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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

ササの一斉枯死

2023年12月14日
稚内 後澤 宏文
【ササの一斉枯死】

 こんにちは! 礼文島担当ARの後澤です。

 今年,大事件が起こりました。それは,北海道全体でも起こったことですが(2023年8月14日北海道新聞「なぜ? 全道でササが一斉開花、枯死 数十年から百数十年に1度 シカ餌不足の恐れも」),一昨年あたりから昨年にかけて礼文島でクマイザサと思われるササが一斉開花し,今年広い範囲で枯れてしまったのです。写真はササ枯れの現場を現地調査した際のものです。
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一斉に枯れてしまったクマイザサ(右上は枯れていないチシマザサ)
 写真の手前から左奥の方まで,茶色い部分は全て枯死してしまったクマイザサです。その中に点々と緑に見えるのはチシマザサで,右上の緑の部分につながっています。ササは,長い年月(数十年から120年程度)をかけて成長した後に、たった一度だけ花を咲かせて枯れてしまうそうです(国立研究開発法人 森林研究・整備機構森林総合研究所HPhttps://www.ffpri.affrc.go.jp/snap/2020/10-sasa.html#より)。それがこれほどの規模で目の前で起こっているのは信じられない光景でした。
 枯れた後の植生がどうなっていくのか,大変興味深いところです。枯れなかったチシマザサが勢いを増すのか,種を残したクマイザサがワッと芽吹いてくるのか,それとも他の植物が入ってくるのか,この事件の経過を今後気をつけて見守っていきたいと思います。
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2022年に開花したササの花(利尻島オタトマリ沼)
 参考までに,ササの花の写真を載せておきます。花といっても花びらはありません。緑~黒色のイネのモミのような粒が割れて雄しべが顔を出す程度の地味な花です。受粉すると実りますが,食用にはあまり向かないようです。動物たちにとっては,ご馳走になったかもしれません。写真はお隣の利尻島で昨年撮影されたものです。今年はこの場所でも,一面にササが枯れている光景が見られました。