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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

環境省アクティブ・レンジャー写真展~北の自然の舞台裏~

2023年06月01日
上川 忠鉢伸一

大雪山国立公園

大雪山国立公園管理事務所 アクティブ・レンジャー 忠鉢伸一

雪景


ニセイカウシュッペ山 2月
 
 日の入りの時刻が少しだけ遅くなった2月の午後に、北大雪のニセイカウシュッペ山の陰影が綺麗に見えました。
北海道の冬は厳しい環境ですが、辺り一面真っ白な世界は雪国ならではの美しい景色がみられる季節です。特に雪山の夕焼けは冬の楽しみでもあります。刻一刻と変わっていく山肌と空の色は寒さを忘れて見入ってしまうほどです。
いつでも出会えるとは限らない景色に、運良く出会えた日はとても幸せな気持ちになります。
 

吸蜜


赤岳 6月

 6月の高山蝶パトロールを行った際に、ミネズオウの蜜を吸うウスバキチョウの姿を観察することができました。
国の天然記念物にも指定されているウスバキチョウは、大陸から渡って来たのち、一部の高山植物やナキウサギと同じく高山帯に取り残されたと考えられ、氷河期の遺存種と呼ばれています。
ウスバキチョウは卵の状態で一度目の冬を越え、食草となるコマクサを食べて育った幼虫は、繭の状態で2回目の冬を越えます。とても厳しい大雪山の高山帯という環境の中で丸2年という期間を生き延びた個体だけが蝶になれるのです。6~7月の短い期間に成虫となったウスバキチョウは交尾し、次の世代へ命をつないでいきます。