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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

イタチごっこならぬキツネごっこ

2023年02月28日
羅臼 吉田恵人
みなさんこんにちは。羅臼自然保護官事務所の吉田です。
突然ですが「イタチごっこ」という慣用句はご存じですか?
誰しも一度は聞いたことがある言葉だと思います。
 
意味は、双方が同じことを繰り返していつまでもらちがあかないことです。
羅臼では、人とキツネで同じようなことを繰り返し、らちがあかないことが起きていました。
 
「知床世界遺産ルサフィールドハウス」に、整備された浄化槽の現地確認に行ったある日のこと。
フィールドハウスを訪れていた方から「センターの裏にキツネが穴を掘っていましたよ。巣穴を作りたいのかな?」と言われて、キツネが掘った穴を確認することに。

【キツネに掘られた穴を見て呆然とする塚本自然保護官】

大きな穴が2カ所。穴は出来ていないが掘った形跡が2カ所ありました。
通り抜けられるように貫通しているトンネル…(巣穴のためではないのか?)。

【一晩で掘ったとされる穴】

状況を確認した後に穴をすべて埋めました。

【埋めた穴の様子】

これでもう穴を掘られることはないだろう。そう考えルサをあとにしました。
数ヶ月後…。「そろそろ草も生え始めて土砂の流出も少なくなってきているこ…ろ…。」

【キツネに掘られた穴を見て再び呆然とする塚本自然保護官(秋Ver)】

再び掘られた穴を埋める作業。

【穴を埋める吉田AR(著者本人)】

キツネとのやりとりはまだまだ続きます。
再び掘り返されたことを皮切りに人間も策を考えます。
その策とはネットで穴を掘られないよう法面をカバー!

【ネットを張り終え、ご満悦の塚本自然保護官】

動物が絡網しないよう細心の注意を払い設置しました。
「雪が降るまでの辛抱。」そう呟いた塚本自然保護官。
そして、数週間後・・・。

【穴を掘ろうとした跡】
 
穴を掘ろうとした形跡はあるものの大きな穴を掘られませんでした。
そして、植生も徐々に回復してきている様子。
今年は雪が降ったことから一時休戦。
 
こうして「イタチごっこ」ならぬ「キツネごっこ」に一旦幕が下りたのでした。