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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道東トレイル~AR日記⑧オホーツク海を眺めながら、知床国立公園&世界遺産地域へ~

2026年01月16日
羅臼 秋山恵美子

こんにちは!羅臼自然保護官事務所の秋山です。
 

ARトレイル日記⑨は知床国立公園の北側、知床世界遺産センターのあるウトロから知床自然センターまでの区間を紹介します。この日は阿寒摩周、知床国立公園のアクティブレンジャー(以下、AR)ほか8名が集まりました。

 

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今回歩いたコース

知床国立公園、知床世界自然遺産をより理解していただくために「皆に見てもらいたい」と思い、トレイルを歩く前に、知床世界遺産センターの海側にある「ウトロ鮭テラス」に立ち寄りました。斜里町は、サケの漁獲量日本一の町!例年9月から10月のサケの遡上シーズンの7時から10時頃には、ウトロ鮭テラスの2階から迫力あるサケ・マスの水揚げ作業を見ることができるのです。

 

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ウトロ鮭テラス
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ウトロ鮭テラスの2階。正面にオロンコ岩
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<参考:水揚げ作業の様子>

私たちが訪れたこの日は、残念ながら時化で休漁だったようです。テラスの柱には看板があり、ウトロの漁業について知ることもできます。是非お立ち寄りください。私はオロンコ岩や知床連山がいつもと違う角度から見ることができ、新鮮でした。
 
次にウトロ鮭テラスの横を流れる川へ。この小さなペレケ川にもサケが遡上します。目が慣れてくると、サケが群れになって泳ぐ姿が見えてきました。歓喜の声を上げる人、静かにその様子を見つめる人、それぞれです。私たちの食卓を支え、知床の海と陸の生態系をつなぐサケに感謝の念が湧いてきます。

 

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ペレケ川を観察するAR達
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サケの遡上の様子
気づいたら、もうこんな時間!急ぎ足で知床世界遺産センターからハイクをスタートしました。
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ハイクしたAR達
ここ「ウトロ」の地名の語源はアイヌ語の「ウトルチクシ」で「その間を・我々が・通る・ところ」。海底火山の活動で形成された変化に富む地層を見ながら歩いていきます。人工物はありますが、それを感じさせない雄大な景色が広がります。オホーツクブルーと呼ばれる海は白波が立ち、そのコントラストがとても美しく見えました。
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地層を見ながら歩きます
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オロンコ岩(左)、三角岩(右)
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地域の方に会い、笑顔がこぼれます
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仲間との会話が弾みます
あまり知られていませんが、この辺りは縄文文化期から近世アイヌ文化期へと連綿と続く数多くの遺跡が見つかっています。断崖はシカ・クマだけでなく、クジラ・アザラシといった海獣類を探すのに好都合だったことでしょう。先人たちはどんな気持ちでここを歩いていただろうか?と思いを巡らせました。
 
「幌別橋」に到着しました。幌別川を渡ると知床国立公園、知床世界自然遺産の地域です。看板や標識に、その地域に入ってきたことを感じます。
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幌別橋に到着
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幌別川。河口にカモメの仲間、シノリガモなどの姿
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「知床世界自然遺産 知床国立公園」の看板
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クマの標識
Uの字に坂道を登っていくとプユニ岬展望台があります。歩いてきた道やオホーツク海を一望できます。この景色は何時間見ていても飽きることがありません。ここは夕日を見るスポットにもなっています。
 
厳冬期、流氷が到来すると海は一面白い世界に。この断崖、海に突き出た知床半島が流氷を堰き止めます。知床が世界自然遺産に登録された特徴の一つは流氷を起点とする海と陸の豊かな生態系のつながりです。火山活動は世界自然遺産に登録された立役者と言えるでしょう。
 
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プユニ岬からの風景
プユニ岬からは再び平坦な道で、トドマツ、ミズナラ、ケヤマハンノキなどの針葉樹と広葉樹が入り混じった森を見ながら進みます。色づき始めた木々の向こうに羅臼岳が見え、少しずつ景色が広がっていきました。5.3Kmの距離を約2時間10分かけて知床自然センターに到着しました。
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シカの標識
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知床自然センターに到着
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知床自然センターから見た知床連山

今回歩いたルートは短距離ですが、知床世界遺産センター、知床自然センターといった施設、オロンコ岩など見所が盛沢山です。時間、興味、季節に応じてハイクを充実させてください。ウトロには飲食店が多くあるので、お昼頃に通過するのも良いでしょう。サケ・イクラ・ウニなどの海鮮、エゾシカバーガーなど、知床ならではのメニューがあります。この日の某ARの昼食はサケ・イクラ丼でした。ハイクの後は火山の恵み、温泉で疲れを癒すのもお勧めです。
 

この日は天候に恵まれましたが、ルート上には日陰、風を凌げる場所が多くはありません。熱中症、防寒対策を行ってください。また知床はヒグマの生息地です。クマ鈴やクマ撃退スプレーを携行しましょう。ヒグマの出没状況やトレイル上の注意事項は北海道東トレイルのHP、SNSで確認することができます。
 

ヒグマ出没状況マップ

トレイルを歩く - 北海道東トレイル 
この企画で北海道東トレイルをセクションハイク(ルートの一部分をハイクする歩く旅のスタイル)し、動植物だけでなく、その地域の色々な事に気づき、興味を持ちました。今回のコースは普段車で利用していますが、他事務所のARと歩くことで、地域の特徴や貴重さを改めて感じることができました。そして、みんなで歩くととても楽しい。初めて会ったARでも前から知っているような気持ちになったのは、このトレイルに人と人をつなぐ力があるからでしょうか?

 

これは2025年10月5日にハイクした際の記事です。冬期閉鎖等をはじめ、最新情報をご確認の上、お出かけください。