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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

白いエゾシカ・十字ギツネ ~サロベツ冬の動物たち~

2024年02月05日
稚内 後澤 宏文
【白いエゾシカ・十字ギツネ ~サロベツ冬の動物たち~】

 こんにちは! 礼文島担当ARの後澤です。
 初めての北海道の冬を過ごしています。稚内は風が強く,視界が0になるホワイトアウトや高さ50㎝を超える路上の吹きだまりなど,北地の冬の厳しさを実感しています。休日にサロベツ原野へ出かけた折に,そんな厳しい冬を生き抜いている動物たちに出会うことができました。

〈見ると幸せになれる!? 幻の白いエゾシカ〉
「白いエゾシカを見つけたら幸せになれるよ。」と,事務所の皆さんに教えてもらって以来,エゾシカの群れを見る度に目を凝らしていたところ,先日,ついに出会うことができました。
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  どこにいるか分かりますか?(右下に注目)
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    雪を掘って餌を食べ始めました
 雪原で雪を掘り返しながら餌を食べるエゾシカの中に,1頭だけ白っぽい個体が交じっていました。「間違いない! 白いエゾシカだ。」興奮気味にシャッターを押しました。
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      ついに出会えた白いエゾシカ
 白いエゾシカは,古くからアイヌの人々に「神の使い」として崇められて,幸運の象徴とされてきたそうです。
 皆さんにもこの幸運をお分けしたいと思います。

〈雪原のキタキツネ〉
エゾシカとともに,サロベツの雪原で必ず出会うのがキタキツネです。キタキツネが顔を雪面に近づけながらゆっくり歩いていました。雪の下で活動しているネズミを探しているようです。その狩りの様子を連続写真でご覧ください。
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①音を聞きつけ
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②ジャンプの用意
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③後ろ足で強く蹴り
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④高々とジャンプ
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⑤鼻先から顔をつっこみ
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⑥見事ネズミをキャッチ
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⑦雪面に置いて
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⑧食べる
 このキタキツネは,上の①~⑤の一連の動作を何度か繰り返し,ついにネズミを捕らえました。捕らえたのは,トガリネズミの仲間だと思われます。地表が雪に覆われる真冬ではこのようにして命をつないでいるのですね。

​ ところで,このキタキツネは黒っぽい色をしていました。調べてみると,この黒い色が混じるキツネは,黒の紋様が十字に見えることから「十字ギツネ」と呼ばれており,「昔,海外より養狐場に連れて来られた十字ギツネが野生に放され,その後も繁殖を続けていると言われている(北海道の動物と自然-pirkapuri-https://pirkapuri.com/animals/ezo-redfox/より引用)」そうです。白いエゾシカ同様,出会えればラッキーなキツネだそうです。
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  十字ギツネと呼ばれるキツネ
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   よく見かけるキタキツネ
 「犬も歩けば棒に当たる」とはよく言ったもので,出かけてみると何かしらの出会いや発見があります。真冬のサロベツ原野には,他にもエゾユキウサギやエゾクロテンなど出会ってみたい動物がいます。夜行性なので昼間には難しいのかもしれませんが,これからもそんな出会いを求めて出かけてみようと思います。