しますが、冬は深い雪に閉ざされるため訪れる人はごくごく僅かです。

 クロスカントリースキーを利用してそのひとつを巡視しました。クロスカントリースキーの用具は、スキー、ストック、靴も締め具もとても軽量にできていて、雪道や雪原を長い距離歩くのに向いています。ある程度の斜度であれば滑走面に刻まれた鱗の力を借りて登ってゆくこともできます。もちろん下り坂は滑って下ることができます。雪面が圧雪されているとよりスピードを増して行動できます。

 巡視の目的は、スノーモビル乗入れ痕の追跡です。大雪山国立公園には、自然環境や動植物の生息・生育環境に悪影響を与えると考えられることから、スノーモビルなど車馬の乗入れを規制している地区があります。

 詳しくは「北海道地方環境事務所の車馬乗入れ規制」を御覧ください。

 この場所は決まって3月の下旬に乗入れが繰り返されてきました。台風などの大雨で林道が被災した後、一度は乗入れがなくなりましたが、また少しずつの乗入れが続いています。巡視の距離は往復で約30キロメートル、途中に標高差にして200メートル前後のアップダウンがあります。つまり、帰りにも登り返しがあります。行動時間は約7時間、防寒着や食料、飲料水、熊撃退スプレー、ヘッドランプ、衛星携帯電話などひととおりの日帰り装備を携えて入山しました。春分を過ぎ昼の時間が延びてきました。

 森の中を行き交うエゾシカ、ウサギ、キタキツネたちの足跡、遠くから響くクマゲラやそのほかキツツキのドラミング、川面へ飛び込むカワガラス。野生動物たちの様々な営みが感じられます。幸いにも今年は目覚めたアイツの足跡は目にしませんでした。

 山に春が近づいています。川の流れが増し、覆っていた雪が消えていきます。見慣れた登山口を過ぎ更に林道を詰め、目的地の数百メートル手前でクロスカントリースキー靴では川を渡れず引き返しました。スノーモビルのキャタピラ痕は難なく川を渡り奥へと続いていました。次回は長靴も装備に加えなければなりません。

 どうか、野生動物たちの営み、快眠を妨げることなく、優しく自然とふれあってください。

林道から仰ぎ見るユニ石狩岳

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2020年03月23日スノーモビルを使った荷上の調査

大雪山国立公園 忠鉢伸一

登山道を直すための道具や材料を運ぶ荷上には大変な労力と時間がかかります。

長い登山道を重い荷物を背負って数時間歩き、そこから整備して日没までには下山する。

登山口から近い場所なら可能かもしれませんが、登山口から遠く、アプローチに数時間かかる場所での登山道整備は困難を極めます。

(荷上イメージ図)

「じゃあヘリで運べば良いじゃないか」と思うかもしれませんが、ヘリはコストがかかりすぎて現実的ではありません。特に最近はヘリコプターのチャーター代も高騰し、1日数百万円とも言われています。

秋から冬の時期に次の年の準備をして、夏場の登山道の補修を効率よく進められないだろうか?夏季の登山道整備に使う資材の運搬を雪がある時期にスノーモビルで運べないだろうか?

そういう思いから314日にスノーモビルによる荷上が可能なルートがあるか調査を行いました。

今回は上川地区登山道補修業務の一部として、請負者がスノーモビル技術者の協力を得て行いました。旭川市ぺーパン地区から入林して、当麻乗越まで行けるかどうか、

目的地まで安全に資材を運搬できるルートを探すという調査ミッションです。

距離は約30km、植物が混んでいないなるべく傾斜の少ないルートを地図やドローンを使って探しながら行きました。

(この調査にあたり、環境省が道有林の入林申請を行い、また国立公園内の乗り入れ規制区域でのスノーモビル使用手続きをとりました。許可無く国立公園内にスノーモビルの乗入れ規制区域に入ることは禁止されています。レジャー目的では許可はできません)

機動力のあるスノーバイクが偵察して、無線で連絡をとりながらスノーモビルが続き、牽引力のあるバギーが後ろからついていくという形で走行しました。

埋まったモビルを救出したり、斜面が氷結していて登れず引き返したり、時間的な活動限界を迎えた為、あと一歩の所で目的地には到達できませんでしたが、時期や走行ルートを見直せば行ける可能性は高いことがわかり、試していく価値は十分あると感じました。

(ピウケナイ展望台から国立公園区域方面を望む)

冬季のスノーモビルによる運搬が可能になれば、いままでヘリに頼っていた山小屋のトイレの問題も、今までより少ないコストで解決できるようになるなど、さまざまな維持管理の問題を解決する切り札になるかもしれません。

今年は暖冬の影響で、3月の例年の積雪量から比べると約半分程しかなく、雪のコンディションも良いとはいえませんでしたが、十分可能性を感じられる試みだったのではないかと思いました。今後もベストな方法を探っていきたいと思います。

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2020年03月19日静かなる層雲峡温泉

大雪山国立公園 岩城大洋

 みなさま、こんにちは。上川自然保護官事務所の岩城です。

今日(3/19)は雲一つない晴天で、外に出ると春の香りが胸を満たしてくれます。

長―い冬が終わりを迎え、吹く風の冷たさが和らぎ、心地よい日差しが心を包んでくれる

待ちに待った春の到来。

外へと出かけたくなる季節なのですが、こちらでも新型コロナウィルスの影響は深刻です。

そこで、今回の日記では大雪山国立公園層雲峡地区での新型コロナウィルスの影響について

お伝えします。

環境省上川自然保護官事務所が管理している層雲峡集団施設地区* には有名な層雲峡温泉があります。

春は新緑、夏は登山の拠点、秋は紅葉、毎年厳寒期には氷瀑まつりが開催され、

美しい氷瀑が幻想的な世界へといざなってくれます。

一年を通して多くの観光客が訪れる観光拠点となっているのです。もちろん温泉も最高です。

*集団施設地区

国立・国定公園の特に重要な利用拠点で宿舎、野営場、園地などを総合的に整備する地区として、

公園計画に基づき環境大臣が指定する地区(自然公園法第36条)。

指定されると集団施設地区計画が樹立され、これに基づき各種の施設の整備が図られる。

北海道では支笏洞爺国立公園の支笏湖温泉、定山渓、洞爺湖温泉、登別温泉地区などが代表的。

(参考:自然公園法第36条 集団施設地区)

層雲峡温泉地区も集団施設地区である。

 

 

               20202月上旬の氷瀑まつりの様子

 

私が氷瀑まつりへ行った2月上旬、すでにテレビや新聞では、新型コロナウィルスのニュースが連日取り上げられていました。そのため、人出を心配していましたが、思いの外会場は賑わっていました。

しかし、その後、新型コロナウィルスの猛威は、瞬く間に日本各地へと広がり、その影響は特に観光資源が豊富な北海道の各地域へ波及しはじめました。

また、228日には、北海道知事が緊急事態宣言を発表し、週末の外出自粛を要請すると状況はさらに厳しいものに。層雲峡温泉の各宿泊施設ではキャンセルが急増、残念ながら氷瀑まつりも、228日(315日まで開催の予定)をもって終了せざるを得ない状況に。

層雲峡温泉地区のキャンセル数(34日時点のキャンセル数)は下記の通り。

2月約7,600人、

3月約15,600人に上っています。

観光への影響は想像していたよりかなり深刻です。

しかし、今はただ新型コロナウィルスが一刻も早く終息することを願うことしかできません。

そして、一番大事なことは終息してからどのように従来の層雲峡温泉の姿を取り戻すのかを考えることだと

思います。

そのため、今から様々なことを提案し議論しなければならないでしょう。

北海道の春は一年で最も美しい季節。

そんな季節に静かなる層雲峡は似合いません。

今回の日記はここまで。

また次回をお楽しみに。。。

 

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2020年03月17日トムラウシ山短縮登山口からの日帰り登山者

大雪山国立公園 上士幌 上村 哲也

 十勝西部森林管理署東大雪支署がトムラウシ山短縮登山口に設置した入林簿の一部データを拝借して集計し、短縮登山口から日帰りでトムラウシ山を目指す登山者の行動を調査しました。

 5月30日から10月12日までの記録のうち、1,247人の方が入山、下山の時刻まで記入してくださいました。単独の登山者が439人、2人パーティが346人(173組)、3人以上のパーティが462人(89組)。下山時刻から入山時刻を引き登山時間の平均を求めると、単独が9時間34分、2人パーティが10時間38分、3人以上のパーティが11時間44分でした。パーティの人数が多いほど登山時間が長いという傾向が窺えます。パーティ登山では体力などの最も弱いメンバーに合わせて速度や休憩を設定します。パーティの人数が多いほど登山時間が長くなるというのは十分考えられることです。

トムラウシ山の短縮登山口からの日帰り登山者、入下山時刻の相関 日帰り登山者の入山時刻と下山時刻の散布図をパーティ人数別に描いてみました。

 入山時刻が4時から6時に集中しています。3人以上のパーティではもう少し狭く4時から5時に集中しています。登山時間が長くなるので入山時刻を早めているのでしょう。集中している部分に注目すると(それぞれ楕円で囲んだ部分)2人パーティの下山時刻は単独より約1時間、3人以上では更に遅いことが見て取れます。

 単独の登山者では、入山時刻も下山時刻も幅広い時間帯に分布しています。まだ暗い未明の出発も、もう暗い日没後の下山も、気兼ねの要らぬ単独行の気安さでしょうか。6時間未満の登山時間(右下のグラデーションをかけた三角形部分)に単独の登山者が多く見られます。並外れた健脚であるのか、慎重に早めの撤退を決心したのか、入林簿からは読み切れません。

 一方で遅い下山は、2人、3人以上のパーティが多く見られます。力を合わせ、あるいは励まし合いながら必ずや登り切ることを目指すのでしょうか。

 以前に、パーティの人数と単独登山者の割合を紹介しましたが、トムラウシ山の短縮登山口と温泉登山口の集計も揃いましたので改めて紹介します。

パーティの人数と単独登山者の割合(入林簿記入データより)
1人 2人 3人 4人 5人 6人 7人 8人 9人 10人以上 最多人数 単独率
白雲山士幌側 278 163 29 15 16 5 0 5 2 5 13 28.5
白雲山鹿追側 563 462 118 61 19 11 3 4 3 15 100 21.3
東ヌプカウシヌプリ 486 312 70 30 15 3 2 0 1 5 23 29.5
南ペトウトル山 66 37 8 6 3 3 1 0 0 3 60 19.6
ニペソツ山 214 41 12 4 3 2 2 1 1 2 16 49.1
ユニ石狩岳 52 27 5 6 2 1 1 2 0 2 16 24.2
十勝岳新得側 16 9 2 1 1 0 0 1 0 1 12 23.2
トムラウシ山短縮口 594 270 65 30 11 13 8 3 3 11 23 31.6
トムラウシ山温泉口 58 9 1 2 0 1 0 0 0 0 6 62.4

 入林簿記入者のうち単独登山者の割合が最も高いのはトムラウシ山温泉登山口の62.4%でした。

 また、登山者の多いトムラウシ山短縮登山口も、温泉登山口とニペソツ山に次いで高い31.6%となりました。この短縮登山口の単独率を月別に算出すると、7月から8月に低く、その前後で高いことが見られました。7月から8月はお盆休みや夏休みがあるなど友人や家族を誘いやすいのでしょうか。山開きや紅葉の頃も大雪山は美しい季節です。どうぞ幅広くお楽しみください。

トムラウシ山短縮口の月別単独登山者率(入林簿記入データより)

5月 100.0%
6月 33.3%
7月 26.7%
8月 28.4%
9月 41.9%
10月 63.6%
平均 31.6%

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2020年02月21日上空からのパトロール

大雪山国立公園 岩城大洋

みなさま、こんにちは。上川自然保護官事務所の岩城です。

今回の日記は、2月9日に実施したスノーモビル等乗り入れ規制啓発合同パトロール(以下、合同パトロール)の様子をお伝えします。

大雪山国立公園の一部の地域では、スノーモビルなどの乗り入れを規制しています。

なぜ規制されているかというと、スノーモビルなどの無秩序な走行が自然環境や動植物の生息・生育環境に悪影響を与えるからです。

規制区域への侵入を防ぐため、環境省及び関係機関では、毎年1月から3月にかけて、監視・普及啓発活動を目的とする合同パトロールを実施しています。

さて、今回の合同パトロールでは、私は北見峠を担当しました。

当日は今年一番の冷え込みとなり、北見峠に到着すると車の外気温度計はなんと氷点下26度ととんでもない数字を表示。

車から下りると、皮膚が露出している顔部分が冷気でピィーンと張り、すぐに鼻の先端が痛くなりました。

駐車帯にはスノーモビルの姿はなく、スノーモビルを牽引してきたと思われる車が10台残された状態で、遠くからはかすかにスノーモビルのエンジン音が聞こえ、駐車場には僅かに排気ガスのニオイがしていました。

今回の合同パトロールからドローンを使用し、上空から監視することができないか検討を始めました。

早速、規制区域の方角ではありませんが、かすかに聞こえるエンジン音へ向けて飛行させることに。

※(ドローン(無人小型機)は入林届を提出し飛行させています)

 

まずは、上空約80mまで上昇させ、

 

 

その後、エンジン音がする方角へと進路をとります。

 

 

スノーモビルの走行痕が上空からハッキリと確認できます。

さらに進路を進めると、

 

 

無数の走行痕が見えてきました。

しかし肝心のスノーモビルが見当たりません。

 

 

さらに、走行痕を追跡しますが、スノーモビルを発見できません。

耳を澄ますとエンジン音もいつの間にかに聞こえなくなっていました。

 

 

前方の山を越えたのかもしれません。走行痕をたどり山を越えたかったのですが、

この日の記録的な冷え込みの影響でバッテリーの減りが思いの外早く、ここは無理をせず引き返すことにしました。。。

 

 

無事に駐車帯へ戻ってきました。

残念ながら、低温の影響もあり、想定より、飛ばすことができませんでしたが、

上空からは、スノーモビルの走行痕がしっかりと確認できたのは、ドローンを飛行させた意義があったと思います。また、今回使用したドローンは半径約5キロ程度まで飛行させることが可能であり、スノーモビルが規制区域へと侵入しているかを上空から確認するには非常に有効な方法だと思いました。

今年度は、これからも定期的にパトロールを実施する予定です。

次回は、どこまでスノーモビルが乗り入れているかを検証できればと思っています。

今回のAR日記はここまで。

また次回をお楽しみに。。

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2020年02月07日山と森の静寂を大切に

大雪山国立公園 上村 哲也

 今回は、自然を好み自然に興味を抱く登山者のみなさまに野生生物への配慮をいただきたいというお話しです。

 東大雪地域には、登山口まで舗装路が続き広い駐車帯があり登山時間が短い、とある山岳があります。そうして山頂の少し先の岩場にナキウサギが生息しています。山頂を往復するだけでなく、その岩場まで足を延ばす方が大勢いらっしゃいます。

 2019年3月30日(土)から11月2日(土)までの218日間を調査したところ、標準的な登山時間を1時間以上超える登山者が761人いらっしゃいました。入下山時刻を把握できた1584人の48%に当たります。滞在時間の最長は9時間余りでした。

 ナキウサギの生息域に登山者が滞在したと考えられる日数は66%の143日に及びました。平均では3日に2日ですが、最長では18日間続きました。

標準的な登山時間を除いた滞在時間別登山者数 生活の場所へ毎日のように人が訪れるというのは、ナキウサギにとって異常な状態とはいえないでしょうか。ナキウサギは静かで穏やかな暮らしを望んではいないでしょうか。

 特に人数が多く22組49人が滞在した9月21日(土)について、滞在時間の分布を調査しました。

 パーティごとに人数と滞在時間帯を調べ、時間帯を20分ごとに区切り、滞在人数を集計しました。8時20分から18時まで登山者が滞在し、11時20分から13時20分までは20人を超え、最多は12時から12時40分の32人でした。

9月21日(土)の登山者の滞在分布
7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18
1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
1 1 1 1 1 1 1
3 3 3 3 3 3 3
1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
2 2 2 2 2 2 2 2 2
2 2 2 2 2 2 2 2
2 2 2 2 2 2
2 2 2 2 2 2 2
2 2 2 2 2 2 2 2 2
3 3 3 3 3 3 3
9 9 9 9 9
5 5 5 5 5
2 2 2 2 2 2 2 2 2 2
2 2 2 2 2 2
1 1 1 1 1 1 1 1
3 3 3 3 3
1 1 1 1 1 1 1
1 1 1 1 1 1 1
2 2 2 2 2 2 2 2
2 2 2 2 2 2 2 2 2 2
0 0 0 0 2 6 8 8 10 10 18 18 17 26 26 32 32 28 22 19 14 14 12 9 8 4 4 2 2 2 2 2 2 0 0 0

 ナキウサギは草食動物です。岩場周辺の植物が食べ物です。冬を過ごすための貯蔵なのか、ベッドの巣材なのか、巣穴へ運び込む光景も目にします。ナキウサギの愛らしさに目を奪われ、知らず知らずに周囲の植物を踏みつけていませんか。掘り巡らされた巣穴の上をゴトゴトと踏み鳴らして歩き回ってはいませんか。

 然別湖ではウチダザリガニが持つザリガニかび病(ザリガニペスト)によりニホンザリガニが見られなくなってしまいました。同じように、人にはなんともなくてもナキウサギは堪えられない菌やウィルスがあるかもしれません。人が持ち込んだものは、食べ物のひとかけら、飴の包み紙一枚も残してはいけません。

 入山前にはトイレを済ませ、携帯トイレも準備しましょう。

 観察は双眼鏡などを利用して十分に距離を置き、撮影には高い倍率の望遠レンズを用いたいものです。

 ナキウサギに代表される愛らしい野生生物たちが、これからも穏やかに暮らしていけるよう優しい心遣いをお願いします。

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2020年01月29日東大雪地域の入山者数推定

大雪山国立公園 上士幌 上村 哲也

 大雪山国立公園 東大雪地域には、現在通行止めとなっているものを除いても10箇所以上の登山コースが存在します。そのうちトムラウシ山短縮登山口、トムラウシ山温泉登山口、石狩岳登山口、ニペソツ山幌加温泉登山口では、登山者カウンターを設置しています。また、多くの登山口には森林管理署が入林簿を設置し、利用者のみなさんに記入いただいています。これらのデータを活用し、利用者の動向を調査しました。

 調査から見えてくる一端をご紹介します。

 なお、登山者カウンターは赤外線を利用する機械ですから誤りを生じることがあり、入林簿も全ての方に記入いただけているとは限りませんので、多少の誤差を含んだお話しであることをご理解ください。

 2019年の夏山シーズン、東大雪地域全体の計測数、記入数は10,175人で、昨年の9,505人を上回りました。登山口別では、白雲山鹿追側が昨年には及ばなかったものの2,646人で最多となりました。ほかの多くの登山口ではいずれも昨年を上回り全体を押し上げました。

東大雪地域の登山口別計測数、記入数

登山口 年間 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月
十勝岳新得側 69 3 7 3 4 39 13
トムラウシ山短縮口 2,621 140 1,078 843 550

10

トムラウシ山温泉口 119 14 40 47 16

2

石狩岳 458 28 89 92 232

17

ユニ石狩岳 215 3 47 73 87

5

ニペソツ山 1,091 206 326 288 234

37

白雲山士幌側 974 105 256 144 84 123 154

80

28
白雲山鹿追側 2,646 40 299 383 385 391 749 390 9
東ヌプカウシヌプリ 1,646 53 184 285 208 250 365 295 6
南ペトウトル山 336 7 62 95 18 62 40 51 1
合計 10,157 205 804 1,305 2,278 2,173 2,466 900 44

 表は、登山口ごとに年間、月別の計測数、記入数を示しています。登山者カウンターと入林簿の両方がある登山口では、登山者カウンターの計測数を利用しています。

 初雪は平年並みで、その後の雪の訪れは遅く、白雲山などは10月も変わらず登山者が訪れました。8月は平年に比べ40%前後多い降水が観測されましたが、顕著な落ち込みにはなりませんでした。

 東大雪地域には、ニペソツ山やトムラウシ山のように健脚向きの山がある一方、然別湖周辺のように初心者や家族連れで楽しめるところがあり、これらは春に雪が早く消えるのでシーズン初めの足慣らしにも適しています。

パーティの人数と単独登山者の割合

登山口  1人  2人  3人  4人  5人  6人  7人  8人  9人 10人以上 最多人数 単独率
白雲山士幌側 278 163 29 15 16 5 0 5 2 5 13 28.5%
白雲山鹿追側 563 462 118 61 19 11 3 4 3 15 100 21.3%
東ヌプカウシヌプリ 486 312 70 30 15 3 2 0 1 5 23 29.5%
南ペトウトル山 66 37 8 6 3 3 1 0 0 3 60 19.6%
ニペソツ山 214 41 12 4 3 2 2 1 1 2 16 49.1%
ユニ石狩岳 52 27 5 6 2 1 1 2 0 2 16 24.2%
十勝岳新得側 16 9 2 1 1 0 0 1 0 1 12 23.2%

 入林簿からパーティの人数を集計しました。ここでは、登山者カウンターのある登山口も入林簿のデータを利用しています。表は、人数別のパーティの数、最多パーティの人数、入林簿に記入された入林者数の合計に対する単独者数の割合を示しています。いずれの登山口でも単独登山者の数が最も多いという結果でした。

 しかし、白雲山鹿追側コースは家族や団体登山の利用が多いと考えられ、総記入数のうち単独登山者の割合は21.3%でした。一方、ニペソツ山では49.1%でした。幌加温泉コースが長く険しい健脚向きであることで、友人などを誘いづらく単独での山行を決意させるのでしょうか。

 ニペソツ山では、午前4時台の入山が最多で、日帰りの方は平均10時間余りで下山しています。日の出とともに入山し余裕をもって下山しようとする傾向が窺えます。登り1時間、下り40分と登山時間の短い東ヌプカウシヌプリでは、15時台の入山も見受けられました。天気がよい、空き時間ができたと気軽に訪れることができるのでしょう。

 大雪山国立公園 東大雪地域の多彩な山岳をお楽しみください。

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2020年01月28日層雲峡ビジターセンター冬季観察会

大雪山国立公園 上川 忠鉢伸一

上川アクティブレンジャーの忠鉢です。

雪の降り始めは早かった今シーズンですが、12月の暖かさと降雪量の少なさが影響して、例年の半分も積雪が無いこの頃です。

降りすぎも大変ですが、雪の中で遊びたい自分としてはなんだか物足りなさを感じる冬です。

 

さて、暖冬であっても層雲峡の冬は安定の極寒。

層雲峡ビジターセンターで実施している、冬季観察会の様子を紹介します。

1月19日、天気は良いけどとても冷え込みました。

朝の気温は氷点下18度でした。

観察会に出かける前にビジターセンターで大雪山の生い立ちと、層雲峡の柱状節理について説明を受けてから出発します。

柱状節理とは、熱い溶岩が冷えて固まる過程で収縮して、規則的な柱状の岩になったものです。

層雲峡ではよく見られる岩です。

この辺り一帯は火山の噴火で溶岩に埋もれ、冷えて固まった岩石を長い年月をかけて川が削り、今の状態になったと言われています。

それはもう気が遠くなるような長い年月です。

この日は運良く状態のいいフロストフラワーが見られました。

フロストフラワーが見られる条件としては、氷点下15度以下であること、無風状態であること、そして氷結した氷の面にしかできないそうです。

最後に立ち寄った洞窟の入り口には綺麗な霜が着いていて、水晶の洞窟のようでした。

こんな場所があったなんて初めて知りました。

近づいた自分の熱で溶けてしまいそうな位繊細な氷の結晶でした。

冬季観察会は2月23日まで(土日のみ)午前と午後の1日2回の開催となっています。

とても寒いですが防寒対策をしっかりして、層雲峡の冬景色を楽しんでみてはどうでしょうか?

層雲峡ビジターセンター講座案内

参加人数には定員がありますので、事前予約が必要です。

スノーシュー、ヘルメットなど必要な装備はレンタル可能です。

知識豊富なガイドさんが同行してくれるので、層雲峡の色々なお話が聞けてとてもおすすめです。

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