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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

有珠山パトロール

2024年05月16日
洞爺湖 幸村 和実
 はじめまして!4月1日付けで洞爺湖管理官事務所に着任した夕張出身の幸村 和実(こうむら かずみ)と申します。
 夕張岳での高山植物保護活動や、山での携帯トイレ普及活動に取り組んできました。
 これまでの経験を生かし、アクティブレンジャーとして、支笏洞爺国立公園のうち、羊蹄山・洞爺湖・登別地区の情報や魅力を、お伝えしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 5月11日、パークボランティア活動の一環として、有珠山のパトロールに行ってきました。
 パークボランティア | 自然環境・生物多様性 | 環境省 (env.go.jp)

 パトロールの目的は、国立公園の特別保護地区内で山菜採りをしている人への注意喚起と、ごみ拾い、植生の確認です。

 有珠山は、ロープウェイで登れば、気軽に大自然を体感できる素晴らしいところです。
 今回は、伊達市の有珠山登山口から外輪山まで登山をして、外輪山を往復して戻ってくるコースです。

樹林帯

 登山開始から外輪山までは、登山道のごみを拾いながら樹林帯を進みます。樹林帯では、かわいいお花が目を楽しませてくれました。ひとつひとつ、花の名前を確認していきます。クルマバソウ、フデリンドウ、ニシキゴロモ、タチツボスミレ、エンレイソウ、オオカメノキなどが確認できました。
 また、セミの羽化直後の姿や、キツツキ類が開けた穴、シカの食痕などのフィールドサインを見ることができました。自然にふれあいながらの作業は、こうした楽しみもありますね。
クルマバソウの画像
クルマバソウ
フデリンドウの画像
フデリンドウ
ニシキゴロモの画像
ニシキゴロモ
オオタチツボスミレの画像
オオタチツボスミレ
コジマエンレイソウの画像
コジマエンレイソウ
オオカメノキの画像
オオカメノキ
エゾハルゼミの画像
エゾハルゼミ 葉の裏に抜殻が!
キツツキの穴の画像
キツツキの開けた穴
シカの食痕の画像
シカに食べられた木の枝 歯の痕がはっきり確認できます
 登山道に、ゴミはほとんどなく、休憩所の周りに少し落ちていただけで、きれいに使われていると感じました。

外輪山

 登山道から外輪山に登りきると、標高差の少ない広く整備された「有珠外輪山遊歩道」に出ます。
 樹林帯とは一転、ダイナミックな景色が広がります。
 南に噴火湾が広がり室蘭から函館まで見渡すことができます。
 北は銀沼火口と大有珠・小有珠などの溶岩ドーム群。
 小有珠の向こうに、洞爺湖と羊蹄山を望みます。
 2000年の噴火から24年経ち、ゆっくりとではありますが植生が回復しているのがうかがえます。
噴火湾の画像
噴火湾
遊歩道と大有珠の画像
遊歩道と大有珠(写真左)
銀沼火口と大有珠の画像
銀沼火口と大有珠
洞爺湖と羊蹄山の画像
洞爺湖と羊蹄山

特別保護地区

 外輪山の中(遊歩道の柵の外側)は、国立公園の「特別保護地区」に指定されていて、動植物の捕獲・採取などが禁止されています。そのため、うっかり山菜採りなどをされている人がいれば、自然公園法違反となってしまいます。
 この日は、特別保護地区で山菜採りをしている方は見かけませんでしたが、山菜採りで入山されている方に、特別保護地区内で山菜採りをしないようお声がけいたしました。みなさん、自然公園法の趣旨をご理解いただけたようで、アクティブレンジャーとしての仕事にやりがいを感じた瞬間でもありました。

 有珠山は、100年で4度噴火した火山を間近に見られるという価値に加え、災害遺構の保護、減災教育、火山マイスター制度等、多くの取組が評価され、「洞爺湖有珠山ジオパーク」として、ユネスコ世界ジオパークに認定されています。
ユネスコ世界ジオパーク:文部科学省 (mext.go.jp)

 ぜひ、山の上まであがってきて、大地の壮大なドラマを体感してほしいと思います。

 今後も、羊蹄山・洞爺湖・登別地区の情報を発信していきますので、よろしくお願いします。