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アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
支笏湖のエゾシカ調査
2023年10月19日
支笏湖
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支笏湖事務所より、日々秋の深まりを感じているアクティブ・レンジャー阿部です。
ここ最近の悩みは、運転中にエゾシカが道路にあらわれること。
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実は支笏湖周辺はエゾシカが越冬するエリア。
秋から冬にかけて、札幌市や北広島市から移動してくるシカがいるほどです。
そんな支笏湖では交通事故の危険性のほか、植物への影響にも注目しています。
例えば木の樹皮はシカの冬場の食べ物のひとつですが、幹を一周食べられてしまうと、その木は枯れてしまいます。
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そのため毎年エゾシカに食べられた植物を調査し、変化を分析するのです。
先日、調査準備に同行した時の様子を紹介します。
場所は支笏湖畔にある中モラップの森。
少し歩くだけで、エゾシカのふんや食べあとが次々と見つかりました。
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シカに先端の葉を食べられたササは茎がむき出しになって、つまようじがたくさん立っているみたいです。
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調査会社の職員が、森の中に目印や枠を設置し、植物がどれくらい食べられるかを測るための調査区を設定します。
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このような調査区が支笏湖周辺にいくつか設けられ、エゾシカが植生へ与える影響を分析することになります。
これまでの調査結果では、場所によってはエゾシカの植生への影響が見られるようになっており、生息数や越冬数が増えている可能性があります。
果たして今年の調査結果はどうなるか、植物への影響だけでなくシカとの交通事故が起きないことを祈りながら結果を待ちます。
(支笏洞爺国立公園管理事務所/阿部万純)