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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

ヘリによる資材運搬作業

2023年06月30日
上川 忠鉢伸一
こんにちは大雪山国立公園管理事務所の忠鉢です。
 
今シーズンも黒岳石室は管理人の常駐が始まりました。
石室が営業を始める前日の6月23日にヘリ輸送による資材運搬作業がありました。
運搬作業に参加したときの現場の様子をお伝えしたいと思います。
 
例年であれば6月でもまだ雪が深い黒岳石室です。ヘリ運搬は黒岳石室の営業が始まる前には終わらせたい作業なのですが、今年はいつもの年より雪が少なく、作業をするためには好都合でした。
運搬作業は、環境省、北海道上川総合振興局、上川町、NPOかむいと合同で行いました。
 
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【雪の残る黒岳登山道を登って現地へ向かう】
石室の維持管理用資材をヘリで荷揚げし、黒岳石室トイレで出たし尿・ゴミ等を帰りに荷下げするのが今回のミッションです。
荷下げをするし尿や搬出するためのゴミはまだ雪の下に埋まっているため、雪の中から掘り出す作業から始まります。
掘り出したし尿・ゴミは梱包して最終的には畚(もっこ)というロープで編まれた運搬道具を使ってヘリでつり上げて麓まで運びます。
【掘り出し】【梱包】【運搬】それぞれの作業に1日を要し、計3日間かけて行われました。
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【ブルーシートで梱包されたし尿とゴミ】
コロナ禍あり、悪天候ありで、今回は3年ぶりのヘリ輸送となりました。
黒岳は沢山の登山者が訪れるため、繁忙期のトイレはすぐに満タンになり、汲み取り作業が行われています。黒岳石室ではバイオトイレは機能せず、毎年のようにし尿はヘリで運搬してきました。
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【石室の資材を荷揚げ】
ヘリがホバリングしているときのダウンウォッシュ(回転翼から吹き下ろされる風)は強烈です!台風並みの強風でした。
ヘリは着陸せず、上空でホバリングして荷物の切り離し、つり上げを行います。
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【上空でホバリング中】
若干のトラブルはありましたが、予定された作業はすべて終了しました
今回荷揚げした資材や物資は石室の補修に使われ、荷下げしたゴミやし尿は麓で分別処分されます。今回も天候が心配でしたが持ちこたえてくれました。
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【し尿・ゴミを輸送中のヘリ】
山のトイレは大雪山の大きな問題になっています。
高騰するヘリ輸送費を賄えるほど黒岳石室のトイレ利用協力金は毎年集まっていないのが現状です。
携帯トイレの普及が現在のトイレに関する問題を減らす鍵になると思っているところです「携帯トイレは初め戸惑うけど慣れたらトイレより快適」
自分の周りの携帯トイレを愛用している人からはあまり否定的な意見は聞かず、いつも使用している人ほど携帯トイレの方が安心して用を足せて、「使用しやすい」と考えているようです。
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【層雲峡ビジターセンター横の携帯トイレ回収ボックス】
黒岳石室トイレは常設トイレと携帯トイレブースがあります。
黒岳石室トイレ使用協力金は500円となっています。携帯トイレブースは無料です。
用を足すために登山道外へ踏み込んで環境に悪影響を与える事もなく、トイレの便槽にスマホをうっかり落とすこともなく安全に用を足せる携帯トイレですが、自分の出したゴミ・し尿はすべて持ち帰るというスタイルが私的には一番気持ちが良いと感じますが、皆さんはどうでしょうか?
 
山のトイレ問題、シマリスも草葉の陰から見守っていますよ!
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【石室周辺に住んでいるシマリス】