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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

環境省アクティブ・レンジャー写真展 ~北の自然の舞台裏~

2024年06月01日
上川 忠鉢伸一

大雪山国立公園

大雪山国立公園管理事務所 アクティブ・レンジャー 忠鉢 伸一

見つめる野生


上川町 2月
 
2月の寒い朝に雪原で佇んでいるキタキツネを見つけました。
キタキツネはこちらを特に気にかける様子も無く、座って遠くを見つめていました。
冬のキタキツネはモフモフとした冬毛に包まれてとても暖かそうです。
北海道では平地でも高山帯でもよく見る事ができるキタキツネです。アイヌ語では「チロンヌプ」と呼ばれ、意味は「私達がたくさん殺すもの」。
昔は暖かい毛皮が目的で捕獲されてきたのでしょう。今では人間に狩られる事もなくなり、平和な一生を送れるようになったかもしれません。 凍える寒さの中で野生の瞳は何を見つめているのでしょうか。 人間が見えている世界とは違う世界が見えているのか、想像がかき立てられます。

残雪の白雲岳避難小屋


白雲岳 5月

 夏の登山シーズンが始まる前、冬期も開放されている白雲岳避難小屋の状況確認に行った際の写真です。 氷雪によって削られた岩や土砂が、土手のように堆積した場所に避難小屋は建っています。 避難小屋からはトムラウシ山までの縦走路を見渡すことができます。 大雪山縦走をする際の重要な拠点になっている白雲岳避難小屋は毎年沢山の登山客が訪れる場所になっています。 テント場の雪がとける7月頃、白雲岳避難小屋の周辺はヒグマの採餌場となり、ヒグマが頻繁に出没する時期になります。 近年利用者とヒグマの距離が近くなりつつあり、万一事故が起こった場合、これまでのヒグマと人の関係が崩れてしまうのではないかと心配しています。 人間と自然の共存が試されている場所です。