北海道のアイコン

北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道の山中には、ほとんどトイレがありません。大雪山国立公園も同じです。山登りには携帯トイレを持ち、使い、持ち帰りましょう。
大雪山国立公園のほとんどは国有林の中にあり、森林管理署では主な登山口に入林簿を置いて、利用の状況を把握しています。人数、目的地、入林や下山日時のほか、携帯トイレの有無も加わりました。東大雪地域に置かれた入林簿をお借りし、集計、分析を試みました。

山登りには携帯トイレを持ちましょう。

2024年01月05日
上士幌 上村 哲也

入林簿で携帯トイレの有無を伺いました。

大雪山国立公園のほとんどは国有林の中にあり、森林管理署では主な登山口に入林簿を置いて、利用の状況を把握しています。人数、目的地、入林や下山日時のほか、昨年から携帯トイレの有無も加わりました。記入欄は「有・無」のいずれかを丸(○)で囲んでくださいという形式です。
東大雪地域に置かれた入林簿をお借りし、集計、分析を試みました。どちらも囲まれていない場合は「無」と扱いました。複数人パーティで両方を囲んでいるのは、有の方と無の方がいらっしゃったのでしょうか。誰かが持っていればみんなで使ってくれるだろうと「有」と扱いました。

入林者数の動向

東大雪地域の入林簿に記入された入林者数は、昨年の7,400人余りから9,000人余りへと増加しました。
新型コロナの感染拡大当初は外出を控えた方も多かったでしょう。アウトドアにおける活動は感染リスクが低いと認識されたでしょうか。昨年は登山シーズン前に感染症法上の位置づけが5類へと移行もされました。
十勝岳新得コースは、登山口に通じる林道が通行止めとなったため、利用がありませんでした。トムラウシ山温泉コースは、前年、短縮コース登山口に通じる林道に通行止めの期間があり増えていましたが、昨年はいつもどおりに戻りました。東ヌプカウシヌプリで僅かに減りましたが、そのほかの登山口では増加し、全体として前述の数になりました。

登山口別携帯トイレの有無

登山口別携帯トイレの有無について、棒グラフにしました。パーセントで示しているのは携帯トイレ「有」の割合です。棒グラフ上に添えた数字は人数です。グラフにはありませんが、全体の平均では携帯トイレ有は70%。昨年の65%から5ポイント上昇しました。
 
登山口別携帯トイレの有無
東ヌプカウシヌプリや白雲山など日帰り、初中級向きの山で60%前後と低く、トムラウシ山やニペソツ山で90%前後と登山時間が長い健脚向きの登山口で携帯トイレ有の割合が高い傾向が見受けられます。
東ヌプカウシヌプリは、登山の難易度が低い割に多くの利用者で滞在時間が長く、休憩場所などの汚染が気がかりですが、昨年に比べると51%から57%へ6ポイント上昇しています。
また、「トムラウシ南沼汚名返上プロジェクト」では南沼を注視していますが、トムラウシ山温泉口と短縮口から南沼泊として入林した方は330人、携帯トイレ有は99%でした。南沼の周囲で見つかるトイレ痕がごく僅かになったことへの裏打ちになるのでしょう。
多くの方が携帯トイレを持ち、その割合は増えています。心強い限りです。

山登りには携帯トイレを持ち、使い、持ち帰りましょう。

  • 登山の前にトイレを済ませよう。
ほとんどの登山口には、公衆トイレや簡易トイレが設置されています。登山の前にトイレを済ませましょう。
ユニ石狩岳登山口は石狩岳シュナイダー登山口の簡易トイレ、ウペペサンケ山はぬかびら源泉郷、十勝岳新得コースは山の交流館とむらが最寄りのトイレになります。
  • 山中ではトイレを利用しよう。
黒岳石室、白雲岳避難小屋、ヒサゴ沼避難小屋、上ホロ避難小屋にはトイレが設置されています。数は少ないですがトイレがあればトイレを利用しましょう。
  • トイレにゴミを捨ててはいけません。
山中のトイレはポンプで汲み取りヘリコプターで降ろすなどしています。ゴミを捨てるとポンプ故障の原因になります。また、使用済みの紙も持ち帰りを求めています。
  • 携帯トイレを使ってみよう。
携帯トイレを使うために身を隠す携帯トイレブースを設置しています。どうぞ御利用ください。携帯トイレブースのないところでは、ポンチョや傘を利用したり仲間に一時通行止めにしてもらうなどの方法を提案しています。身を隠すためと登山道を外れ植生に分け入ってはいけません。
トムラウシ山温泉口及び短縮口、ニペソツ山幌加温泉登山口に携帯トイレ回収ボックスが設置されています。使用済みの携帯トイレ以外は入れませんように。