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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

日高山脈襟裳十勝国立公園唯一の縦走ルート(公園計画歩道施設)の伏美岳~北戸蔦別岳縦走路を調査してきました

2025年08月13日
帯広自然保護官事務所 谷水亨
【6月中旬】 日高山脈北部・伏美岳~北戸蔦別岳間を新ひだかのレンジャー、帯広のレンジャーと現地確認してきました。日高山脈縦走ルートの中では最も歩きやすい(あくまで日高山脈の中では)と言われているルートですが、上級クラスの登山技術と経験、重装備が必要なルートです。加えて、伏美岳登山口へは崩壊したトムラウシ川林道約7.3kmを歩かなければなりませんし、季節によっては全行程に必要な水を登山口から持ち上げなければなりません。とてもリスクを伴う業務になります。
なお、現在(7月)トムラウシ川林道は林道補修工事のため、今年度中は通行禁止となります。伏美岳にも登ることはできませんので注意をしてください。最新の情報は十勝西部森林管理署HPをご覧ください。

トムラウシ川林道起点より、崩壊した林道の様子を調査しながら7.3㎞を歩き、伏美岳避難小屋、トイレ(汲み取りができないため使用停止中。携帯トイレブースとしての使用可能。)、登山口を調査後、さっそく登ります。この日は、1名が既に出発していました。
 
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現在は林道の補修工事のため通行止め(当時は通行可)
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4の沢渡渉では増水のため夏靴を濡らしてしまいました
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伏美岳避難小屋
伏美岳の山頂までの登山道は明瞭でした。しかし、それ以降のピパイロ岳までは、予想通り雑木林と笹薮、ハイマツ漕ぎが待っていました。ピパイロ西峰(1,911m)付近の高山植物は開花に1週間ほど早かったようで、満開のお花畑を見ることはできませんでした。周辺は登山道沿いに踏み荒らし跡があり、高山植物の生育環境を守るため、今後何らかの対策が必要かと思いました。みなさんは、登山道を踏み外さないようにしてください(なお、傷つけたり、採取したりすることは、自然公園法で規制されています。見て楽しむだけにしましょう)。

いよいよ、日高山脈で3番目に高い1967峰というときに、先行して歩いていた登山者と遭遇しました。情報の共有や互いの安全を確認した後、日高山脈襟裳十勝国立公園御朱印ステッカーをお渡して別れました。
 
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ピパイロ岳直下は残雪を利用
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目的の高山植物の開花は1週間前のようでした
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ピパイロ岳1967峰間で登山者に記念シールを渡しました
1967峰以南は、ハイマツの藪が濃くなり、進むのも大変です。残雪があると登山道を探すのも一苦労で、ルートファインティング能力が試されます。体力勝負で試されるルートであることは間違いないでしょう。
 
北戸蔦別岳の稜線に入るとハイマツの枝に隠れたルートを避けて歩きやすい高山植物帯のところに新たなルートが形成されていました。また、北戸蔦別岳手前ではトイレの使用済みティッシュが多数見受けられ、回収に時間を要しました。みなさん、使用済みティッシュは持ち帰るようにしましょう。
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稜線にはまだまだ残雪がありました
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中央右がハイマツに隠れかけた登山道で左が踏み荒らされた跡
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北戸蔦別岳山頂付近でティッシュを多数回収
山頂からは幌尻岳をゆっくり眺め、残雪が残るヌカビラ岳までのルートを慎重に下り、ヒダカイワザクラの群生に圧倒されながらチロロ林道コースを足早に下山しました。
 
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戸蔦別岳ABCカール
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ヒダカイワザクラが岩肌にびっしり咲いていました
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2日間の調査を終え、最後の林道歩き