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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

2月2日は世界湿地の日 宮島沼編

2023年02月02日
苫小牧 大久保 智子
寒い日が続きますが、小鳥のさえずりを耳にするようになり、春の足音が聞こえてきました。
 
国際的に重要な湿地と、そこに生息する動植物の保全を目的として定められているラムサール条約が、採択された2月2日を記念として。この日を世界湿地の日と定めました。
 
宮島沼は水鳥の重要な中継地のひとつとして2002年にラムサール条約湿地に登録され、今年度で登録20周年を迎えました。20周年を記念したイベントの様子はYouTubeでも見ることができます。

https://youtu.be/lRx31ub0c2A



ラムサール条約における湿地の定義は、天然のものであるか人工のものであるか、永続的なものであるか一時的なものであるかを問わず、更には水が滞っているか流れているか、淡水であるか汽水であるか塩水であるかを問わず、沼沢地、湿原、泥炭地又は水域をいい、低潮(干潮)時における水深が6メートルを超えない海域も含むとされています。
ざっくりいうと、水をたっぷり含む土地のこといい、沼沢、湖沼、湿原川、水田、藻場干潟や珊瑚礁域といった浅海域などが湿地にあたります。


「湿地の分類」(環境省HP)

宮島沼は、ガンカモ・ハクチョウ類の渡り鳥が、春は極北シベリア方面の繁殖地に秋は本州以南の越冬地に行き来する渡りの途中で、羽休みやエネルギー補給のために立ち寄る重要な中継地です。
 
周囲には田畑が広がり、私たちの主食であるお米が育てられています。渡りの途中で立ち寄ったマガンはその落ち穂をついばみ、エネルギーを補給しているため、マガンも私たちと同様に農業に支えられています。宮島沼のある美唄市では、子どもたちに農業・食育体験などを行い、人と共生する野生動物や自然について学ぶ機会を提供しています。周辺の農家さんと自治体の協力のもとで、今後も湿地の良好な自然環境が保たれ、宮島沼に集まるマガンたちが安心して、休息することができるように、宮島沼とマガンと農業の共生に取り組んでいます。
 
  

湿地には、渡り鳥だけではなく、魚や両生類も生息し、人間の飲み水の供給源、食卓の魚の生息地やお米を育てたりして私たち人間生活を送る上でもとても重要な場所です。
しかし世界では1970年から2015年の間に湿地の約35%が消失しており、今すぐにでも湿地を保全し回復するための行動が必要です。



宮島沼は特に渡り鳥が集まる時期に、バードウォッチャーがたくさん来ます。
農地や農道への侵入は、田畑での作業に影響を及ぼすため立ち入らないようにすることも、湿地とマガンを守ることにつながると思います。なので、農地や農道の侵入はやめてください。
 
 
世界湿地の日、春の渡りを待ちわびながらそんなことを考えてみました。