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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

環境省アクティブ・レンジャー写真展 ~北の自然の舞台裏~

2024年06月01日
稚内 後澤 宏文

利尻礼文サロベツ国立公園 国指定浜頓別クッチャロ湖鳥獣保護区

稚内自然保護官事務所 アクティブ・レンジャー 後澤 宏文

アイスダンス


クッチャロ湖氷上 11月
 
11月末のクッチャロ湖は,湖の大半が凍り,わずかに残された水面にハクチョウ類やカモ類などが群れていました。
4月や10月のピーク時には6,000羽も集まるというコハクチョウが,この日は100羽ほどに減っていました。
突然,湖の奥の方にいた数羽の家族と思われる群れが飛び立ち,近くの氷上に舞い降り,集まって大きな声で鳴き始めました。
湖全体に響き渡るほどの大騒ぎでした。
しばらくすると,この家族から1羽,2羽と抜けていき,最後につがいらしい2羽が残りました。
2羽は互いに向き合い,首を上げたり下げたりしながら鳴き交わしを始めました。
2羽のタイミングが合ったところを撮れたのがこの1枚です。
ハクチョウの鳴き交わしは,家族やつがいの絆を強めるために行われると聞いたことがあります。
これまで水面での鳴き交わしは見たことがありましたが,氷上では初めてです。
南へ渡らずにクッチャロ湖に留まり,厳しい環境の中で越冬するコハクチョウのたくましい姿でした。

海抜0mからの高山帯


礼文島ツバメ山より 9月
 
礼文島西側の海岸~稜線に至る斜面は,冬に北西の強風が吹きつけ,雪が吹き飛ばされることで地表がむき出しになって凍結するために,樹木やササが生育できません。
そのため,本州の高山帯と同じような環境になり,海抜0mから高山植物が広がっています。
それが島の主に西側が国立公園に指定されている理由の1つです。
写真は,9月中ごろ,礼文島に7つあるトレイルコースの中で最も人気があり多くの高山植物が咲く「桃岩展望台コース」の「ツバメ山」山頂から,北にカメラを向けて撮りました。
6~7月であればこの西側斜面に色とりどりの高山植物が咲き乱れるのですが,9月ともなると緑一色になり,秋晴れの下,島全体が「礼文ブルー」と呼ばれる深く美しいコバルトブルーの海に囲まれていました。
写真右奥の桃の形をした岩が「桃岩」です。
写真に写る海岸線は,島の西側の海岸線全体の4分の1程度です。
その奥にも素晴らしい景色が続いていきます。