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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

スノーモビルによる資材運搬 ~裾合平~

2023年04月21日
上川 忠鉢伸一
こんにちは
大雪山国立公園管理事務所の忠鉢です。
 
裾合平は、夏は一面のチングルマのお花畑が広がる、大雪山の中で最も美しい場所のひとつです。日本国内でも他に類を見ないほどのチングルマの大群落を見ることができる場所ですが、木道が老朽化し、それに伴って登山道周辺の荒廃がすすんできた場所でもありました。
 
2022年9月に北海道上川総合振興局がガバメントクラウドファンディングを活用して、
(一社)大雪山・山守隊と協力し、登山道補修イベントを行いました。
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【裾合平の木道】
【北海道HP】クラウドファンディングについての詳細はこちら
【募集終了】クラウドファンディング~大雪山の貴重なお花畑を守りたい~ - 総合政策部地域創生局地域戦略課 (hokkaido.lg.jp)


登山道整備では資材運搬が大きな労力となります。登山口から遠く離れた場所までの運搬となるとさらに労力がかかります。人力で運んだ場合、資材を現地まで運ぶだけで1日が終わってしまうこともあります。
 
2021年から愛山渓で始まったスノーモビルによる資材運搬ですが、裾合平でも登山道整備資材を運搬できるのではないか?という思いから繋がった試みです。
2023年4月に裾合平で行ったスノーモビルによる資材運搬の状況確認へ行った時の様子を紹介しようと思います。

 
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【姿見駅から裾合平への道】
昨年に行った補修作業で撤去した木材は現場にまとめておき、春になったら雪の中から掘り出しを行い、スノーモビルで運搬するという計画になっていました。
今シーズンに再整備に使用する資材を現場まで運搬した帰りに、昨シーズン解体した木材を持って帰ってくるというピストン輸送作戦です。
 
まずは座標を頼りに木材を残置した場所を探し、深さ2m以上ある雪の中から昨シーズン解体した木材を掘り起こす作業です。
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【堀出し作業】
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【解体した木材 約6トン】
ロープウェイ駅舎と施工現場の間は直線距離で約2.5km、徒歩であれば片道1時間半~2時間ほどかかる距離です。
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【裾合平から木材を運ぶスノーモービル】】
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【姿見駅から資材を運ぶ】

雪に埋まっている廃木材の掘り起こしや、そりへの積み込みは人力で行います。
往路、復路共に荷物を運ぶため、モビルの操縦者の負担が大きいですが、総重量約10トンもの資材を実質3日間の作業で運びきったことになります。これを人力で運ぶとなると数年かかるでしょう。
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【登山道整備用資材 約4トン】
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【運搬用そりへ資材を積み込む様子】


今年度は愛山渓地区の登山道整備資材の運搬だけでなく、裾合平での登山道整備資材の運搬、撤去した廃材の運搬と、大雪山で活躍の場を広げているスノーモビルです。
今までは資材の運搬方法が人力かヘリしか無かった大雪山ですが、スノーモビルは今後の登山道整備資材の運搬を担っていく可能性が出てきたのでは無いでしょうか。
 
スノーシーズンの資材運搬は終わり、来シーズンもガバメントクラウドファンディングを活用した登山道整備は継続されます。
登山道の雪が完全に溶けたら引き続き補修後の経過を報告したいと思います。