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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

今年出会った大雪山の動物たち ①シマリス

2022年11月10日
上川 入江瑞生
こんにちは!大雪山国立公園管理事務所の入江です。大雪山に本格的な冬がやってきました。層雲峡では樹霜が見られるようになりました。

「すでに夏シーズンが恋しい!」という事で、シーズン中に撮映した何枚かのベストショットと共に大雪山の魅力を何回かの日記に分けて紹介したいと思います。最後までお付き合いいただけますと幸いです。
 
シマリスは愛くるしい大雪山のアイドルで、シベリアシマリスの亜種エゾシマリスが大雪山を始めとした北海道に生息しています。
 
黒岳トイレのし尿汲み取り作業の帰りに会ったこのシマリスは、チシマヒョウタンボクを食べていました。冬に向け大忙しなのかこちらを警戒しつつも登山道わきから離れようとしませんでした。
細いチシマヒョウタンボクの枝から実を採るのですが、時々バランスを崩してしまい地面まで落下という可愛らしい一面も観察できました。野生動物の身体能力は抜群ですが、この親近感が沸くシーンに出会え、私はさらにシマリスに夢中になりました!
連写で撮っていた写真を見ると、チシマヒョウタンボクの赤い実は食べず、種だけ集めているようでした。チシマヒョウタンボクは北海道と本州の南アルプスの亜高山~高山に自生している植物で、毒があるという話も聞きますが、真相は分かっていない植物です。もしかしたら、赤い実の部分だけが毒があるのでは?などと勝手に妄想しながら観察していました。
エゾシマリスはその場では食べず口の中の頬袋に詰め込み安全な場所に運んでから食べる、また穴を掘って冬に向け貯蔵する習性をもっているそうです。そのためかこの子も頬が少し大きくなっているのがわかるでしょうか? 愛らしいですね~!!
し尿の汲み取り作業で辛いかなと思いきや、下山途中のこの出会いによって、とても楽しい気分で帰ってくることができました。ありがとう~!!
 
 
お次は、

お口いっぱいに枯れ葉や枝を集めてせっせと、冬眠する巣穴のベッドメイキングの準備をしているシマリスに会いました。冬直前で大忙しのため、こちらを警戒しつつも何度も往復し、姿を見ることができました。シマリスの冬眠は脈拍・呼吸数ともに少なくしエネルギーの消費を節約しているそうですが、秋に貯蔵した食料を食べ、トイレのために起きているそうです。
今頃深い眠りに入っているのでしょうか?「寝心地はどう?」と聞きたくなりますね~。
 
今年は登山口に向かう林道の至るところでシマリスが道を横断しているのを多く目撃しました。危うく引きそうになる場面もあり、冷や冷やの運転でした!昨年より頭数が増えたのか、私が気付けるようになったのかはわかりませんが、今年はシマリスの出没が多い年でした。
本格的な冬に入っている大雪山。出会った動物たちがこれからの厳冬期どのように過ごしているのかとても気になりますね。
 
*登山道からはみ出て植生を踏まない、他の登山者の迷惑にならないようマナーを守って撮影するようにしましょう。