アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
外来生物防除活動①「羊蹄山コマクサ防除」編
2022年08月29日
洞爺湖
こんにちは! 洞爺湖アクティブ・レンジャーの小松 瑠菜です!
今回は今シーズン実施した外来生物防除活動①「羊蹄山コマクサ防除」をお届けします♪
羊蹄山コマクサ防除
コマクサは、高山の砂れき地に生育しとても美しい花を咲かせます。通称「高山植物の女王」と呼ばれ、自生地では手厚く保護されるべき植物です。しかし、別の場所から持ち込まれたり、自生していない地域で種が蒔かれたりした場合は、“外来種”として環境に悪影響を及ぼす恐れがあります。コマクサの移入が問題となっている地域は、羊蹄山のほかにも樽前山、前天塩岳、白山(石川県)、日光白根山(栃木県)などが挙げられます。
羊蹄山は、コマクサが自生していない山として知られていました。しかし、1998年に山頂付近で生育している個体が発見され、後に人為的に移入されたことが判明しました。本来生息・生育していない生きものを持ち込むことは、生態系やその地域ならではの自然環境を破壊してしまうことに繋がる可能性があります。
そこで、発見以降、環境省 および 倶知安町が共同でコマクサの抜き取り作業を不定期で行ってきました。2011年以降は、倶知安風土館 および ニセコ羊蹄山岳会の共同事業として、年1回(7月上旬~下旬)に、山頂周辺で作業するための各種法令の許可を受けた上で、継続的に実施しています。
今回、参加したメンバーは倶知安風土館から1名、ニセコ羊蹄山岳会から5名、環境省から3名、北海道から2名 の合計11名で作業に取り掛かりました。抜き取り実施前は数百株見られたコマクサですが、現在は毎年数株~十数株程度にとどまっています。今回の結果は5地点中1地点で有花茎個体1株、無花茎個体1株の合計2株を抜き取りました。
面積が狭い地点では順調に根絶できている傾向ですが、面積が広い地点では有花茎個体が見られることから、見逃している個体がある可能性があります。油断せず、今後も倶知安風土館 および ニセコ羊蹄山岳会と連携して取り組んでいきたいと思います。