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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

続く!海ワシ調査

2024年03月18日
ウトロ 森下南美
こんにちは、ウトロ事務所の森下です。
 
暖冬とは言いつつもびっしりと流氷が接岸した1月末。水平線まで流氷に埋め尽くされて、一晩で海が真っ白に変わる経験は知床ならではでしょうか。
 
2月に入ってからは記録的に暖かい日もありながら、流氷は残ってくれていました。
見渡す限りびっしりと流氷に埋め尽くされた景色に、この下に本当に海があるのか?と思ったものです。
3月も半ばを過ぎた現在、流氷は少し沖へ。どうにかもう少し残って欲しいものです…。
 
さて、11月から始まった「海岸線ワシ類生息状況調査(通称:海ワシ調査)」も終盤戦。
そこで今回は、今シーズンの調査で出会ったワシたちの姿をお届けします!

秋から冬へ

まずは調査が始まった11月。残暑が長かった影響か、広葉樹にはまだ葉が残っていました。
川には寒さに耐えながら遡上をしているサケがまだ残っていました。それを狙ってワシたちが河口や川沿いに集まります。
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調査初回の11月1日。木にはまだ葉が残っていました
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朝日を浴びるオジロワシ

冬真っ盛り!

葉っぱの中に紛れたワシたちを探すのにも慣れてきたところで、次は積雪。今度は雪景色の中からワシを探すことに切り替わりました。
雪の積もった枝が遠くからだとワシに見えることもあり、なかなか苦戦しました
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この中に2羽のワシがいます
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オオワシの嘴の鮮やかな黄色が目印
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いつもいるオジロワシ。そこにいてくれるとほっとします。
海岸でワシに出会うこともありました。
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海岸に集まるワシたち
上の写真ではオオワシ2羽とオジロワシ1羽が映っていますが、10羽以上のワシが集まっている場面に出くわすことも。
その中心にはエサとなるものがあるのだと思いますが、群れない彼らが貴重なエサを逃すまいと集まってくる感度の高さには毎度感心します。
そして風の強い日は飛んでいるワシたちに多く出会います。
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快晴の中飛んでいるワシは本当にかっこいい!
飛んでいるところを見ていると、幼鳥たちは風に煽られてヨタヨタとしていますが、大人のワシは綺麗に飛んでいます。ワシにも年の功はあるんだなと感じる瞬間です。

流氷シーズン

流氷が接岸した1月末からは、流氷の上もフィールドスコープを覗いて調査します。時には流氷に乗って流されていたり、波にあおられてプカプカしていたりする姿に出会えることもあり、癒やしのひとときでもあります。
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流氷はワシたちにとって食卓でもあります
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流氷上のオオワシ

冬から春へ

11月から3月にかけて、同じ場所を同じ時間に調査することで、季節の移ろいを肌で実感することができました。木々が葉を落とし、雪が積もって流氷がやってきて、流氷がまばらになってきた頃には地面が見え始めている。「冬」のなかにも景色の変化があって、季節がはっきりと変化していくことが、本州出身の私にはとても魅力的です。
「昔はもっと雪があった」「昔はもっと長い間流氷が来ていた」と耳にすることがあります。もっと長い間流氷を見ていたい、もっと雪深い景色を見てみたい、そう思っても叶わないことへの切なさを感じると同時に、自分が見ている景色をいつまで見られるのだろうかと不安も覚えます。
環境の変化の影響が出やすい知床だからこそ、自分にできることは何かを考え直す、そんな機会にもなったワシ調査でした。