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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

マルハナバチ 愛 ♡

2025年12月12日
東川 渡邉 あゆみ
こんにちは、東川管理官事務所の渡邉です。

 

11月29日(土)、環境省 北海道地方環境事務所 野生生物課 主催のマルハナバチに関するシンポジウムが開催され、長年パークボランティアの皆さんと取り組んできたモニタリングを報告し、僭越ながらパネルディスカッションのパネラーとしても登壇しました。
 
当日の発表では、環境省が定めている大雪山におけるセイヨウ防除の指針の概要や、大雪山の山岳地でパークボランティアの皆さんと16年間取り組んでいるモニタリングの報告、旭岳姿見の池周辺でセイヨウオオマルハナバチ
(以下「セイヨウ」という。)の目撃数が多い理由やモニタリングの課題等を発表させていただきました。
ドラゴンアイ
セイヨウは2006年 黒岳で初確認されました 
ドラゴンアイ
2018年 大雪山の高山帯におけるセイヨウ防除の指針が作成されました
ゲストで登壇された株式会社さっぽろ自然調査官の丹羽真一さんからは、これまで知らなかったマルハナバチの生態や、マルハナバチの観察の仕方等、大変興味深いお話を伺うことができました。もっと聞いていたかったです!

パネルディスカッションは『マルハナバチ愛を語って良し』ということでしたので、私なりにつたない言葉でしたが、マルハナバチの魅力をお話しさせていただきました。
が、緊張していたので思いのたけを伝えきることはできませんでした…。
 
せっかくなのでこの機会に、マルハナバチ愛を綴りたいと思います。(これまでも書いてきましたが…)
私はこの仕事に就くまで、正直、ハチに興味を持ったことはなく、マルハナバチが大雪山のお花を咲かせるためにとても重要な役目を担っていることを知りませんでしたし、セイヨウの存在も「子供のころから庭でよく見るハチ」程度の認識しかありませんでした。
 
ですが、マルハナバチのコロコロとした愛くるしい姿や、花粉まみれになりながら健気に蜜集めをする姿等、モニタリングを続けているうちに愛着を持つようになりました。
ドラゴンアイ
飛翔筋(胸筋)を震わせることで高い体温を維持できる。そのために大量の蜜糖が必要。
ドラゴンアイ
潜り込む姿が一番のキュン♡ポイント
また、大雪山に咲く多くの高山植物はマルハナバチの送粉によって繁殖していること、お花は昆虫に訪花してもらうために色鮮やかで個性的な姿かたちをしていること、昆虫の羽音を感じ取り、マルハナバチだと察知したら蜜を多く出すこと等、マルハナバチとお花のwin-winな共生関係や共進化が本当に羨ましく、私もマルハナバチになって大雪山のお花を咲かせる一員になりたい、大雪山のお花を食べて生きていきたい、エゾオヤマノリンドウの花びらの中で休憩してみたい、花粉団子を花粉ポケットから取外すときの感覚を知りたい、等々マルハナバチに対して壮大でマニアックと思われるような憧れを抱くようになりました。
もちろん、在来マルハナバチや高山植物の繁殖を妨害するセイヨウを脅威と感じるようにもなりました。
ドラゴンアイ
パークボランティアのみなさんとのモニタリングの様子 
マルハナバチのモニタリングで楽しみにしていることがあります。
それはパークボランティアの皆さんとマルハナバチを観察することです。
山好き、お花好きな人はたくさんいますが、マルハナバチ好きな人はなかなか出会えません。
ですが、モニタリングに参加してくださる方は、私ほど熱狂的じゃないにしてもマルハナバチに対して愛着を持っている方が多いので、欲張って花粉団子を付けすぎて重たそうにしているマルハナバチを愛でたり、サボり気味のマルハナバチを見てからかったり、マルハナバチに対して同じテンションで一喜一憂できる時間がとても安寧で癒しの場になっています。

 
また、これまでのモニタリングではマルハナバチを発見したら一頭一頭、手書きで紙に情報を書き込んでいましたが、今年度からスマートフォンのGISアプリに目撃情報を登録し、関係者間でリアルタイムな情報を共有できるようにもなりました。


当日ご来場いただいた50名弱の皆様、ありがとうございました。
このシンポジウムをきっかけに、マルハナバチに興味を持ってくださった方が一人でもいらっしゃったら幸いです。
いつまでも大雪山のお花畑が色鮮やかで、マルハナバチが花粉集めに忙しく飛び回っている姿を見られることを願っています。