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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

利尻山ってどんな山?

2023年09月12日
稚内 中村一貴
 
こんにちは。
稚内自然保護官事務所の中村です。
 
利尻担当のアクティブレンジャーと着任して早くも約4ヶ月たち、そろそろ夏の終わりも見えてきました。
今回は、利尻島の象徴ともいえる利尻山について皆さんに詳しく紹介したいと思います。
 

利尻山 利尻礼文サロベツ国立公園内で様々な姿を見せてくれます

利尻山は日本百名山の一つにも数えられ、毎年多くの人が登っています。そのたたずまいから利尻富士と呼ばれ多くの登山者や観光客を魅了しています。
一方で、多くの登山者が利用することで登山道には強い負荷が掛かってしまいます。
そのため、定期的に維持管理を行わないと、登山道を起点に山自体がどんどん崩れていってしまいます。また、利尻山の山頂付近は“スコリア”と呼ばれる火山噴出物で形成されています。このスコリアですが、軽石のように内部に空気を含んでいるため、持ち上げて見るととても軽く、雨や風などで簡単に流出してしまいます。
 
 
山頂付近の様子 地面が赤茶色のスコリアで覆われています

スコリアが流出するとその上に根付いていていた植物も一緒に流されてしまいます。また、流れてきた先でそこにある植物が埋まってしまい、美しい自然の景観が失われることにもなります。一方で、このような崩壊しやすい地形を好むリシリヒナゲシなどの植物にとっては数少ない生育場所になっています。
 

リシリヒナゲシ 利尻島の固有種で利尻山を代表する植物です

スコリアは軽いことから流出しやすく、一度の雨で山の形が大きく変わることも珍しくありません。スコリアの多い山頂付近はたどり着くだけでも時間がかかるので整備も簡単ではありません。今年度も7月24日の大雨の影響により、沓形コースの「背負子(しょいこ)投げの難所」で登山道の一部が崩れています。現在はロープを設置していますので、ロープに沿って通行するようにしてください。
 
 
“背負子投げの難所”の崩落直後(左)とロープ設置後(右)

かつては、脆く崩れやすい地質であることに加え、多くの登山者が行き来することによって、登山道の侵食が深刻になっていました。
 

2005年の利尻山の様子 当時は「3歩進んで、2歩下がる山」と言われていたそうです

そのため、環境省では侵食の激しい箇所を中心に登山道の整備をすることで利尻山の侵食防止と自然環境の回復を図っています。ここ最近では写真と見比べても登山道が綺麗になり、侵食が軽減したり植生が回復したりしていると感じます。
 

現在の利尻山の様子 登山道周辺の侵食が押さえられ、登山初心者の自分でも登りやすいと感じました
 
特に山頂付近の大量のスコリアが流出してしまった箇所、通称“3mスリット”は整備の効果が現れていると感じます。ここでは本来排水等に用いられるコルゲート管を設置し、そこに流出したスコリアを埋戻す方法によって崩れてしまった登山道の補修を行っています。
 
 
えぐれている箇所(赤丸)が3mスリット コルゲート管を使った整備を実施しています

埋戻しのためのスコリアを詰めた土のうは鴛泊コースと沓形コースの合流点付近に設置しています。
体力に余裕がある方はこちらの土のうを青い看板が目印の侵食対策実施箇所までの運搬にぜひお力を貸してください。


 
合流点付近の土のう置き場 土のうは軽いものや重いものなど色々あります



山頂に向かう途中に青い看板が目印の対策実施箇所に運んだ土のうを集積しています

私は以前の利尻山の様子は写真でしか分からないのですが、巡視や作業のために利尻山へ登った際には登山者の方から「前よりも登りやすくなって、助かっています。」と声をかけていただくことも多く、登山道整備の成果を実感することができました。
 
これからもより多くの人に登山道を安全に利用してもらいながら美しい利尻の自然を維持するために、私自身何ができるかを考えながら引き続き業務に励もうと思います。
 

8合目 長官山から望む利尻山
 

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