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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

知床の自然とシマフクロウ

2025年11月26日
羅臼 高林紗弥香
こんにちは。羅臼自然保護官事務所の高林です。

気がかりだった、外での仕事が少しずつ終わり、夏の間、活躍してくれた道具を1つ1つ片付けほっとしています。
知床横断道路が冬期全面通行止めとなり、知床羅臼ビジターセンターも夏と比べると利用される方が少なくなりました。
ゆっくりと展示を眺められるおすすめの時期です。

現在、知床羅臼ビジターセンターでは知床世界自然遺産登録20周年特別展示「知床の自然とシマフクロウ」を開催中です。
 
さて、シマフクロウという鳥をご存じですか?
アクティブレンジャー日記にたどり着いた方であれば、一度は名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。


漢字で書くと「島梟」。「縞」模様ではなく「島」北海道に生息するフクロウです。
世界最大級のフクロウであり、魚類を主食とし、樹洞で子育てをします。

かつて北海道全域に生息していましたが、20世紀前半には絶滅寸前まで生息数が減少。
生息数が激減した時代には、その半数が知床半島に生息していたといわれています。
現在は、保護の取り組みによって道東を中心に約100つがいが確認されるようになりました。しかし、生息数が徐々に回復するなかで、新たな課題も見えています。
 
これまでの「増やす取組」等に加え、シマフクロウの生息地や保護の取組の輪を「拡げる取組」へ拡充していくこととし、このことを広く知っていただきたく普及啓発に取り組んでいます。今回の展示はその一環でもあります。
 
シマフクロウについて知ってほしいけれど、興味本位で近づいたり、生息地に入り込む人が増えてほしくない。
シマフクロウやシマフクロウの保護活動に迷惑をかけない、生息域内だからできる展示とは何だろう・・・。

展示を企画するにあたり頭を抱える日々でした。

シマフクロウが暮らすことのできる豊かな知床の自然を起点に、シマフクロウを取り巻く環境の時代に伴う変化や、彼らを守るための取組、なぜ知床の地で生き抜くことができたのか、そしてシマフクロウを取り巻く新たな課題について展示しています。
 
 
シマフクロウの保護活動は、シマフクロウだけを守れば良いということではありません。知床の豊かな自然がこの先も守られていくことが、シマフクロウを守ることに繋がるのです。

今回の企画作成中に、文献等も読み返しました。手つかずの自然のイメージが強い知床ですが、自分が思っていた以上に知床もその他の地域にもれず開発や人間活動の波が押し寄せていたこと驚きました。ですが、そこから自然と共に生きる人たちが、自然を守るために取り組んできたことも見え、私自身とても学びが多かったです。
 
また、前回の日記で少し書きましたが、人間活動により野生生物へ悪影響を与えてしまうこともあります。
「シマフクロウとの共存のルール」もご一読いただけますと幸いです。
シマフクロウとの共存ルール | シマフクロウと共に暮らす | 環境省シマフクロウ普及啓発WEBサイト
 
 
 
と題しまして、ビジターセンタースタッフから寄せられた質問に、しまふくろう博士に回答していただいたQ&Aコーナーも設けました。
今回ご協力いただいたのは、シマフクロウ保護増殖検討会の竹中委員です。
巣箱メンテナンス等でお忙しい中、ありがとうございました!

会場:知床羅臼ビジターセンター 特別展示室
期間:2025年10月30日(木)~2026年1月24日(土)
時間:10:00~16:00
休館日:月曜、年末年始(12/25~1/8)

ご来場お待ちしております。


夜に活動するシマフクロウ。
目にすることはなくとも、きっとどこかで生活しているのだろうと思うだけで、毎日はちょっと豊かになります。
いつの日か、北海道各地にシマフクロウの鳴き交わしが響くことを願って・・・!
 
 
シマフクロウについて詳しく知りたい方は、以下のHPをご覧ください。
🐥シマフクロウ保護増殖事業 | 北海道地方環境事務所 | 環境省
🐥シマフクロウと共に暮らす | 環境省シマフクロウ普及啓発WEBサイト