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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

環境省アクティブ・レンジャー写真展~北の自然の舞台裏~

2024年06月01日
稚内 大宮 恋

利尻礼文サロベツ国立公園

稚内自然保護官事務所 アクティブ・レンジャー 福井 翔太 (現任:大宮 恋)

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幌延町 4月
広大なサロベツ原野は稚内市・豊富町・幌延町にまたがり、その面積は約24,000ha、そのうち湿原部分は約6,700haといわれています。
湿原や草原の部分では、開けた環境を好む小鳥たちが生息しています。特に夏の時期には鳥たちのさえずりが湿原に響き渡り、湿原に咲く花々と一緒にその姿を見ることができます。
今回は2羽の小鳥が木に止まっているところを見つけたため、よく観察してみると全く別の2種が並んでいることに気づきました。写真の中央の喉もとが綺麗な赤色をしている鳥はノゴマです。英語名のRubythroatは、特徴のとおりルビー色の喉(のど)を意味します。右側の鳥はツメナガセキレイ、英語名はYellow wagtail(黄色いセキレイ)で、輝かしい黄色の身体と長いツメが特徴的です。原野や湿原の地上に営巣します。どちらも北海道で繁殖する鳥で、夏のサロベツでは目にする機会もある鳥ですが、まるで赤と黄色の宝石のように鮮やかな色を持つ2種の共演を見ることができました。

おもてなし


幌延町 7月
湿原の小鳥の他にもサロベツでは大型のワシの仲間や水鳥が渡ってきます。その中でも大きな群れで渡ってくるのがマガン やヒシクイ類などガンの仲間です。
春頃になると繁殖のためにヒシクイ類はカムチャツカ半島などマガンはシベリア方面の北を目指し、秋頃には冬を越すために南へ旅をします。サロベツには4月や10月頃になると渡りの中継地として、休息のために群れで渡ってきます。 こうした長い旅を行なう渡り鳥たちに対して、国内へのお迎えと国外へのお見送りができる場所であることも最北の国立公園のです。サロベツに生息する動植物や毎年訪れる渡り鳥が安心できる環境を守り続けることで、おもてなしができたらと思います。
余談ですが、背景の利尻山は雪によってくっきりと姿を現し、まるですぐそこに山があるかのように見えますが撮影地点からは陸地とさらに海を超えて30km以上離れています。