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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

礼文島の雪と風

2023年02月22日
稚内 津田涼夏
みなさん、こんにちは!
礼文島アクティブ・レンジャーの津田です。
 
いきなりですが、冬の礼文島はどんなイメージですか?
 
 
風が強く寒そう、というイメージのとおりで風が強く、その影響で体感温度はかなり寒いものになります。また、雪が舞い上がることで周囲が見えづらくなることもたびたびです。
それでも天気の良い日には、遠く離れた稚内やサハリンが見え、漁港にはカモたちの姿や、島の上空には羽を広げたオオワシたちの姿を見ることができます。また、西海岸の絶壁に積もった雪景色には自然の美しさがあり、何度見ても感動します。
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地蔵岩
礼文島の東側の海岸沿いは島内の他の場所と比較して積雪が多く、西海岸沿いでは風の影響で積雪がほとんどない場所もあります。夏場でも西海岸の風が強い場所では身体が飛ばされそうになることもあります。
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東側
代替テキスト
西側
私が礼文島で一番風が強いと思っている場所では、2月中旬の積雪がゼロでした。
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桃岩展望台コース
この積雪の差が礼文島で高山植物が多く見られる理由だと言われています。みなさんは雪に対してどのようなイメージを持っていますか?とても冷たいというイメージを持っているのではないでしょうか。実は水は0℃以下にならないため、気温が氷点下になる礼文島のような寒い地域では雪の中は外よりも暖かい場所になります。雪で作ったかまくらをイメージしていただけるとよいと思います。このような理由で積雪が多い場所ではササなどの寒さに弱い植物が厳しい冬を乗り越えることができます。
一方で、雪が風で飛ばされてしまい土の中まで凍結する場所で生き残ることができる植物は寒さに強い高山植物に限られます。礼文島にはそのような風、雪と高山植物の間に特別な関係があり、それが花の浮島と呼ばれる礼文島固有の景観を作っています。
冬の礼文島は厳しいけれど、それを乗り越えた先に花畑が広がると思うと楽しみで仕方ありません。まだもう少し続く冬を楽しんでいきます。
 
代替テキスト
江戸屋山道