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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

令和4年度しれとこ住民講座を開催しました!

2023年02月28日
羅臼 吉田恵人
皆さんこんにちは。羅臼自然保護官事務所の吉田です。
 
2022年8月7日(日)に、知床羅臼ビジターセンターで開催した「令和4年度しれとこ住民講座」の様子をお伝えします。
 
しれとこ住民講座は、世界自然遺産地域に暮らす地域住民の方々や近隣市町村の方々を対象に、知床の魅力や自然の貴重さを知ってもらうため、普及啓発活動の一環として実施しています。

【開会の様子】

今回は、東京農業大学生物産業学部博士研究員の小林駿さんにお越しいただきました。
小林さんは、長年マッコウクジラの研究に従事しており、長崎県五島列島沖や羅臼沖(根室海峡)に来遊するマッコウクジラについてご研究されています。講演会には、合わせて20名が参加しました。中には小林さんと学生時代からお知り合いである羅臼町民の方や、調査のお手伝いをしていた地元の漁師さんなども参加され、賑わいをみせていました。


【講演の様子】

講演会は、マッコウクジラの基本的生態や進化の過程など、盛りだくさんの内容でした。羅臼沖(根室海峡)に来遊する個体はどのような個体なのか、それをどういった方法で調査研究してきたのか、現場で得られた貴重なお話を聴くことができました。

【マッコウクジラの上顎に埋まっている歯】

個人的に面白いと感じたのは、マッコウクジラは、歯を咀嚼のために使うわけではなく、獲物を捕まえるために使用するところです。上顎に露出した歯がなく歯茎の中に埋まっている状態であり、獲物にかぶりついて丸呑みするのです!実際にストランディング(座礁)の際に採取されたマッコウクジラの歯を間近で見ることができました。写真の歯は大きく、質量もかなりありました。成長途中で一回り大きくなるそうです…。上顎の歯は歯茎から生涯露出しないため摩耗することがなく齢査定に使用されるそうです。生活史や体の構造、どれにおいてもスケールが大きいです。


【午後には関係者向けの講演も】

午後には関係者向けに第2部を開催しました。
こちらも29名にご参加いただきました。参加者からは、「いつも仕事で見ているマッコウクジラを深く知ることができた。」「羅臼に来遊する以外の生活史を知ることができた。」といった声をいただき、根室海峡に来遊するマッコウクジラについて、地域の皆様と一緒に勉強する良い機会となりました。

知床羅臼ビジターセンターでは、定期的にイベントを開催しています。
ご案内については、知床羅臼ビジターセンターwebページをご確認ください。