アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
厳冬の十勝岳連峰
2024年03月26日
東川
こんにちは、東川管理官事務所の渡邉です。
この冬、プライベートで十勝岳連峰の山々に登った際、運良くお天気に恵まれた日がありました。
積雪期の登山は夏山と違い、標識や目印はなく、地図を読みながら進む方向を見定めていきます。
雪で道路が閉鎖されるのでアプローチも長くなり、自分で雪を漕いでいくラッセルは呆然とするほど苦しいですし、気象が厳しいのでブリザードやホワイトアウト、雪崩など様々なリスクと隣り合わせです。アイゼンやピッケル等の金物、雪崩対策の装備などがあるので夏より荷物も重たく、入山前は「なんでこんな辛いことことしないといけないのかな」と自分で自分にうんざりしているのですが、歩き出すと頭がスッキリしはじめ、「これを切望していた」と思い出し、1mでも高いところへ登りたくて、鼻息荒く一歩ずつ足を前に出しています。
疲労を感じ騙し騙しなんとか無事にピークに辿り着いたときは嬉しさもありますが、実は下山の緊張が強い場合が多いかも知れません。冬は小さなトラブルが重大な事故に繋がりかねないからです。駐車帯まで戻ると、やっと緊張の糸が切れ、達成感に包まれ、迎え入れ、素晴らしい体験をさせてくれた山々への感謝の念で胸がいっぱいになります。そして、体はヘトヘトなのに次の目標の山のことを考えはじめています。
登山は体の運動だけでなく、安全に登り、下山するために実は頭もよく使います。頼れるものがない雪山で、その時々であらゆる最適な判断を下しながら、100%の力を使って無事に計画を遂行できたときは、自分自身への信頼と独立心を得ることができます。
さて、この冬登った美しい厳冬期の十勝岳連峰を紹介します。
【富良野岳】
2月、北尾根から登りました。遠くにスクッと突き出た十勝岳が見えます。
顔がピリピリするほど気温が低く、空は透き通るような水色で、豪快な海老の尻尾が出迎えてくれました。
雪面がアイスバーンになっていてしっかり蹴り込まないと危険でした。
夏だと天気が良ければ上ホロまで縦走しますが、冬だとそう簡単にはいきませんね・・・。
【美瑛岳】
3月の美瑛岳です。美瑛町白金から登りました。
十勝岳から続く恐竜の背のような切り立った稜線や、南西斜面の爆裂火口跡は恐ろしいほどの迫力で、足下がザワザワしました。
青空の下、頂上直下から大斜面を独占しスキーで滑り降りる爽快感は他に代えがたく、登りごたえも滑りごたえもある美瑛岳が更に好きになりました。再来を誓ったコースです。
【五反沼とトウヤウスベ】
1月、原始ヶ原から下ホロカメットク山を目指しました。
残念ながら下ホロは遠く、時間切れとなり辿り着けませんでしたが、途中、通過した五反沼は凍らずに動物たちが喉を潤しに来ている跡が残っていました。なんだかとても雰囲気があり、まるで”もの○け姫”の”シ○ガミ様”が佇んでいそうな聖地のような場所で、とても記憶に残っています。
基本、冬山は気象が厳しく、ポケットからカメラを取り出さずに終わることも多いので、こういったお天気に恵まれるのは珍しいです。
日々、山岳遭難のニュースを目にしますが、春山になっても明日は我が身として肝に銘じ、過信することなく、安全に大好きな登山を続けていきます。
この冬、プライベートで十勝岳連峰の山々に登った際、運良くお天気に恵まれた日がありました。
積雪期の登山は夏山と違い、標識や目印はなく、地図を読みながら進む方向を見定めていきます。
雪で道路が閉鎖されるのでアプローチも長くなり、自分で雪を漕いでいくラッセルは呆然とするほど苦しいですし、気象が厳しいのでブリザードやホワイトアウト、雪崩など様々なリスクと隣り合わせです。アイゼンやピッケル等の金物、雪崩対策の装備などがあるので夏より荷物も重たく、入山前は「なんでこんな辛いことことしないといけないのかな」と自分で自分にうんざりしているのですが、歩き出すと頭がスッキリしはじめ、「これを切望していた」と思い出し、1mでも高いところへ登りたくて、鼻息荒く一歩ずつ足を前に出しています。
疲労を感じ騙し騙しなんとか無事にピークに辿り着いたときは嬉しさもありますが、実は下山の緊張が強い場合が多いかも知れません。冬は小さなトラブルが重大な事故に繋がりかねないからです。駐車帯まで戻ると、やっと緊張の糸が切れ、達成感に包まれ、迎え入れ、素晴らしい体験をさせてくれた山々への感謝の念で胸がいっぱいになります。そして、体はヘトヘトなのに次の目標の山のことを考えはじめています。
登山は体の運動だけでなく、安全に登り、下山するために実は頭もよく使います。頼れるものがない雪山で、その時々であらゆる最適な判断を下しながら、100%の力を使って無事に計画を遂行できたときは、自分自身への信頼と独立心を得ることができます。
さて、この冬登った美しい厳冬期の十勝岳連峰を紹介します。
【富良野岳】
2月、北尾根から登りました。遠くにスクッと突き出た十勝岳が見えます。
顔がピリピリするほど気温が低く、空は透き通るような水色で、豪快な海老の尻尾が出迎えてくれました。
雪面がアイスバーンになっていてしっかり蹴り込まないと危険でした。
夏だと天気が良ければ上ホロまで縦走しますが、冬だとそう簡単にはいきませんね・・・。
【美瑛岳】
3月の美瑛岳です。美瑛町白金から登りました。
十勝岳から続く恐竜の背のような切り立った稜線や、南西斜面の爆裂火口跡は恐ろしいほどの迫力で、足下がザワザワしました。
青空の下、頂上直下から大斜面を独占しスキーで滑り降りる爽快感は他に代えがたく、登りごたえも滑りごたえもある美瑛岳が更に好きになりました。再来を誓ったコースです。
【五反沼とトウヤウスベ】
1月、原始ヶ原から下ホロカメットク山を目指しました。
残念ながら下ホロは遠く、時間切れとなり辿り着けませんでしたが、途中、通過した五反沼は凍らずに動物たちが喉を潤しに来ている跡が残っていました。なんだかとても雰囲気があり、まるで”もの○け姫”の”シ○ガミ様”が佇んでいそうな聖地のような場所で、とても記憶に残っています。
基本、冬山は気象が厳しく、ポケットからカメラを取り出さずに終わることも多いので、こういったお天気に恵まれるのは珍しいです。
日々、山岳遭難のニュースを目にしますが、春山になっても明日は我が身として肝に銘じ、過信することなく、安全に大好きな登山を続けていきます。