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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

氷上のコハクチョウ

2023年12月06日
稚内 後澤 宏文
【氷上のコハクチョウ】
 
 こんにちは! 礼文島・クッチャロ湖担当のAR後澤です。
 
 11月27日に,業務で浜頓別クッチャロ湖水鳥観察館へ行きました。
 その折のクッチャロ湖の様子についてご紹介します。
 
 クッチャロ湖は,湖とその周辺湿地が渡り鳥の集団渡来地として国指定鳥獣保護区に指定されているとともに,ラムサール条約(正式名称:特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約)に日本で3番目に登録されています。渡り鳥の中でも特に,日本で越冬するコハクチョウのほとんどが中継地として飛来する重要な場所です。
 水鳥観察館のパンフレットによれば,コハクチョウの渡りのピークは4月と10月で,春のピーク時には約6,000羽が集まるそうです。
 では,秋の渡りのピークを過ぎた今の様子はどうなのでしょうか,
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ほぼ全面が凍結しているクッチャロ湖
 この日,湖の大半は凍っていました。わずかに残された水面にコハクチョウ・オオハクチョウ・オナガガモ・マガモ・カワアイサなどが群れていました。コハクチョウの数はざっと100羽くらい。10月に比べてずいぶん減ったなぁと思いました。
 一方,氷の上には,写真のように点々とコハクチョウがたたずんでいました。顔を羽にうずめて休息したり,ゆっくりヨチヨチと氷の上を歩いていたりしていました。
 そこへ,湖の奥の方にいた数羽の群れ(家族と思われます)が飛び立ち,近くに舞い降りてきました。
 
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氷上を舞うコハクチョウ
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家族で仲良く飛んでくる
 氷の上に降りると,家族で集まって大きな声で鳴き始めました。湖中に響き渡るほどの大騒ぎでした。
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集まって大騒ぎする家族
 しばらくすると,この家族から1羽,2羽と抜けていき,最後につがいらしい2羽が残りました。
 2羽は互いに向き合い,首を上げたり下げたりしながら鳴き交わしを始めました。2羽のタイミングが合ったところを写真に撮ろうと頑張ったのですが,なかなかシャッターチャンスは訪れません。ようやく撮れたのがこの1枚です。
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鳴き交わすコハクチョウのつがい
 このような,氷上に飛んできては集団で鳴き交わし,最後は2羽で鳴き交わす光景は何度も繰り返し見られました。ハクチョウの鳴き交わしは,家族やつがいの絆を強めるために行われると聞いたことがあります。これまでにも水面での鳴き交わしは見たことがありましたが,氷上で見たのは初めてです。
 
 クッチャロ湖では,越冬するコハクチョウもいるそうです。これから寒さが厳しい季節になりますが,氷上でのこの光景が続いていくのでしょうね。
 
 さて,浜頓別町にはもう一つ野鳥の名所があります。「オオワシの森」と名付けられた場所で,12月中頃をピークに500羽を超えるオオワシが産卵を終えて死んでしまったサケを求めて集まり,1本の木に60羽ものオオワシがとまる「ワシのなる木」で知られています。この日行ってみると,確かにオオワシがなっている木が何本もありました。写真のこの木には15羽がとまっていました。ピーク時に60羽もとまる様子をぜひ見てみたいと思いました。
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ワシのなる木
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木にとまるオオワシの成鳥
 この「オオワシの森」は,浜頓別町や現地の皆さんが大切に保護をしています。専用の駐車場が設けられ,路上駐車や三脚使用,私有地である牧草地への立ち入りは禁止されています。ルール・マナーを守って観察するようにお願いいたします。