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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

自然とともに

2022年07月28日
羅臼 高林紗弥香
こんにちは。寒い朝にはいまだにストーブをつけてしまう羅臼自然保護官事務所の高林です。
皆様のお住まいのところには暑い夏はやってきましたか?
 
寒い日が多い羅臼ですが、夏を感じることがあります。
最近の出来事を記録したものをご笑覧下さい。※この記事はノンフィクションです。
 
↓↓↓
 
まだ日が昇らない時間、子育て真っ最中のシマフクロウが狩りに勤しんでいる。
 
そんなシマフクロウが気にはなるが「頑張るんだぞ!」と、そっとつぶやき歩みを進める。
 
私が急ぎ向かう先は知床世界遺産地域内の昆布番屋。
羅臼では夏の風物詩、昆布漁が始まる。
 
今年は業務前に昆布漁の手伝いをすることにした。
番屋の1室が私の部屋となった。
 
番屋の主であるお父さんが1番に出てきて作業の準備を始める。

そしてお母さん、おじいちゃん、おばあちゃん・・・親戚の人たちと次々にやってきて
まだ暗い時間から昆布を1枚1枚洗っていく。
破ったり、傷をつけてしまっては等級が落ちてしまうので丁寧にかつスピーディーに。
 
「お前何しに来た」と言いつつもおじいちゃんは山のこと、川のこと、海のこと、暮らしのこと、知床のいろんなことを教えてくれる。

「明日から荒れ模様だ。」
漁に出られないだけではない。
番屋ではいまだ沢水を生活用水としているところが多く、大雨になると水が濁ってしまう。
最悪の場合、水が出なくなってしまう。
なので、それに備えて風呂釜や大きなバケツに水を貯めた。
それでもだめなら・・・と雨水の貯め方も教えてもらった。
念のため、お米も2日分研いだ。
電気は自家発電機があるからどうにかなるとのこと。
だが、大抵は陽が昇るころ起きて、陽が沈む頃寝てしまう。
 
楽しみにしていたかぎおろし※の日。大雨で川から流れ出た泥水が海を茶色に濁らせた。
あいにくの悪天候でかぎおろしは延期。そして翌日も延期。  
※かぎおろし→天然昆布漁解禁の日
 
それでも海苔巻き、ぼたもち、お赤飯・・・近所では天然昆布漁を始めるお祝いのご飯が振る舞われた。
 
かぎおろしの日に、出航を見送るのが私の毎年の楽しみだったが、延期、延期で時間切れ。
私は知床連山の巡視へ。

「山の上から見るね!」とお祝いのお赤飯を山に持って行った。金時豆の甘納豆のお赤飯は行動食にもぴったりだった。

知床連山でお赤飯を食べ、雲海に隠れてしまった羅臼の昆布漁に思いを馳せた。




海と山とが極めて近い知床。
人々の暮らしと自然はとても近く、海の様子、天気、風の向きや強さ、生き物や植物・・・身近な自然の変化を感じながら暮らしています。
羅臼に暮らす人たちの知恵や経験から、羅臼の環境について学ぶことも多いです。

知床のアクティブレンジャーはただ今、巡視ハイシーズン。
羅臼に生きる人たちから学んだ知識や経験も巡視に活かせるよう、日々奮闘中です!