北海道のアイコン

北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。
支笏洞爺国立公園 支笏湖地区(定山渓・支笏湖)の情報を、アクティブ・レンジャー奥脇が発信しています

オオハンゴンソウ除去

2025年09月30日
支笏湖 奥脇百花
皆様こんにちは。支笏湖AR(アクティブ・レンジャー)の奥脇です。
支笏湖では少し日が短くなってきたように感じ、樹木の葉の先が色付きはじめていて、少しずつ秋の訪れを感じています。
本日は8/6と8/27の2日間、レンジャーの業務に同行して行った「オオハンゴンソウ除去作業」についてご紹介します。
今回の作業は、国立公園の隣接地で、道路を挟んだ向かい側が国立公園区域という場所のオオハンゴンソウ生育地で行いました。
国立公園内では毎年除去活動を行ってきましたが、オオハンゴンソウの生育拡大を食い止めるため、
土地管理者や周辺の関係機関の協力を得て共同で除去作業を行うことになりました。
代替テキスト
除去作業前
代替テキスト
除去作業後
普段は異なる場所で仕事をしている機関の皆様が集まり、1つの目標に向かって動いていくことは、
とても素敵なことだと除去作業を行いながらしみじみと感じました。
この土地に関わる皆様が、外来種除去活動を重視してくださり、実現できた作業だったので、本当に感謝です。
ご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました。
 
ところで、そもそもオオハンゴンソウってどんな植物でしょう?なぜ除去作業を行ったのでしょうか?
はじめにオオハンゴンソウについてご紹介させていただきます。

オオハンゴンソウとは?

オオハンゴンソウとは、北アメリカ原産のキク科の植物で、8月頃に黄色いお花を咲かせます。
高さは2mを超えると言われており、今回の作業場所でも1.5mくらいの草丈に成長していました。
日本へは明治中期に観賞用として導入され、1955年に野外で確認されるようになりました。
外来生物法では特定外来生物に指定されており、移動・栽培・植栽等が禁止されています。

特定外来生物とは、特に生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼすもの、又は及ぼすおそれがあるものの中から指定されます。
 
※詳しくは以下のリンクをご覧ください
特定外来生物等一覧 | 日本の外来種対策 | 外来生物法


 
代替テキスト
オオハンゴンソウ
オオハンゴンソウはとても生命力が強く、地上部の刈り取りを行っても地下に根が残っていれば、そこからまた地上に茎を伸ばして生育することができます。
そのため、早急に対処を行わなければ、在来の植物の生育地が奪われてしまう可能性があります。
 

在来植物(アケボノソウ)

オオハンゴンソウが生育している場所の周辺でも、在来植物は生育しています。
こちらの写真はアケボノソウというお花です。道内では中部以南に分布しているそうです。
代替テキスト
アケボノソウ
1回目の除去作業時には蕾の状態でしたが、2回目の作業時には綺麗なお花を咲かせていました。
花びらの柄が特徴的でとても美しい初めて目にするお花でした。
このような在来植物の生育地を守り、生態系を保つためにも除去作業が大切です。

除去作業

1回目の作業では、お花の咲いている大きな株を除去していきました。
大きく成長している株は根も強くなっているので、かなり強く引っ張らなければ抜くことができません。
(作業終わりには手に水ぶくれができていました…)
下の写真に写っている生姜のような塊の部分まで引き抜くことが、生育抑制ための重要なポイントです。(塊が残っていると高い確率で再生してしまいます。)
代替テキスト
生姜のような根っこ
オオハンゴンソウを引き抜いたところからミミズが出てくるので、栄養の豊富な良い土なのだと感じました。
作業後のゴミ袋の数は90Lの袋が42袋分となかなかの量になりました。(重量合計は294.3kgでした!)
予定していた範囲のオオハンゴンソウを全て抜き取ることはできませんでしたが、黄色い花の有無で抜き取った範囲の境界線が分かることから、作業を行ったという実感が湧きました。

2回目の作業日は前回よりもオオハンゴンソウが咲き乱れており、蝶々がすごい数舞っていました。(図鑑で確認したところ、タテハチョウの仲間と思われます…)
代替テキスト
タテハチョウの仲間
オオハンゴンソウの蜜は美味しいのでしょうか?受粉を手助けしないでほしいですが…
 

今回私は小さい株を中心に除去を行いました。
辺り一面オオハンゴンソウの小さな株に囲まれており、手で引き抜くには葉や茎がか弱いので、手持ちスコップで慎重に根を掘り返して除去しました。
代替テキスト
除去できた範囲
約1時間ひたすら小さな株と格闘しましたが、抜けたのは1m²の範囲…
(上の写真の土が見えている範囲2つ分です。ちなみに周りに見えている緑の葉は全てオオハンゴンソウと言っても過言ではありません。)
気が遠くなる作業です。1回目に行った作業場所のように、少し成長した後の株を除去する方が、スコップを使わなくても根まで引き抜くことができるので、除去作業も捗るかもしれません。
2回の作業の合計で、371.9kgのオオハンゴンソウを除去することができました。
 

終わりに

オオハンゴンソウはほぼ全国に分布を拡大しており、根絶はなかなか難しいかもしれません。
しかし、継続して活動を行うことで、国立公園やその周辺の地域の本来の景観や生態系を取り戻し、少しでも生態系保全に貢献できたら嬉しいです。
 
最後まで読んでいただきありがとうございました。

「環境省アクティブ・レンジャー写真展 ~北の自然の舞台裏~」


開催中です!
皆様のご来場、お待ちしております。


↓オンラインでもご覧いただけます!