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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

観光シーズンに向けて

2023年05月08日
稚内 中村一貴
【観光シーズンに向けて】
 
こんにちは。
稚内自然保護官事務所の中村です。
 
4月16日、この日は季節外れの大雪となり、
稚内市では多いところで20センチ以上の積雪となりました。
 
もちろん利尻島でも降雪があり、冬の景色に逆戻りしてしまいました。
先日、春の観光シーズンに先駆けて巡視を行いましたが、今回の降雪で新たに倒木がないか、看板の冬囲いの撤去もかねて再び、利尻島へ巡視に向かいました。
 
幸い、前日の好天もあって平地の雪はすっかり溶けていましたが標高130mにある姫沼にはまだ残雪があり、すっかり冬の装いに。

雪に覆われた姫沼の木道

雪に埋まった木道を慎重に歩いていると。

 
 
ザゼンソウ

雪の中からひょっこりとザゼンソウが花をのぞかせていました。
このザゼンソウの写真、なにかお気づきなられることがないでしょうか。
 
ザゼンソウの周りだけ雪が溶けているように見えないでしょうか?
実はザゼンソウは植物なのに「発熱」するのです。
 
発熱の理由は、気温の低い環境でも受粉を行うことができるように一定の体温を保つためと考えられています。[1][2]
 
ザゼンソウを見つつ、木道を見渡しましたが新たに倒木は確認されませんでした。
 
この日は、木道の巡視のほかに看板の冬囲いの撤去も行いました。
冬囲いとは冬季の降雪や強風によって看板が劣化しないようにかぶせているシートを指します。
観光シーズンまでにはその冬囲いを撤去する必要があります。
 
  
冬囲い撤去の様子(左:シート撤去前、右:シートの撤去後)

いくつかある冬囲いを撤去するため島内を回っていると目の前を黒い影が…
何だろうと、影が向かった先を見てみると!
 
クマゲラ
 
なんとそこにはクマゲラがいました!
こんなに間近で見られるなんてと感動していると。
 
向かい合う二羽のクマゲラ

後ろから複数羽飛んできました!
この日は合計で10羽近くのクマゲラに遭遇することができました。
 
これから、いよいよ観光シーズンの幕開けとなりますが運がよければ、
クマゲラにも会えるかもしれません。

参考
[1]「ザゼンソウの発熱現象と呼吸制御」 秋山、戸島、上口 理化学研究所脳科学総合研究センター神経成長機構研究チーム、科学技術振興機構さきがけ 2012
[2]「日本産ザゼンソウ属植物の発熱現象」 大塚、浜田、植田  植物研究雑誌 86(4)、224-229 2011